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防御特化と塔三階4。

コミカライズも開始しましたので……


投稿強化月間です。

二人は一転して氷に支配された洞窟内を進んでいく。メイプルは盾に挟まって浮かんだまま、キョロキョロと辺りを確認する。


「もう降りてもいいんじゃない?」


「急に足から凍ったりしない?」


「しない……と思うよ」

サリーが分からないけどと付け足すと、メイプルは結局降りないことに決めたのだった。

そのまま進んでいくと、二人の耳には氷が砕ける音が聞こえ始める。


「メイプル、上!」


「おっけー!」

天井の氷がバキリと剥がれていき、氷でできた蛇が地面に降りてくる。

メイプル達くらいなら一呑みにできるサイズである。


「とりあえず、引きつけるから!」

サリーが降りて来た蛇に攻撃してそのまま走り抜けていく。それを見たメイプルはサリーが引きつけているうちに蛇の側面にすうっと移動する。


「ちょっと通りまーす!」

全てを飲み込む黒の盾を構えてそのままスライドするように前進し、容赦無く蛇の胴体を抉り取っていく。


「で、一応……【毒竜ヒドラ】!」

メイプルが放った毒の塊は蛇にダメージを与えて、さらにその氷の体を毒におかしていく。


「効いたっ!よっし!」

メイプルは毒が通って嬉しそうに声を上げる。

ただ、これだけダメージを与えればサリーからメイプルに狙いも移るというものだ。


「よーしこーい!防御は鉄壁だよ!」

うつ伏せの状態で大盾二枚に挟まれて、さらに前面は【悪食】持ちの大盾でカバーである。

ただでさえ硬いというのに殻にこもりまですればまさに鉄壁だった。

ただ、蛇もまっすぐ攻撃しにくるほど単純ではないようで、メイプルにされたようにすっと横にずれるとサイドから噛み付いてきた。


「あ!そっちは【悪食】届かない……うう、大盾壊さないで!」

メイプルが手を伸ばす中、蛇はごりごりと二枚の大盾の耐久値を削っていく。


「なら倒さないと、ねっ!」

跳躍したサリーが頭部を斬りつけた所で蛇は光となって消えていった。


「ありがとうサリー!」


「いや、ほとんどメイプルだよ。やっぱりきっちり毒が入ると強いね」

サリーはそうして広がる毒の海を見ていたため、毒の中に半分沈んでいる何かを見つけた。


「メイプル、何かあるっぽいんだけど」


「うーん……?とりあえず毒の中だし私が見てくるね」

メイプルはすーっと空中を移動すると、何かの上までやってきてそれを拾い上げる。

それはソフトボールほどの大きさの氷の塊である。氷の塊は光を受けてキラキラと青く輝いていた。


「えっと、アイテムかな?」


【万年氷】

使用することで【溶岩】を固めることができる。


「サリー!いいのあったよ!」


「じゃあ持って戻ってきてー」


「うん!」

メイプルは落ちている【万年氷】三つを拾うと、慎重にサリーの元まで戻っていく。

サリーは【万年氷】をメイプルから受け取ると、なるほどと頷いた。


「これを使えば、あの溶岩の所は乗り越えられるけど……どっちかなー」


「どっちって?」


「いやー、ボスが炎か氷かってこと。このアイテムがあるなら炎の方の先にいるのかな」

サリーがキラキラと光る【万年氷】を眺めながらそんなことを言うと、メイプルは少し悩んでいるような表情を浮かべる。


「こんなに綺麗なのに使っちゃうのもったいないなあ……もっと落ちてたらよかったのに」

メイプルは残念そうにサリーの手の中で輝く【万年氷】を見つめる。

こんなに綺麗なものも使ってしまえばなくなるのである。


「それなら探してみようか、蛇もそこまで強くないし。あれならメイプルの銃撃も効くだろうし」

もし蛇が出てこなかったら、私の二個だけでどうにかしようとサリーは提案した。


「いいの?」


「いいよ。そのかわり上手く守ってよ?」


「任せて!痛いのも……ちょっとだけなら」


「まず溶岩を避けるとこから考えようよ」

こんな悩みも蛇が何匹も出てくるなら解決すると、二人は獲物を探すが、出てくるのは二メートル程の人型氷像や、氷の息を吐くコウモリばかりである。

出現率が低いのか、それとも一度しか出現しないのか、結局二人はもう一度目当ての蛇を見つけることができなかった。

そこでサリーがあることを提案する。


「今日は一旦終わる?メイプルのスキルも大分使ったし、それに二階からそのままだしね」


「収穫はあったし、いいかも!」

攻略に使うであろうアイテムも手に入り、氷側の探索も終わった。

そして、ボス部屋が氷エリアになかったことから、二人にはボスが溶岩を使ってくる可能性が高いことが分かったのである。


「なら、次は溶岩の先に一気に行こう。ということでお疲れ様!」


「うん、ばいばーい」

二人は揃ってログアウトする。

万全の体制で先へと進むのは、ボスが厄介だろうことが予想できるからだった。


現実世界へと戻ってきた楓はゲームを片付けて、ベッドの上でぐっと伸びをする。


「ふぅ……溶岩のあるところは浮いて行かないとだし、ボスはどうしようかな……」

楓は【暴虐】もあまり効かないように思えて、どうしようかと考える。


「理沙に何とかしてもらうしかないかあ……固まってくれれば何とかなるんだけどなあ」

楓はあれこれ考えながら一階へと降りていくのだった。


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