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防御特化と塔九階4。

ボスが大量のHPを持っているといえど、カウンター攻撃や範囲攻撃が全て対処されてしまえば決め手に欠け劣勢になっていくのは当たり前だった。

サリーの【剣ノ舞】の効果も最大まで高まり、後はガンガン攻めて撃破するだけである。


「あと……三割ちょっと!」


「【毒竜(ヒドラ)】!」

繰り返されるメイプルの攻撃とサリーの状態異常付与攻撃によって、ついに毒状態になりダメージがじわじわと与えられていく。

それもあって、ようやくHPバーが三割を下回った。


「また何か変わりそう。気をつけて!」


「うん!」

二人が身構える中、二本の腕の下からどろりともう一組の腕が伸びてくる。

そして、空からは黒い炎を纏った流星が次々に降り注いできた。

それらは的確にメイプル達に向かって落ちてくる。


「今度は私達を狙ってるっぽい!」


「防御は任せてー!」

メイプルは大盾二枚を頭の上に移動させると、大きな星を受け止める。


「っ!うぇっ!?」

しかし、確かに受け止め砕けた流星から黒い炎が伝ってきて、メイプルの体を覆っていく。それはメイプルの防御を無視してダメージを与えているようでじりじりとした痛みが走る。

【天王の玉座】の効果とポーションで何とか回復するものの、受けたくない攻撃である。


「ご、ごめんサリー!これ当たっちゃダメなやつみたいっ!」


「おっけー!っ、こっちも、返事してる余裕ないっ!」

サリーはサリーで四本の腕と攻撃した際のカウンター全てを捌けるタイミングでしか接近できず、火力の下がる魔法で攻撃するしかなかった。


「ふっ!やっぱ、大きいってのは強い、なっ!」

それでも隙を見て回避に移行可能なタイミングでダガーを振るっていく。

攻撃を受けるわけにはいかない。

流星はサリーがダメージを与えていても関係なくメイプルに飛んでいっているようで、回避で精一杯のメイプルはサリーの頭上の位置を維持できないのだ。


「これは、下からっ!」

真下に現れた魔法陣から素早く脱出すると、体を切りつけて背後に抜けていく。

そうして【星の力】のバフをかけ直そうとした所で咆哮が響き渡り、星型の足場を黒い炎が包み込む。


「っ!まずっ……」


「シロップ【大自然】!」

遠くから声が響き、サリーの方に向けて巨大な蔓が伸びてくる。

サリーは即座に意図を汲み取って、後ろから襲ってくる腕を躱しつつその蔓を駆け上っていき、メイプルの元までやってきた。


「ありがとう助かった!」


「えへへ、どういたしまして!」

サリーのHP事情ではダメージを受けながら【星の力】のバフをかけ直すことはできない。

一旦メイプルの元に戻るにはステータスをほとんどゼロにして、相当な量の足場を空中に作らなければいけなかったのである。


「今みたいな感じで【ヘビーボディ】とかも上手く使うんだよ?」


「今のはサリーを見てたからたまたま上手くいっただけだよー」


「足場が元に戻るまでは頼むね」


「もちろん!じゃあ、サリーは【ヒール】してくれると嬉しい」


「分かった。こんな時くらいしか使わないしねー」

【身捧ぐ慈愛】の範囲内に入ってしまえばメイプルが健在である限りサリーに危険はない。

そうしてしばらくシロップの上で耐えていると、足場が元に戻った。


「また叫んだら何とか助けるから、攻撃はお願い!【機械神】も【毒竜ヒドラ】ももう撃てないし」


「任せて。本当は攻撃できる方がおかしいくらいなんだからさ」

サリーは足場の上に降りると光を纏ってボスの方に向き直る。


「まだ十階も残ってる。コイツは一回で倒したい!」

再戦したい相手ではないと、サリーは力を込めて足場を蹴り、空中に飛び出す。

メイプルが真上にいてくれるため、敵の攻撃を気にせずにダメージを稼ぐことができる。

動きを途中で止められず反撃が躱せなくなる連続攻撃のスキルも、ガンガン使っていける。


「こっちの方が威力は出るしねっ!」

両手のダガーでの連撃を動きの鈍いボスの巨体では避けられない。

足場が壊れても対処できる二人にとって、行動変化は致命的なものにはならなかった。


「【トリプルスラッシュ】!」


「【滲み出る混沌】!」

最後に二人の攻撃が突き刺さり、ボスのHPがゼロになる。すると、ボスの体は真っ白に染まって光を放ち弾けるように消えていった。

メイプルはすいっと降りてきてサリーをシロップの上に乗せる。


「これで後は十階だけ!」


「お疲れ。今日はここまでにする?」


「うん、すっごい強いらしいし……スキルを回復させたいなあ」


「だね、じゃあ目指せ一発突破ってことで!」


「うん!頑張ろー!」

二人は万全の準備を整えて最終決戦に向かうのだった。



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