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防御特化とお披露目。

戦闘を終えて、イズがドロップアイテムを回収しに離れたタイミングでミィがメイプルに近づいていく。


「ち、ちょっと!何さっきの!」


「えへへ、私も見せたいものがあるって言ってたでしょ?」


「いや、まあ言ってたけど……あんな感じだと思わないでしょ普通!」

ミィからすると、新しく超高威力の攻撃を身につけたようにしか見えないのだ。実際は今までやってきたことと変わらないが、見た目の変わり方が激しいために気づかないでいた。


「ボスに試してみたかったんだ。これなら必殺技になるかな?」


「なるなる。あー、火力不足になってきてると思ったけどそうでもないかあ」


「イグニスのこと見せてくれたし、私も何か見せたかったんだー」

メイプルがそう言って無邪気に笑うと、ミィからもつられて笑みがこぼれる。


「次のギルド戦までにメイプル対策は考えておかないとなー。攻撃面と、もちろん防御面もね」


「ふふふ、受けて立ちますっ!それに、皆もすごい強くなってるんだよ」


「だろうね……実感した」

ミィがちらっとイズの方を見る。【楓の木】には強力なバッファーがいないかと思っていたが、そんなことはなかったと認識を改める。

と、そんなことを話しているとイズの素材回収も終わったようで、三人はダンジョンから出ることにした。


「次は?」


「崖に巣を作ってる怪鳥の卵と、雪山の氷の花……海中の珊瑚に、蠍から取れる毒……毛皮なんかもあるわね」

つらつらと必要な素材を伝えると、メイプルはその量の多さに目を回す。


「すごい大変そう……どんなアイテムができるの?」


「三つとも実用性はないわ。調合系で作る薬と鍛治系で作る剣、あとは裁縫系で作る服ね」

生産能力を全て高めていないと完成まで持っていくことは難しい。イズの言うように、薬や剣といっても完成したアイテムはイベント専用でそれ以外には使えない。


「とりあえず気長に集めるしかないわね。今日一日では流石に厳しいわ」


「私はいつでも手伝うからね!」


「ああ、時間が合えば私も呼んでくれて構わない。なら、イグニスがいれば楽な所から行くとしようか」


「ええ、助かるわ!なら……崖の方かしら」


「分かった。任せておけ」

ミィはイグニスに命じるとぐっと向きを変えて崖の方へと向かっていくのだった。



イズはここから素材集めのために数日間飛び回ることになる。その間、同じく仲間探しのためにあちこち歩き回っているメンバーがいた。そう、クロムである。


「次はこっちか……ふぅ、長えなあ」

そう言ってクロムはアイテムとして手に入れた地図を広げる。といってもただの地図ではなく、宝の地図といった様子である。

クロムが進めているクエストとはこれのことで、ダンジョン探索で見つけた地図から、また示されたダンジョンでレアドロップで手に入った地図へという調子で、既に十を超える地図の印の場所を探索していた。

途中、お宝として換金用のアイテムはいくつも手に入ったものの未だ仲間にできそうなモンスターはいない。

いつしか探索先は秘境と呼べるような密林や、雪深い山などになっていき、一日にいくつも攻略することが難しくなっているほどである。


「そろそろ終わると思うんだがな……」

そんなクロムの今回の目的地は海沿いの洞窟である。クロムは地図が海を示しているのをみて、メイプルの片腕のことを思い出す。


「できれば見た目も落ち着いてる奴だと助かるが……ここか」

普段は入口が水で埋まってしまっており、凶暴な鮫のモンスターの住処となっているその洞窟は、時間によって口を開ける。

クロムは探索によってその時間帯を発見して、今回本攻略というわけだった。


「足場が悪いな。奥は……暗いか。よっと!」

クロムはランタンを腰に下げて光原を確保すると、大盾を構えて慎重に歩みを進める。途中、ボロボロになった服を着た人骨が横たわっていたりして、いよいよもってメイプルから聞いたどこか分からない岩場に近い雰囲気が漂い始める。


「ゴースト系だったら仲間にするわけにはいかないしなあ。っと、本当にそのタイプか?」

クロムがぐっと大盾を構える。ランタンに照らされた暗闇からは錆びた斧やサーベルを持ったスケルトンがカタカタと骨を鳴らして近づいてくる。


「一本道なら集団も怖くねえな!」

きっちりと盾で受けて斬りつける。一撃で倒す必要はなく、攻撃を受けないように一体ずつ細い道を活かして倒していく。


「ふぅ……コウモリなんかは出てこないな。スケルトン主体か?」

ここがどういったダンジョンかはまだ分からない。クロムはこの先に何かがあると期待しつつさらに探索を続けるのだった。


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