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防御特化と蛇。

「とりあえずもう一度行ってみるか。今のままでは何も分からない」

何度死んだっていいから何度も試す。まずは試行錯誤して情報を集めなければならない。初回はあまりにも早く、かつ一方的にやられてしまったため情報がほとんど得られていないのだ。

カスミがもう一度谷まで下りてくるとそれに合わせて濃い霧が立ち込めた。


「はっ、もう敵視されているという訳か。【心眼】!」

カスミはまず【心眼】を使用して、近くの茂みに隠れ、あたりを警戒する。

すると、少ししてズルズルと体を引きずる音が聞こえてきて、近くを攻撃表示がすり抜けていった。


「やはり視界に合わせての攻撃だな……ただそれほど遠くまでは届かないか」

カスミは【心眼】の効果が続いているうちに、視界を避けつつ、胴体へと近づいていく。


「かなりのサイズだな……まあ、試してみるしかないか」

カスミは刀を抜き放つと【武者の腕】と【紫幻刀】を発動する。首なし騎士を一気に沈めた、カスミの中で最も威力のある攻撃である。

一撃目が体に命中し鱗を切り裂き、ダメージエフェクトが弾ける。しかし、これはいけると思ったカスミの続く連撃と【武者の腕】での攻撃は輝くような白に変質した鱗に弾かれる。


「なっ……!?」

連撃は途中で止めることができないため、最後まで全て弾かれた所で体が縮む。

攻撃が通じない。それは防御力が高いというよりは破壊不能な物体を攻撃しているのに近い感覚だった。


「とりあえず様子を……っ」

そうした所でカスミの動きが止まる。自分の意思で体が動かない今の状態は、間違いなく頭がこちらを向いていることを示している。


「一思いにやってくれっ!」

ゆっくりと背後から頭の影が被さってくるのを見て、カスミはまた七層の町へと強制送還された。


戻ってきたカスミは元の姿に戻るまでの時間、ベンチに座りながら考える。


「ダメージが全く通らないわけでもないようだが……倒せる相手にも思えないな」

状況からも一撃目は不意をついたことによりダメージを与えられたと考えるのが自然だった。そして、その後はダメージを与えられず、攻撃したことによって頭がこっちを向く。

となれば、攻撃すべきでないのは明白である。


「頭のアレは移動禁止の上位のようだが……体が全く動かないことを考えると現状迎撃も不可能か……」

撃破が目的でないとすれば、それから隠れて目指す場所があると考えられる。

となるとこれもまたかなり大変なものになるのだ。

なんといってもあの谷底の森は広いのである。手当たり次第は手間がかかることは遭遇前の探索で分かりきっている。


「よし、とりあえず谷底の両端を目指すとしよう。イベントの開始に苦労しないだけでもいい方だ」

身を隠して探索するとなると、また立ち回りも違ったものとなる。

カスミの場合は【心眼】がキーとなると言っていいだろう。即死級の一撃につながる行動不能の範囲がどこなのかを把握できるのは生死に直結する。


「今日のところは一旦これくらいにしておくか。アイテムももう一度準備し直してからだな……あとは、蛙にもう一度会ってみるか」

展開も進み。何かヒントがあるかもしれないとカスミは一人頷く。

既に各層を走り回って谷に行き着いているため、かなりの時間が経っている。今まで楽しさが勝っていたものの、そろそろ疲れが見えてきたのだった。クエスト途中のダンジョンでイズ特製の強力なアイテムもかなり使ったため、ちょうどいいところだと今日はここまでとしてログアウトした。

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― 新着の感想 ―
[一言] カスミだけ死に覚え系多いですね…
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