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防御特化と塔九階2。

メイプルが何かを考えている間にも、サリーはボスのHPをじりじりと減らしていく。

近距離で攻撃すると、それに対応して黒い体から棘のようなものが伸びてきて、カウンターをしてくるが、サリーにとっては【剣ノ舞】のバフを強化してくれるものでしかない。


「にしてもHP多い……突っ込みすぎると流石に避けられないし……っと!」

横薙ぎに振るわれた腕をふわっと浮き上がって躱すと、近くにある足場に着地する。


「ふぅ……ん?」

さて次はどこから攻撃しようかと考えていると、ボスを挟んで向かい側にシロップの姿が見えた。


「うっわ、何あれ」

シロップは地面に向かって白い柱を伸ばしており、その上ではメイプルが玉座に座っていた。

両サイドには、メイプルにぴったりひっつくようにして大盾が浮かんでおり、中央には正面に向けて【闇夜ノ写】が構えられている。

そして、その隙間からは大きな砲塔が伸びており、緑の洋服を着て冠を被ったメイプルが自信ありげにボスを見据えていた。


「【攻撃開始】【ポルターガイスト】!シロップ【精霊砲】!」

大盾の隙間から伸びた四本の砲塔とシロップの口からレーザーが放たれ、ボスの体を焼いていく。メイプルはそのままレーザーをぐんと振って逃げようとしたボスに追撃をかける。

当然誘発したカウンターは、ゆっくりと空を動くメイプルには避けられない。

メイプルに五本の黒いレーザーが襲いかかり、砲塔をきっちり砕いていく。

ダメージはないものの、少ない武装をまた壊されてしまった。


「むぅ……【ポルターガイスト】はあんまり意味ないかあ……元が壊されちゃうとなあ」

メイプルは再び攻撃対象がサリーに移ったところで、これならノックバックも気にしなくていいとばかりに近づいていって、玉座から立ち上がると【闇夜ノ写】を叩きつけた。

赤いダメージエフェクトが伸び、カウンターが飛んでくるものの、また使えるようになった【ヘビーボディ】で受け止める。

そして、そのままシロップに動いてもらって離れていく。


「これなら動けなくても大丈夫!」


「大胆な攻撃するねー!」

下の方でピョンピョンと足場を移り、振り抜かれる手を交わしながら動くサリーから声がかかる。メイプルは少し考えてからすいっとシロップを移動させて、サリーの真上に陣取った。


「【身捧ぐ慈愛】なら上下も守れるからー!上から守っておくねー!」


「いいね!ありがとー!」

これで万が一サリーが攻撃を受けてもメイプルがかばうだけだ。

しかも、メイプルは追撃を受けないよう三枚の盾と玉座に四方を囲まれており、ダメージカットと回復まで発動している。

後はイズ特製のポーションを出して、足の上に置いておけば完璧な防御姿勢の完成である。


「ピアースガードだけ覚えておかないと……後は瞑想!」

メイプルも使えるスキルが多くなってきて、考えることも増えてきた。なかなか慣れないと思いつつ、下で色々なスキルを使いこなして戦っているサリーの戦闘音を聞く。


「うーん、座ってる間はほとんど攻撃スキル使えないし……えいっ!」

メイプルは盾の隙間からイズにもらった麻痺付与アイテムを放り投げる。

殴り飛ばされてもどうということはないという姿勢でギリギリまで近づいているため、外れるはずもなく、バリバリと音を立てて黄色いエフェクトが散る。


「効きそう!なら……とぅっ!」

メイプルはインベントリからゴロゴロといくつも同じものを取り出すと、横から上から巨大な腕に叩かれながらも投げつけていく。

一つ一つはボスには効果が薄いとはいえ、牽制も攻撃も無視して投げつけられ続ければ話は別である。


「よーし!麻痺になった!」


「ありがとう、これなら一気に攻められる!」

サリーは攻撃チャンスを逃さずに【ドーピングシード】を使用し【STR】を上げると、麻痺でカウンターが飛んでこないうちに一気にHPを削っていく。

こうしてHPがようやく七割まで来たところで麻痺が解け、のっそりと動いていたボスが大きく咆哮する。


「ちょっと下がる!」


「分かった。ついてくね!」

空中のメイプルと軸を合わせるようにして浮かんでいき、離れた場所の足場に着地する。

ボスの咆哮は止まず、そして空に変化が訪れる。

炎の尾を引いて、天からいくつかの流れ星が落ちてくる。それらは星型の足場に直撃し、あちこちの足場を砕いていった。


「うげ……嫌なことを……」


「どうするサリー?乗る?」

メイプルがすっと高度を下げてシロップを隣に止める。


「向こうの方が足場少し多いし、そっちまで連れて行って。メイプルの側なら安全だしね」


「りょーかい!じゃあ攻撃されないうちに早く早く!」


「うん、にしてもかなりタフだなあ……結構削ったと思ったのに」


「だねー」

二人は咆哮が終わる前にと、急いで逆側へ回るのだった。

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