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防御特化と子熊探し。

二人はそうして森の中に入って、子熊を探し始める。メイプルがいないため、今回は注意深くモンスターの気配を探らなければならない。モンスターの攻撃を受けるわけにはいかないのだ。


「メイプルさんが帰ってくるまで待った方がいいんだろうけど、待ってられないし!」

居ても立っても居られないといった様子でユイが目を輝かせると、マイもそれに合わせて頷く。


「えっと、結構奥の方だったよね……?」


「うん、まだまだのはず」

そうして歩いているとがさりと茂みが揺れ、二人は背中合わせになって警戒する。そこに茂みから猪のモンスターが飛び出してきた。


「「ええいっ!!」」

二人は背中合わせのままぐるっと回転し、大槌を振り回す。しっかり狙うわけではなく、二本の武器と、大きくなった当たり判定の暴力で隙間なくモンスターの飛び出してくる空間を埋めたのである。

逃げ場が存在しなければ、一撃を受けてしまう。それは当然のことで、そして二人の攻撃に耐えられないのもまた当然のことだった。

今回もまたいつものようにモンスターは爆散し、二人はほっと息を吐く。


「よかったあ……また森まで来るのも時間かかるから」


「くー、早く見つかってほしいけど」

その後ひやひやしつつ何とかモンスターを処理すること数回、ようやく前回子熊を見つけたのに近いところまでやってきた。


「この辺りだったはず……」


「うん、あとは出てきてくれるかどうかだけど」

二人が警戒しつつ足元を見て子熊を探していると、ちょうど茂みから飛び出す姿が目にとまった。


「「あっ!!」」

それは本当に一瞬のことで、【AGI】低下アイテムをぶつける暇もなく近くの茂みに逃げ込んでしまう。

二人は慌てて【AGI】を上げるポーションを飲み、茂みをガサガサとかき分けて足跡からキラキラと空に舞い上がる星を目印に追いかけていく。


「っ、ユイ!モンスター!」


「邪魔しないでっ!【飛撃】!」

ユイに合わせてマイも【飛撃】を発動させ、四つの衝撃波が飛びかかってくるモンスターを吹き飛ばす。二人は急いで足跡を探して森を駆け抜けていくが何度もモンスターに襲われてなかなか追いつけない。


「うぅ、また逃げられる!」


「あ!ユイっ危ない!」


「えっ?きゃあっ!?」

焦って注意散漫になったところで後ろから襲ってきたモンスターに反応できずに、攻撃を食らってしまう。どれだけ攻撃力が上がっても、たった一度攻撃を受ければそれで終わりである。


「あっ、ユイ!ひゃっ!」

ユイに気を取られたマイも同じように倒されて、二人揃って七層の町へと戻されることになった。


二人は目を覚ますとそれぞれ悔しそうだったり、残念そうだったりする表情を浮かべ、ぐったりとベンチに座った。


「あー!ダメだった……」


「もう一回行ってみる?」


「もちろん!へこたれてられないよ!すぐに諦めてたら仲間にできないし!」

とりあえず何か変化が起こるまでは追跡を続けようと決めた二人はもう一度森へ向かう。

勿論、メイプルを待つのが得策ではあるのだが、二人でもスムーズに探索ができるようになるため、慣れておきたいというのもあった。


結果、二人はその後二回死に戻り、そして三回目に入ったところで子熊を全く見つけられなくなった。

二人は森の中でキョロキョロと辺りを見渡しながら途方にくれる。


「どうしたんだろう?全然いない」


「場所は……ここで大丈夫なはずなんだけど」

そうして二人はあることに思い至る。もしかすると何か条件によって出てくるかどうかが変わるのではないかということである。


「運が良かっただけ……とかじゃなさそうだし……また明日同じくらいの時間に来てみる?」


「そうしよっ!同じ条件でやって出てきてくれなかったら考える」

目標は子熊を仲間にすることに決まったのだ。あとはそれに向かって一直線である。


「今日はもう終わる?」

マイがそう聞くと、ユイは少し考えた後にとある提案をした。


「この辺りのモンスターと戦う練習していかない?ほら、サリーさんも慣れが大事って言ってたし!」


「そうだね。それにレベルも上げないと」


「じゃあ決定!手に入った素材はイズさんに渡してまた何か作ってもらおう!」

こうして二人は子熊を仲間にするために、森のモンスターに慣れるための特訓を始めるのだった。


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