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防御特化と相棒探し。

とは言ったものの、七層はまだ実装されたばかりである。メイプル達は最も新しいエリアにいるわけで、情報なども自分達で集めていかなければならなかった。


「どう?相棒にする子は決まった?」

メイプルは情報を探そうと掲示板を見ているマイとユイに声をかける。


「メイプルさん!えっと、まだです。だからお姉ちゃんと一緒に探しに行こうかなって」


「なるほどー。じゃあ私手伝うよ!ほら、どこへ行くにも守ってあげられるし!」


「ありがとうございます。とても助かります」

マイがぺこっと頭を下げるのに合わせて、ユイも同じように頭を下げる。メイプルなら【暴虐】やシロップで移動手段を確保することも、【身捧ぐ慈愛】で二人を守ることもできる。


「じゃあいこっか!実際に見てみないとどんな子を相棒にするかも決められないしね!」


「「はい!」」

そうして、三人は初めての探索に向かう。七層には沢山のモンスターがおり、その中の一部が条件付きで仲間になるのだった。

モンスターが仲間になるかならないかはHPバーの隣にマークが付いているかどうかで判断することができる。

メイプルは【身捧ぐ慈愛】を発動させて、マイとユイとともに一体一体モンスターを確認する。


「仲間になることは分かってても、どうやって仲間にするか分からないと大変だよね」


「そうですね……倒しちゃったらダメな場合もありそうですから」

マイとユイはモンスターの撃破は得意だが、特殊な条件を提示されると難しいのである。攻撃力に特化しているため、できないことも多いのだ。


「まずはあっちの森の方に行きませんか?森の中なら動物も多そうです!」


「そうだね!そうしよう!」

メイプルはユイの言うように方向を変えて、町の近くに広がる大きな森へと入っていく。

森はほんの少し光が差し込んでくるくらいで、薄暗く、茂みも多かった。

時折メイプル達を襲おうとモンスターが飛びかかってくるものの、今のメイプル達は目もくれない。目的としているのは仲間にできるモンスターなのだ。


「あ!いました!」


「えっ!?どこどこ!?」

メイプルがユイの指差す方向を見ると、木にとまっている小鳥のモンスターがいた。そのHPバーの隣には仲間にできることを示す印が光っている。

しかし、メイプル達が何かアクションを起こす前に、小鳥は飛んでいってしまった。


「あっ……いっちゃいました……」


「うん……残念……今度はアイテム用意しとこう!」

メイプルはそう言って説明に鳥型モンスターが好むと書いてあった鳥の餌のアイテムを取り出し、今度は仲間にできるように準備をする。


「あっ、でも仲間にできるのは一体だけなんだっけ……どうする?」


「うーん、色々見てから決めたいです!」


「私も……一回仲間にしてから逃すのは悪い気がして……」


「じゃあ相棒探し続行!」

三人はもっと色々な種類のモンスターを探して、森を奥へ奥へと進んでいく。途中には先ほど逃げていった鳥や狼のような動物から、蝶などの昆虫、蛙やトカゲなどもいた。


「この辺りは生き物ばかりなのかな?どこかにはもっとモンスターって感じのもいるのかも」


「エリアごとに分かれてるみたいでしたし……でも私は可愛い動物でいいかなあって思ってます」


「私もお姉ちゃんと同じです!」


「じゃあやっぱりこのエリアかなあ。結構回ったけど……」

何か気になる子はいたと、聞こうとしたメイプルの前を一匹の子熊が素早く通り過ぎていった。通った道はキラキラと輝いていて、何度も見た小鳥などとは違った雰囲気を感じる。


「メイプルさん!」


「うん!追いかけよう!」

三人は光る足跡を追いかけて、森の中をあっちへこっちへ歩き回る。そうして道なき道を進んでいたものの、いつしか光る足跡は消えてしまい、子熊を完全に見失ってしまった。


「うぅー、駄目かあ。レアっぽかったよね」


「残念です……もう一度会えたらいいんですけど」


「メイプルさん!もうちょっと探すの手伝ってもらっていいですか!」

二人も相棒にしたい相手を決めたようで、メイプルは快く受け入れる。


「もっちろん!それに、一回だけじゃなくて、きっちり二回見つけようっ!」

メイプルのその言葉にマイとユイは嬉しそうに笑顔を見せる。


「森の奥の方を探せばいいかな?さっきも奥の方で出てきたし」

ただ、やる気十分といった風で探索を始めようとするメイプルに、マイは思うことがあるようで話し始める。


「あ……でも、私達の足の速さだと追いつけないかもしれません……」


「あー、逃げ足速かったもんね……」

茂みと木々で溢れる森の中では【暴虐】を発動させても、体が大きすぎてうまく身動きが取れなくなってしまう。プレイヤーやモンスターをなぎ倒すことはできても、細かく方向を変えて何かを追いかけるには不向きなのだ。


「やっぱり一旦帰ってイズさんに何かないか聞いてみよっか。また逃げられても悲しいし」


「仕方ないです。早い者勝ちとかじゃないといいなあ」


「きっと大丈夫!あと、今度はサリーにも手伝ってもらおう!サリーなら足も速いし!」

メイプルはそう言って一旦三人で町へと戻るのだった。

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