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防御特化と塔四階4。

短めです。

そうして岩場を乗り継ぎ、水の矢をどうにかやり過ごした二人は、ダメージを受けることなく川を下りきり、激流も緩やかになって水の矢も止まるところまで来た。


「サリー!矢飛んでこなくなったよ!」


「ふー……ようやく、落ち着けるね。水の中は相変わらずモンスターだらけっぽいし大盾からは降りられないけど」


「そっか、そうだね。あっ、影見えるよ!」

水の中には素早く泳ぐ魚の影が見える。

その多くがモンスターであることは間違いない。

メイプルは大盾を下流へと進めながらさらにサリーに話しかける。


「水の矢が防御貫通かは分からなかったね」


「ふふっ、試しに戻る?」


「ノーです!ノーノー!」

メイプルは首をブンブンと横に振る。

基本的にダメージを受けたくないメイプルは尖ったものでの攻撃を極力受けないようにしているのだった。


「ま、ボスが使ってくるかもしれないし。その時はまた対処しよう」


「ボスかあ……うう、使ってこないといいなあ」


「最初遠くに見えた海も近いんじゃない?」


「海も久しぶりな気がする!最近の層にはなかったし」


「だねー。水の中にいそうなボスの対策でも考えながら行こうかな」

水の中のモンスターを無視できる二人は集中力を高めながらもゆったりと進んでいく。

そして途中川が別れることもなく、周りの森も終わり、二人の前に広がる景色がパッと開けた。


広がるのは一面の海。光を受けてキラキラと輝く海は波も小さく穏やかだった。


「サリー、ボス……いそう?」


「どうだろう?足場全くないし……うーん、ここで戦いたくないんだけど……」

メイプルもそれには同意する。

しかし、都合の悪いことほど起こってしまうもので、二人の眺める海の一部がゆっくりと隆起すると、音を立てて弾けてボスモンスターが姿を現わす。


それは五メートルを超える海亀だった。


「おー海亀だ!」


「ってことは、ここで戦うしかないってことだね」


「シロップとどっちが大きいかな……」

メイプルはこれからボスと戦うとは思えない、楽しいことがある前のようにうずうずした様子で海亀の方をじっと見る。


「……あんまり愛着湧かないようにね?」


「だ、大丈夫!」

そうして会話をしているうちに、海亀の方が動きを見せる。

海亀は一旦水の中に潜ったかと思うと、空へ向かって水の道を伸ばしながら自在に空中を泳ぎ始める。

後ろに、空へと昇るように流れる水の道を作りながら海と空を行き来する。


二人が驚いて固まっているうちに、空間はいくつもの水の道が駆け巡る、摩訶不思議なものとなった。


「すっごい!すっごーい!」


「攻撃してこないし……ここまでがフィールドの事前準備なんだろうね。綺麗……」


「サリーサリー!あの海亀の背中、乗ってみない?」


「えっ……できるかな?……いや、そもそもボスだよ!」


「ちょっとだけ!試してみるだけ!絶対楽しいよ!シロップに乗るのとはまた違うと思うよ!」

メイプルは目を輝かせてぐいぐいとサリーに詰め寄る。

サリーは海亀の方をチラッと見て、少しやってみたいと思ってしまった。


「ちょっとだけ……だよ?」


「やった!じゃあ【身捧ぐ慈愛】っ!」

メイプルはサリーを守る準備を整えると、何かを思いついたのかインベントリアイテムを取り出す。


「シュノーケル?」


「水の中でちょっとだけ息が続くようになる優れものだよ!えへへ、あるの忘れてたけど……」


「本当、色々買ってるね。じゃあ甲羅に固定するための糸は任せて!」


「ありがとう!絶対乗るぞー!」

こうして、四階のボス戦が始まったのである。



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