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防御特化と遭遇。

翌日も森へと出向いた二人は、何度かモンスターに倒されつつも、再び子熊がいた森の奥にたどり着いた。


「こ、今回は……結構かかったね」


「うん、まだまだ練習がいるかも」

ともあれ、広い森の中でスタート地点が把握できているだけマシというものである。あてもなく進む必要がないというのは戦闘回数が多ければ多いほど事故が起こりやすい二人にとって大切なことだった。


「あっ!いた!」


「よかった……」

二人の前に昨日と同じく子熊が現れる。どうやら、関係しているのは時間帯らしかった。

二人は今度こそと、子熊の足跡を追いかけていく。途中出てきたモンスターも、昨日動きをみっちり体に覚えさせたのが効いたのか、何とか撃破することができた。

そうして森の中をスルスルと進んでいき、やがて足跡は森から続く山の方へと続いていった。


「結構進んだかな?」


「うん……ここまできたのは初めてだね」

二人は傾斜の出てきた道なき道を、星の舞い上がる足跡を頼りに進んでいく。

そして足跡を追った二人は山の中腹にある小さな洞窟へとたどり着いた。


「入ろう!」


「うん……!」

二人は大槌をぎゅっと握りしめて、洞窟の中を歩く。洞窟の中は足跡から舞い上がった星がキラキラと輝いて地面や壁を照らしていた。

洞窟の道幅は次第に広くなり、光も強くなっていく。そして最奥にたどり着いた二人の目に、輝く星の揺り籠の中で眠っている子熊の姿が映った。

寝床といった様子の少し広い空間に、目が眩むような光が満ちている。


「「いたっ!」」

その声に反応するように子熊は起き上がって、二人を見据える。直後、部屋の光が急激に強くなり、子熊の方に集まっていく。

二人が眩しくて一瞬目を瞑ったその内に、子熊は急成長し巨体となり低い声で吠えた。

体からは星が散っており、耳の先端やいくつかの毛先は光そのもののようになって揺れている。


「シロップみたいな感じ!?」


「【巨大化】……そうかもっ……どうしよう!」

追いつけば仲間にできると思っていた二人だったが、目の前では強そうなモンスターとなった熊がこちらを睨みつけている。

アイテムもまだ十分にない中、どうやって仲間にすればいいのかを考えていると目の前に青いパネルが現れる。


【力を示せ】

モンスターを仲間にするために戦闘に勝利する。


それはクエストのような形式で、二人がモンスターを仲間にする方法を示してくれていた。

そして、それを見た二人の表情がぱっと明るくなる。力を示す。それは二人が最も得意とすることである。


「いくよお姉ちゃん!」


「うん!手加減できないけど……」


「「ごめんねっ!」」

直後、洞窟の外まで鈍い音が響き渡ったのだった。




「だ、大丈夫かな?」


「わ……分からないけど……」

目の前には先程一撃でのした熊が横たわっている。威力が強すぎたかと心配する二人の前で、周りの壁や床が再び強く光り始める。

そして熊はのっそりと起き上がり、二人にゆっくり近づくと頭をすりすりと擦りつけて、一つ小さく鳴き声を上げて完全に光となった。


「ううっ……」


「ど、どうなったの?」

光が収まって二人がゆっくりと目を開けると、地面には一つの指輪が落ちていた。

それは、メイプルやサリーが身につけていたものと同じものだった。


「「やったっ!」」

二人はそれを拾い上げると笑顔をでハイタッチをする。とはいえ、まだ目標の半分である。二人分手に入れなければならないのだから、まだ仲間探しは終わっていない。


「よーしお姉ちゃん!この調子でもう一回クリアするよっ!」


「うん、ここまでこれれば大丈夫だし……いけそう!」

道中が少し大変なだけで、仲間にするのはそこまで苦戦しなかったため、二人のやる気もまだ十分だ。

ただ、二人が気づくことはないがレアそうなモンスターを仲間にするための戦闘など、本当はこう楽なはずはないのである。

そう、つまり結局のところいつも通り何かを発動する前に一撃必殺で全てすっ飛ばして終わらせたということだった。

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