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防御特化と二人きり。

メイプル達がギルドホームに帰ってきて、工房に向かうと、そこにはあらゆる器具をフル回転させて何かを作っているイズがいた。

忙しそうにしているその姿に声をかけようか迷っていると、完成待ちに入ったのかぐっと伸びをして工房から出ようとしたイズが三人に気付く。


「あ、メイプルちゃん達。ごめんなさい、気づかなかったわ……ちょっとやることが多くって」


「えっと、新しいアイテムですか?」


「マイちゃん、正解!七層に入ってからかなりの量の装備やアイテムが追加されたのよ。モンスターを懐かせるアイテムとか、レアなモンスターの出現確率を上げるものとか……店では買えないようなものも多くて、楽しいけれど大変ね」

しばらくすれば作ったアイテムや装備を渡すことができるとイズは自信ありげに言う。


「そうだったんですね。私達もちょうどいいアイテムがないか聞きにきたんです!」

そう言ってメイプルが事情を話すとイズはアイテムや装備品を出してくれる。

飲むことで少しの間【AGI】を上げるドリンクや、モンスターにぶつけることで【AGI】を下げるアイテムなど、色々な方向から解決策を提示したのである。勿論、どれもイズが作ったもので効果が高く、二人の足の遅さを補うのに役立つことは間違いない。


「とりあえず【AGI】を上げるならこの装飾品を付けるといいわ。うちのギルドは全然装備を変えないけれど……場所に合わせて装備を調整するのも大事なことよ」


「「ありがとうございます!」」

マイとユイは早速装備を身につけると、速くなった動きを慣らすように工房内を少し歩いてみせる。


「おー、いいね!」


「ただ、装飾品で少し上げただけだから七層の基準と比べると足りていないと思うわ。必要そうならまた装備を用意するから言ってね」

マイとユイはイズに再度お礼を言って、これで今度は追いついてみせると意気込む。そもそも、追いつくだけで仲間にできるかも分からないのだから、一つでも多く試すしかないのである。


「いい報告を期待してるわ」


「私達も素材とか集めてきますね!また新しいものも増えてますし!」

メイプルはそう約束すると三人で工房を出た。そして、次はサリーにも手伝ってもらおうとメッセージを送ろうとしたところで、ちょうどサリーがギルドホームに入ってきた。


「あ、サリー!ちょうどよかった!」


「ん、どうかした?」


「えっと、実はねー」

メイプルがサリーに森での出来事を話すとサリーは興味深そうに頷く。


「情報掲示板にも出てなかったし、レアかも。もう一回会うのは大変そうだけど……見つけたいね」


「でしょー!で、追いつくためにサリーにも手伝って欲しくって……」

メイプルがそう言ったところでサリーが首を横に振る。サリーはこの後近々あるテストの勉強のためにログアウトするとのことだった。


「メイプルも準備しないとでしょ?」


「うぅ……そうだね。いいところなんだけど……」

メイプルもそういえばそうだったと頭をかく。この後マイとユイを手伝うことが難しくなってしまいどうしようかと考え始める。


「大丈夫ですっ!イズさんから貰ったアイテムもありますから!」


「はい……私達、十分手伝ってもらいましたから」

二人がそういうのを聞いて、メイプルは考えるのをやめて一つ大きく頷いた。


「うん、分かった!じゃあ私もいい報告期待してるね!」


「期待しててくださいっ!」


「が、頑張ります!」

メイプルはそんな二人に別れを告げると、手を振ってサリーとともにログアウトしていった。

そうして残された二人は少し不安そうに、しかしそれでもやる気ある表情でフィールドへと向かっていく。


「ぜーったい相棒を見つけるよお姉ちゃん!」


「うん、頑張ろうね」

とはいえ、二人は七層のモンスターに攻撃を受けてしまえば一撃で倒されてしまう。そんなことは二人も分かっており、そのためには先に倒してしまうしかない。

フィールドに出てすぐ、二人はそのための新たなスキルを発動した。


「「【決戦仕様デストロイモード】!」」

二人が手に入れたメダルスキル。それの発動とともに赤いスパークが走り、体と武器を真紅のオーラが覆っていく。圧倒的な威圧感を放つ二人はオーラを迸らせながらフィールドを進んでいく。


【決戦仕様】

発動中、攻撃の判定を拡大。スキル再使用までの時間大幅短縮。【VIT】半減。被ダメージ二倍。


本来なら重いデメリットも、そもそもダメージを受けたら終わりな二人にとってはないものと同じである。

そんな必殺の大槌を二本構えている二人にも、モンスターは構わず襲ってくる。


「来るよ、ユイ!」


「うん!任せてっ……やあっ!」

飛びかかってきた狼型のモンスターに向けて振り抜かれた大槌は、僅かに下を横切り直撃とはいかなかった。しかし、武器が纏っているオーラが狼に触れた瞬間、大きな音を立てて狼が弾け飛ぶ。

そして、狼はそのまま地面を転がっていき光となって爆散した。


「すごい!かなり当たる部分が大きくなってる!」


「うんっ……これなら私達でも当てやすくなったね!」

喜ぶ二人を見て、フィールドにいた他のプレイヤーがゾッとする。こんな特徴的な二人など他にいるはずもなく、即死級の攻撃ができる二人の攻撃範囲が広がったところを目の当たりにしたのである。

ただ、二人の意識は森エリアの子熊探しに向けられていたため、周りの視線に気づくことはなかったのだった。


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ユニコーンじゃないっすかぁ
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