防御特化と予選後2。
しばらくして結果発表があり、【楓の木】は全員が上位に入ることに成功しており、八人全員で最高難易度への挑戦が可能となった。
本戦ではパーティーを組むことができるため、これで改めて思う存分テイムモンスターの力を発揮できるというものである。
「フィールドは予選の時と同じだってさ。よかったねメイプル。今度はメダルもあるし、隅まで探索するよ」
「バトルも好きだけど探索もやっぱり綺麗な景色が多くて好きなんだよねー」
映像記録結晶を置き忘れてなくしてしまったメイプルだったが、早くも再探索の機会が来たということで張り切っている。
「でもよかったーみんなでちゃんと上位に入れてて」
「ツキミがすごい頑張ってくれました」
「私もユキミが!」
嬉しそうに子熊を抱き上げて見せる二人を見て、ギルドホームにいる六人全員が笑顔になる。マイとユイの二人は自分が上手く生き残れるか不安だったのもあって、この結果に喜びもひとしおといった様子だった
「まあ、テイムモンスターはすごい強いし、助けてくれるけど、逆に今度はそれを踏まえた難易度になってるだろうね」
サリーがそう言うと、クロムやカスミも頷く。
「上位層はほとんど全員が仲間にしているだろうからな。テイムモンスターがいるからと言って楽はさせてもらえないだろう」
「むしろ、レベルが上がってないとキツイ可能性もあるな」
「んー、じゃあまだまだレベル上げもしないとだね!シロップも頑張って強くしなきゃ!」
本戦までにはまだ少し間がある。ただ、全員が待ち遠しそうだった。というのも、自分の相棒のモンスターのすごいところを見せてやりたいのである。
うちの子が可愛い自慢というようなものだ。
「あ、そうそう。僕、予選の途中でドレッドとドラグのテイムモンスター確認したよ」
カナデはドレッドのモンスターは影を扱う狼で、ドラグのモンスターは砂や大地をコントロールするゴーレムだったことを伝える。
「うう……【大自然】が無効化されちゃうのは苦手な相手かも」
他にもシロップのスキルで地面に影響を与えるものはいくつもある。それを無効化してくるとなると困ったものだ。
「ドレッドの方も要注意だね。影に潜ってる間は無敵の可能性が高いし、大技を考えなしに使ったらこっちが不利になるかも」
「ふぅん……俺らがPVPでやりあうのは早くても次のイベントだしな、ちょこちょこと情報を集めていくしかねえな」
カナデが【集う聖剣】の情報を伝えると、サリーもメイプルが乱入してくるまでのミィとペインの戦闘についての話を始める。
ミィの方はメイプルがともに探索しているため、どちらかというとペイン中心にである。
少なくとも、広範囲のブレスと飛行能力があることは分かっているのだ。さらに、現状目撃例がないモンスターであることからも、レアリティが高いモンスターで、まだ隠された強力なスキルを持っている可能性が高い。
「現状だと要警戒としか言えないのが悔しいけど。ブレスとかは竜ならだいたい持ってるし……フレデリカにああ言っただけあって実力を隠してるんだろうなあ。ミィの方は【インフェルノ】ってスキルが強かったよ。超広範囲だし、多分威力も相当だと思う。あの範囲の広さは近くで使われると私でも避けきれないかな」
メイプル達のライバルも皆テイムモンスターを仲間にしていることが確認されている。それはそのまま攻撃パターンが多彩になったことを示すのだ。
「よしっ、次のイベント頑張って、メダルもいっぱい手に入れてもっともっと強くなろう!私達は少数精鋭にならないと駄目だもんね」
「そうね。一人一人強くないとね」
メイプル達はそれぞれ決意を新たにして、テイムモンスターをより鍛えつつ、本戦の日を待つのだった。




