表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/574

防御特化と塔七階2。

二人を繋いでいたロープを外して、正規ルートの通りに残りわずかとなった道を進んでいく。

何かが起こるような場所をすっ飛ばしていったため、足場を移っていくだけで崖下へとたどり着くことができた。

目の前には先程二人を貫きかけた背丈よりも大きい氷の棘が森のように広がっている。


「……あっちかな?進めそうなのは」

吹雪も弱まり、視界も良くなったところでサリーが棘の間に細い道が続いている場所を指差す。


「横からなら刺さらないし、よかった」

二人は氷の棘の並ぶ間をするすると抜けていく。そうして進んでいくと、ぱっと目の前が開けて雪に覆われた円形の広場に出た。


「ボス?」


「今のところはいないみたいだけど……来たかな?」

氷の棘をへし折りバキバキと大きな音を立てて、二人の正面から棘だらけの巨大な球体が転がってくる。

それは二人の前でぱっと体を開く。

そうして現れたのは背中には青白い氷の棘、雪でできた真っ白な体を持つハリネズミというような見た目のボスだった。


「かわいいっ!けど……かわいいけどっ!」


「あれで転がってくると困るね……」

二人は硬そうな背中の棘とその見た目からは想像できない速度で転がってくるところを見たばかりである。

防御を貫通すると分かりやすく示しているそれを受けるわけにはいかないのだ。

そうしているうちに雪でできた身体を丸め、一つの雪玉になると表面を氷の棘で覆ってメイプル達に突進してくる。


「メイプル構えて!」


「うん!」

メイプルはサリーを後ろに隠してその巨体を盾で受け流そうとするものの、速度に押されるようにして弾き飛ばされる。


「うぅ……いたた……」

雪を払いながら立ち上がったメイプルの肩には赤いダメージエフェクトが煌めいていた。

サリーは即座にメイプルを回復させ、次の作戦を考える。


「【ヒール】!」


「ど、どうしよう?」


「……ん?メイプル、あれ見て!」

サリーが指差したボスの背中、そこに生えていた氷の棘が根元から二本折れていたのである。

あれさえなくなればメイプルを脅かす貫通攻撃は無くなるかもしれなかった。


「試してみよう。攻撃と、あときっちり防御して棘が折れるならきっと攻略できる」


「うん、頑張る!【全武装展開】!」

メイプルは武装を展開すると再び転がってこようとするボスに向かって射撃を開始する。

それはボスの体に当たってもダメージを与えることはないが、氷の棘は少し折ることができた。


「来るよ!」


「【カバームーブ】!」

メイプルはギリギリまで射撃を続け、飛び退いたサリーに高速で追いついて回避する。


「えへへ、久しぶりにこれで避けたかも」


「今は当たったらダメージ二倍になるから気をつけてね?」


「あっ!そうだった。当たらないようにしないと……」


「……転がってる間は攻撃しても意味ないみたいだね」


「ほんとだ!折れてないよ」


「とりあえずダメージを与えられるようになるまでやってみよう。変化はあるみたいだし」


「うん!避けられるなら怖くないね!」


「安定してるし、攻撃は任せるね」


「いいよー!かわりに避けるのは任せる!」

メイプルが攻撃し、サリーが避けるのに合わせて突進から逃げる。これを繰り返して、二人は背中の棘を全て叩き折った。

そして、次の突進に対して構えていた二人の眼前で、ボスのハリネズミは雪でスリップし仰向けで

わたわたと暴れだしたのである。


「チャンスだ!」


「くっ、でも微妙に遠い!」


「サリー!つかまってっ!」


「えっ?あっ、分かった!」

メイプルは武装を地面に向けるとそれを爆発させ真っ直ぐにボスの方へと飛んでいく。

そうして墜落するように隙だらけの腹部に降りると上手くいったという風に笑う。


「【ファイアボール】【トリプルスラッシュ】!よしっ、ダメージ入る!」


「えっと……使える攻撃スキル……あっ【百鬼夜行】!」

わたわたもがくハリネズミの両側に大鬼が二体現れ、その金棒でゴンゴンと叩きつけ、ダメージを与えていく。


「え、絵面が……」


「あんまりダメージ出ないや……うわっ!?」


「耐性があるのかも。一旦離れるよ!」

ようやく体勢を整えたボスに振り落とされたメイプルをサリーがキャッチし、距離を取る。

火属性以外の攻撃に対してはダメージ減衰があったため、ダメージはそこまで入っていなかった。


「うん……あっ!二人ももう攻撃しなくていいよ!」

大鬼はガサゴソと雪の中に潜っていくボスに追撃しているものの、ダメージは与えられていない。そして少しすると氷の棘に覆われたボスが再び姿を現し、ゴスゴスと金棒に殴られていく。


しかし、それでは棘全ては折れず、そのまま突進をモロに受けて大鬼は消えていってしまった。


「あーっ!」


「攻撃力上がったかも!メイプル、きっちり避けるよ!」


「う、うん!絶対当たりたくない……」

まだまだ時間はかかる。集中し続けられるかが勝利への鍵だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ