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防御特化と合流3。

行動範囲が小さくなってきていること、そして強力なプレイヤー同士は一度出会えば共闘を続けることもあって、別の場所でもトッププレイヤー二人がモンスターの群れの相手をしていた。


「くっ!何とかならないのかこの数!」


「これでも有利属性ではあるんですけれど……!」

ミザリーとクロムは数十ものモンスターに囲まれながれ脱出の機会を窺っていた。かつてジャングルでのイベントでも共闘した二人だったが、あの時と違いHP回復ができる。ミザリーはMPのほとんどをクロムの回復に回し、クロムはひたすらミザリーをかばって死にかけては死の淵から戻ってくるを繰り返す。


「ネクロ、【バーストフレイム】!」


「【ホーリースピア】!」

ミザリーの魔法も今フィールドに跋扈している悪魔型モンスターには有効だが、それでも大盾と回復魔法専門の二人では攻撃力が足りていない。


「死なねえ!でも殺せねえ!」


「そうですね……モンスターの追加召喚も打ち止めのようですし……」

クロムにもミザリーにもダメージ軽減スキルやダメージ無効スキル、蘇生スキルが残っている。一度や二度崩されたところで容易に立て直せるのは【楓の木】ではできないレベルのしぶとさと言える。

クロムはネクロの形態をガシャガシャと切り替えて攻撃と防御を繰り返す。


「凌げはするがこいつら足も速えしなあ……ミザリー何とかならないか!」


「……耐えていてください!期待できる助けはあります!」


「オーケー、信じるぜ!【活性化】!ネクロ【幽鎧・堅牢】!」

クロムはネクロを防御特化形態にし、攻撃を的確に弾いて、ミザリーの言うように時間を稼ぐ。回復能力に長けた二人ならダメージこそ受けるものの、耐久戦略が成立する。【炎帝ノ国】のミィ達と違い、大盾を持つクロムなら攻撃に転じる必要がないのであれば、強固なガードを生かしてモンスターに囲まれていてもかなりの時間耐えられる。そうしてしばらく、気の抜けない戦闘が続き、クロムの集中力が切れてきて被弾が少しずつ増えていく。


「【デッド・オア・アライブ】の運次第で変わるが……その助けってのそろそろ来てくれると助かるぞ!」


「はい、大丈夫です。今、来たみたいです」


「ん、おおぅっ!?」

ミザリーのその声と同時に二人ごと周りのモンスターを包み込む大火球が降ってきて地面を炎が走っていく。クロムがネクロの力を借りて放つ炎とは比べものにならない程の威力のそれは、クロムがじりじりと削るしかなかったモンスターのHPを一気に削り切り、光にして消し飛ばしていく。


「うぉ……すげぇ……」


「ふぅ、これで一安心ですね。ミィ、ありがとうございます」


「ああ、ミザリー無事でよかった。ん、ここにも【楓の木】のメンバーがいるのか」


「ん?他に誰か見たのか」


「双子の、マイだったか。まあ訳あってな、メイプルの元に届けたところだ」


「おお!それは助かるな」


「ミィ、この後はどうしますか?」


「シンとマルクスは生きているだろう。合流に向かおう」


「んー……なら、俺もついていっていいか」

クロムがそう言うと二人は不思議そうな顔をする。それもそのはず、クロムは二人とは目的が全く違っているのだ。


「いや、ミザリーと合流する前に何人かのプレイヤーの悲鳴を聞いてな?この広いフィールドでこうもプレイヤーに合うんなら転移先がある程度決まってるのかと思ってな」

それならば、マルクスやシンの近くに【楓の木】のメンバーがいる可能性もある。また、ミィ達にとっても強力な盾役がいるというのは心強い。連れていくメリットもきっちりあるという訳だ。


「構わない。いいなミザリー?」


「ええ、大丈夫です」


「よし、ならそれで頼む」

三人はイグニスの背に乗って、早急に合流すべく空を行く。


「この近くにいるのか?」


「少し遠い、山を一つ越えた向こうだな」


「合流させる気はほとんどないのかもしれませんね……フィールドも縮んできているとはいえ、まだまだ広いですし」


「三日目になればまた変わるかもしれない。とにかく、強化モンスターが現れる時間帯になるまでに拠点の設営まで行わなければな」

悪魔型モンスターは大量に溢れており中々強力だが、二日目の強化モンスターという訳ではない。

このまま合流できずにモンスターが強化されれば、さらなる犠牲が予想できる。


「ついでにウチの誰かも見つかるといいが……んん?」


「どうかしたか」


「もしかしたらウチのメンバーもいるかもな。一日目に巻き込まれた覚えのある爆発だ」

イグニスの向かう先、雷や炎が暗闇を裂いて光るのをみたクロムは怒らせると怖い生産職の姿を思い浮かべるのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] クロムが加わって気を抜くチャンスを 失ったミィは大変だな…
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