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防御特化と塔十階4。

ボスの形態変化も済んだようで、ボスも攻撃体勢を取る。背後に浮かぶ五本の剣が切っ先を二人に向け、高速で飛来する。

サリーは余裕を持ってそれを回避し、メイプルはそんなサリーに糸で引っ張られて避ける。


「【カバームーブ】は駄目。ダメージ二倍は今は痛い!」


「うん、ありがとう!」

二人がそうして炎の剣を避け切ると、それらは空中に留まり、再び切っ先を向けてくる。

さらに、フィールド中央に立つボスの背後にさらに五本の剣が浮かんでいることに気づき二人は目を見開く。


「増えるの!?」


「メイプル!短期決戦!」


「う、うん!」

このままでは状況は悪くなる一方だと、二人はボスへの距離を詰める。


「【挑発】!……何とかして止めるから!サリーは攻撃してっ!」


「分かった。頼んだからね!」

飛んでくる十本の剣がメイプルを狙う中、サリーは一人ボスに向かっていく。


「シロップ【城壁】!」

いくつもの壁がメイプルを囲むように立ち上がり、砕けながらも何とか数本を受け止める。

【悪食】の消費も仕方ないと大盾でもガードするが、うち三本がメイプルの体を貫き、直撃したシロップのHPはゼロに、メイプルのHPも半分を切る。


「うぅ……頑張ってサリー!」


「朧【影分身】!【ウィンドカッター】!」

魔法で相手のガードを引き出し、【影分身】でなぎ払いを誘発する。


「行動さえ分かっていれば……!」

一撃で倒される分身を囮に接近したサリーを、さらに鋭くなった一閃が両断する。

直後、その姿は消失し、ボスからダメージエフェクトが弾ける。

【蜃気楼】をも使い二重に囮を設置していた背後からさらにサリーが斬りつける。

これ以上囮となるものは無く、サリーに対してボスが炎の剣を振るってくる。


「っ、【超加速】!まにあ、ったっ!」

サリーは加速し、スレスレでその剣を躱すと、地面を転がり何とか離れる。


「【滲み出る混沌】!」

サリーへの追撃を止めるために大技を使用し、メイプルはまた射撃を開始する。

いくつかがボスに直撃し、HPを減らすがそれでもまだ撃破には至らない。

そうこうしているうちにさらに五本の剣が空に追加される。


「きっつい!」


「うぅ、もうちょっとなのに!」

あと少し、それが遠く、メイプルがダメージを受けてしまうこともあり状況は悪い。


「っ、これは……」

飛来する炎の剣とボスそのものがサリーに向かってきて、サリーは冷静に現状を把握する。


どう避けても二本は直撃する。


「少しでもダメージを……!」

そう思うサリーの目の前を遮るものが爆音の直後横から割り込んでくる。

それは何本かの炎の剣を受けたのだろう、ダメージエフェクトを散らせながら、それでも三枚の大盾を構えるメイプルだった。


「サリー!回復して!」


「【ヒール】っ!」

三枚の大盾で受け止めるものの炎が次々にメイプルを焼く。しかし、サリーの回復のおかげでほんの僅かHPは残った。


「【凍てつく大地】!」

メイプルを斬りつける直前でボスの動きがもう一度止まる。

メイプルはボスの残りHPを確認し、二割まで減っていることを見てスキルを発動した。


「【ブレイク・コア】!」

メイプルから赤い球体が飛び出しバチバチと音を立てる。

超強力な自爆攻撃、発動までは五秒。

サリーはそれを見てボスが逃げられないようにボスの周囲に【氷柱】と【サンドウォール】を設置する。

普段ならば避けられうる攻撃も、今この場なら必中となる。


「これなら……当たる!」

ボスの回避より先にメイプルのスキルが発動し、轟音と共に天井まで届く光の柱が発生する。

ボスのHPがガクンと減少し、メイプルのHPが【不屈の守護者】の効果で一だけ残る。




白い光が消えた時。

ボスはほんの僅かHPを残して健在だった。


「っ!?」

メイプルが驚愕する中、地面に先ほど見たものよりもさらに大きい魔法陣が展開される。


「ど、どう……わっ!?」

思考が止まったメイプルを空中に駆け上がったサリーの糸が引っ張り上げる。

サリーは素早くメイプルを空中に投げ上げて【衝撃拳】でさらに高く跳ね飛ばす。


直後、業火が足元から吹き上がる。

サリーは空中に足場を作り、それを蹴り飛ばすと業火の中に突っ込んでいった。


「っ……!」

【空蝉】が発動し、受けるダメージを無効化し、サリーをさらに加速させる。


メイプルに業火が届くよりも速く、サリーは炎を貫いて、二本のダガーで首元を斬り裂いた。


その瞬間炎は止まり、残り火が燃える中ばたりとボスは地面に倒れた。


「守ってくれたおかげで……間に合った」

サリーはすっとダガーをしまって落ちてきたメイプルを両手で受け止める。


「……ふぅ」


「……えへへ」


「「勝ったぁ!!」」

二人は疲れ果てたように地面に座り込むと顔を見合わせ笑ってハイタッチをするのだった。

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