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防御特化と塔十階。

日を改めて、サリーの【空蝉】やメイプルの【機械神】などのスキルが再使用可能になった所で二人は塔の前に立つ。


「今日で攻略しちゃおうね!」


「もちろん。それにイベントの期間もあるしね。一日に何回も戦えないから」

メイプルのスキルは一日に使える回数に制限があるものがほとんどである。

強力なモンスターと何度も戦うのは不向きなのだ。


「じゃあ九階へ、ごー!」

二人は九階に戻り、上に続く魔法陣の前で最終確認をして、いよいよ十階へと足を踏み入れた。

目の前の光が薄れていき、景色が鮮明になる。二人の前に広がったのは光差し込む石造りの広間だった。ドーム状の天井を持つ円形のフィールドに、どこかへ続く道はなく、中央には光を受けて輝く銀の重鎧を身につけた人間がいた。

フルフェイスのヘルムにより表情は読み取れないものの、それは明確な敵意を持って、腰の剣を抜き放ち二人に向けてくる。


「来るよ」


「うん!」

メイプルが盾を構えた所でボスがグンと加速し一気に距離を詰める。

メイプルは慌てて大盾を合わせるものの、ボスはそれを避けて側面からメイプルを叩き斬る。


「わ、っ!」


「メイプル!」

メイプルは派手な音を立てて飛んでいき、壁に激突し土煙をあげる。

サリーがHPを確認する間もなく、ボスはサリーに斬りかかってくる。


「っ……ふっ!」

斬撃を紙一重の所で躱し、斬り返す。

しかしボスも剣で弾き落とすために、ダメージがほとんど入らない。


「くっ……!」

サリーは負けじと剣を弾くと、一旦距離を取ろうとする。

しかし、常に距離を詰めてくるボスはサリーのバックステップに合わせて更に剣を振るってくる。


「【カバームーブ】!【カバー】!」

それに合わせてメイプルが割り込む。【悪食】が剣を飲み込み、そのまま体を抉る。


「ナイスっ!」

サリーはその一瞬の隙にメイプルの背後から飛び出し脇腹をダガーで切り裂いてボス背後へ抜けていく。

しかし、ボスは構わないという風にメイプルの側面に回り大盾のない方向から高速の連撃を繰り出す。


「【全武装展開】!【攻撃開始】!」

メイプルも即座に兵器を展開し、襲いくるボスに反撃する。ボスのHPはガリガリと削れるが、それでは足は止まらない。

斬り上げ、斬り下ろし、突きの三連撃がメイプルの兵器を破壊して、メイプルを掠めHPをガクンと減少させる。


「うぅっ……!」


「メイプル、こっちに……っ!」

サリーが咄嗟に糸を伸ばし、メイプルを無理矢理引き寄せる。

続く攻撃は空を切り、ボスは一度剣を構えて二人の様子を窺う。


「【ヒール】!」


「ありがとう、ど、どうしよう!?」


「私が一旦ボスの速度を落とさせるから、メイプルは攻撃を受けないようにしてて!」

隙のない攻撃とガードを持つこのボスに対し、サリーは反撃を入れるタイミングがほとんどない。

一対一で戦っていてはじりじりと不利になっていってしまう。

上手くメイプルがダメージを稼がなければならない。

サリーは自分からボスに突撃し距離を詰めると振り下ろされる剣を二本のダガーで受けて逸らす。


「朧【覚醒】【幽炎】!【大海】!【古代ノ海】!」

朧からは青白い炎が放たれ、サリーからは水が溢れボスを侵食する。

どのスキルも受けた相手の【AGI】を低下させる効果を持っている。

【古代ノ海】によって生まれた魚達も【AGI】を下げる水を辺りに撒く効果がある。

動きは鈍ったものの、何とか対等に戦えるかどうかだとサリーは分析した。


「くっ!」

横へのなぎ払いをしゃがみこんで躱し体勢が崩れた所で三連撃が繰り出される。

サリーは目を見開き、回避しようとするがそのまま三連撃がその体を斬り裂いていく。


しかし、その姿はかき消えて、ボスの背後からサリーが現れる。


「【ダブルスラッシュ】!」

作った隙を見逃さず、威力があるスキルでの攻撃を通して、サリーはメイプルの元まで退いていく。


「【蜃気楼】使ってないと……斬られてたっ」


「……えっと、【身捧ぐ慈愛】で守るよ!」


「でもそれだと」


「いいよ!本当はダメージ受けたくないけど……こういう時はサリーを守らないとっ!それに、勝ちたいし!」


「やばそうなら解除していいからね?」


「りょーかい!」

メイプルは【身捧ぐ慈愛】と【天王の玉座】を発動するとサリーに【鼓舞】を使いステータスを上げる。


「行動パターンが変わるまではメイプルのスキルは残さないと!」


「頑張ってサリー!」


「うん、任せて!」

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