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防御特化と塔三階2。

二人は雑魚モンスターを簡単に撃退すると、改めて周りを見渡した。

壁から吹き出る溶岩は相変わらず滝のように流れ落ちており、壁や天井を煌々と照らしている。


「すっごいね……現実だったら暑くてこんな所居られないよ!」

メイプルは溶岩の海の淵にしゃがみこんでその先を眺める。

メイプルも流石に触りはしないものの、音を立てて弾ける溶岩を興味深そうに見つめていた。


「確かにそうだね……んー、そっかそっか、攻略ばかりに気を取られててももったいないか」

そうしてサリーは周りを警戒しつつも、メイプルを真似るように、外では見ることができない景色を眺め始める。


「四階はどんな感じかな?」


「さあ?私も情報は見てないし……でも、通路だけの階層じゃないんじゃないかな。シロップもいい感じに飛ばせるかも」


「それだったらいいなあ。地面のことも気にしなくていいしね!」

広場はまだしも、通路は巨大化したシロップでは通ることができないくらいの狭さである。


そうしてしばらくのんびりとしていると、ここが戦闘フィールドであることを思い出させるように、また燃える鳥が滝から現れ始めた。

それを見つけたメイプルが溶岩から目線を上げて鳥の方を指差す。


「あ、サリー!また出てきちゃったよ?」


「無視して行こう、っメイプル!」


「えっ、わっ!?」

サリーの声にメイプルが目線を戻すと、どろっと溶けた燃える鱗を持つ魚型モンスターが、ちょうど口から溶岩塊を放つところだった。


メイプルは咄嗟に盾を振って【悪食】で溶岩塊を飲み込んで無効化する。

そのままモンスターはバシャンと溶岩の海から飛び出してきて、一メートル程の大きな燃える体でメイプルに飛びかかり、そして盾の中へと飲み込まれていった。


「び、びっくりした……」


「私も。ちょっと気を抜いてたから……ごめんね、危なかった」


「ううん、いいよ。それより、急ごう!気づかれないうちにっ!」

メイプルは溶岩の海の方から目を離さないようにして立ち上がり、そして後ずさると次の通路に向かって走り出す。


「そうだね……やっぱりその盾強いなあ」

最近はメイプルも攻撃手段が増えたため、【悪食】に頼りきりではなくなったものの、メイプルと相性のいいスキルであることは変わらない。

サリーはメイプルに走って追いつきながら、その強さを再確認したのである。


二人はモンスターに気づかれることなく通路へと飛び込むと一息ついた。


「やっぱり、落ち着いてられないね……どこからモンスターが出てくるか分からないもん!」

後ろを振り返りながらメイプルがそんなことを言う。広場と比べれば、むしろ通路はモンスターの潜伏場所がないため安全とも言える。


「階層が上がっていく度に面倒なモンスターとか一癖あるのが増えるだろうし、貫通攻撃とか固定ダメージとかも気をつけないとね。後は回復封じもかな」

サポート役から崩しにくるのはよくあることだとサリーはメイプルに教える。


「確かに、ただ攻撃してくるだけなら大丈夫だし、そうかも!私もサポート役から倒したいって思う」


「メイプルのそれはちょっと違うような……」


「そう?」

二人はそんな話をしながら通路を進み、慎重に次の広場を確認する。

そこには短い間隔で溶岩が噴き出す危険地帯が広がっていた。

赤々と燃える炎は時には高い天井にすら届いており、それを見て二人は顔を見合わせる。


「さ、サリー?これ、どうすればいいの?」


「えっ?無理、だと思う……いやダメージ覚悟なら進めるかもしれないけど。それは正攻法じゃなさそう」

サリーはこれが全てダメージ地帯だとしても、メイプルが【身捧ぐ慈愛】を使って守り、サリーが回復をすれば無理やり通ることはできるだろうと結論づける。


「どこか別の道か、あとは【ウォーターボール】!」

サリーは水魔法を地面にぶつけてみるものの溶岩の噴出は止まらない。

メイプルはサリーが水魔法を使った瞬間に、これは正解だと思ったため、少し肩を落としたようだった。


「うー……駄目みたい。えっとじゃあ、どこかに解決法とかあるのかな?」


「とりあえず引き返して他の道を見てみようか。

いくつか分岐もあったし、隅々まで探索してみよう?」


「そうだね!うっ……でもさっきの場所に戻らないと駄目かあ」

せっかく気づかれないで来ることができたのにと、メイプルは残念そうな顔をする。


「きっと他の場所にも嫌っていうほどいるよ」


「うぐぐ、ならアイテム準備!」

メイプルは水属性ダメージを与える球をインベントリから取り出すとぐっと握り締める。


「本当いろんなアイテム持ってるね……」


「ふふふ、結構使えるんだよ!」

こうして二人は一旦引き返すことに決めたのだった。



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