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防御特化と塔七階3。

突進を避けては少し攻撃して離れるのを繰り返して、二人はじりじりとボスのHPを削っていく。

メイプルの強力な攻撃スキルがほとんど使えないのと、そもそも二人では手数に欠けることもあり時間ばかりが過ぎる。

しかし、慎重に戦えばダメージを受けるような相手でもない。


「避けて……攻撃っ!」


「よし、半分切った!」

HPバーの色が変わり、二人はようやくここまできたと再度集中力を高める。

ここで負けてしまっては全てが水の泡なのだ。

二人の見ている前でハリネズミはガサガサと雪の中に潜っていき、その姿は見えなくなった。


「メイプル!一旦離れて様子見るよ!」


「分かった!」

サリーは【氷柱】を発動し、糸を繋いで急いで地面から離れる。

その直後、地面から氷の棘が不規則に伸び、二人を貫かんとする。


「あ、危なかったあ……」


「潜ったら地面に注意しておかないとね。それっぽい動きの一つってわけ」


「なるほどなるほど」


「また出てきたし、降りるよ!」


「おっけー!」

そうこうしているうちに氷の棘は収まり、代わりにボスが地面から出てくる。

二人は同じように突進を待つと、横にずれて躱そうとした。

ただ、行動パターンの変化はここにも現れており、二人が避けた方向にぐいっと進路を変えて突撃してきたのである。


「わっ!?か、【カバー】!」

咄嗟にスキルを発動させサリーの前で大盾を構えたメイプルに氷の棘が直撃する。

バキバキと音を立てて棘が砕けるも、そのまま勢いを落とさずに転がり抜けてくる。


「うぅ……頭擦られたぁ……」

ダメージエフェクトが立ち昇る頭を撫でてながら、転がっていった方を見つめる。即死でなければ回復も間に合うが、辛いものは辛いのだ。


「ありがとうメイプル。ごめん、今度はうまく逃してあげるから」


「うん、お願いするっ!」

再度突進してくるボスを、同じように飛び退いて躱すと、当然追いかけるように向きを変えてくる。


「【跳躍】!よっ、とっ!」

サリーは【跳躍】で飛び退くと、メイプルに糸を付けて引っ張り突進の軌道から外した。

もう一度曲がってくることはなく、二人はそのまま真っ直ぐ転がっていくのを眺める。


「【カバームーブ】だと、もし当たった時に大変なことになるしね」

普段はないものとして扱っているダメージ二倍も、防御貫通攻撃相手では無視できない。HPが低いメイプルにとっては致命傷である。


「もっとHP減らしたらもう一回曲がってくるかな?」


「かもね。気をつけておこう」

スキルで上に避難することができる二人にとって、地面からの棘はたいした脅威とならず、同じことを繰り返して着実にダメージを与えていく。

イズから貰った攻撃に火属性を付与するアイテムも使い、スキルが制限されているとは思えないほど順調にボスのHPを削る。


「飛び乗るよ!」


「よーし、攻撃ターイム!」

二人は武器やスキルから炎を散らしながら、ひっくり返ってもがくボスを攻撃し、ついにHPは残り二割を切った。

しかし、もう一息といったところで、ボスは再び地面へ潜ってしまう。


「とりあえず避難避難!」


「そうだね。また動き変わったかもしれないし、気をつけて」

二人はぴったりと氷の柱にくっついて次の動きを観察する。

同じように地面から氷の棘が次々に突き出す中、エリアの中央でハリネズミは体を丸め氷の棘に覆われると、高速で回転しその背の棘を飛ばしてきた。


「やっ、ば!」


「【カバー】!」

構えた大盾にぶつかり巨大な氷が音を立てて砕ける。次々と飛んでくるそれを受け止めるので精一杯といった状態である。


「ううっ、すごい衝撃!」


「掠ったりしないようにきっちり見て!」

不安定な状態でしばらく耐えていると棘を打ち切ったボスはもぞもぞと雪の中へ戻ろうとする。しかし、それを見逃す二人ではない。


「こっちだって遠距離攻撃は得意なんだよっ!」


「面倒だし、もう潜らせない!」

地面の棘は収まる気配がないため、メイプルはサリーに体を固定してもらったまま、レーザーと銃弾を叩き込む。サリーは魔法とアイテムを使い、メイプルの支援と火力補助を行う。

火属性で弱点を突くことができていたためか、みるみるうちにHPは減少していき、地面に潜る寸前でそのHPをゼロにすることができた。


「やった!」


「うん!ナイスガード、助かった」


「ううん、サリーの【氷柱】のおかげだよー。これがなかったらすぐに地面からの棘にやられちゃってた」


「ふふ、役割分担ってことで。こっちもメイプルのおかげで楽に倒せたし。そもそも多分途中のダンジョン部分すっ飛ばせてるし……」


「あ、そういえば七階はそうやって来たんだっけ」


「串刺しにされないように今後は下見てから飛び降りた方がいいと思うけどね」


「あはは……気をつける」

残りは後三階となったところで、二人は一旦帰ることとした。アイテムもかなり使っており、メイプルのスキルと【機械神】の兵器も打ち止めである。休憩し戦闘能力を元に戻すついでに、クロム達がどれくらい進んだのか聞いてみようと、ギルドホームへ戻っていくのだった。

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