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防御特化と靴探し。

もう少しだけ毎日投稿を続けます。

やめる日は一応未定で。

メイプルとサリーが幽霊屋敷を探索してから数日。

流石にサリーもまだ、もう一度六層に挑戦しようという馬鹿げた考えが浮かんでいない頃、メイプルは六層のギルドホームでくつろいでいた。


「サリーは五層でレベル上げだし、ユイとマイも別の階層を探索するって言ってたし……私はどうしようかな?」

サリーとはまた別の理由でユイとマイにも六層は厳しい場所だった。

多くの敵が物理攻撃を無効化してくるため、当たれば必殺の攻撃が意味をなさないのである。


「ん、そういえば。サリーが言ってた欲しいものの中にアイテムがあったはず……」

メイプルはうんうんと頷くと、今日はそのアイテムを探しにいくことに決めた。


「サリーが欲しそうなアイテムがあったらあげるって約束したのに、まだ何もあげられてないし。ちょうどいいや!」

メイプルはサリーにHP増加の装飾品を貰っていたり、素材集めを手伝ったりしてもらっている。

ギルドホームの開設のための代金もサリーが集めてくれていた。


そのお返しができるいい機会だとメイプルは思ったのである。


「あ、でもどこで手に入るかサリーはちゃんと調べてないんだっけ」

今回のサリーの情報収集は甘いなどというレベルではないため、メイプルはまずゲーム内の広場に設置されている情報掲示板を確認しにいくことにした。


「よーし。そうと決まれば早速行こう!」

メイプルはぱたぱたと走ってギルドホームを出て行った。




右も廃屋、左も廃屋の大通りを進んでいくと、掲示板の前に辿り着く。


「わわっ、人がいっぱい……」

新階層実装直後ということもあり、大きな掲示板前には多くの人がいた。

メイプルは小さな体でするするっと人波を抜けて、掲示板が見えるところまでやってくると、情報を確認していく。


「んー……あった!これだ!」

メイプルはしっかり入手条件と出現する場所を確認してその場を離れていく。


また人波をすり抜けて、少し人の少ない場所まで来たところでメイプルはふぅと息を吐いた。


「これだとフィールドも人がいっぱいいるかもしれないなあ」

そんなことを考えながら、メイプルは調べた場所へシロップに乗って飛んでいった。





「あー、やっぱり人が多いなあ」

上空から下を確認すると、魔法やスキルのエフェクトがあちこちで煌めいていた。


狙うモンスターはいわゆる霊型モンスターであり、全身が白く輝く骨でできている。

すっと消えては現れてを繰り返し攻撃を躱してくるモンスターで、当然物理は効かない。


「うーん……私だとやりにくいよね」

メイプルのスキルは広域殲滅と至近攻撃のどちらかがほとんどであり、こういった場面においてちょうどいい射程のものはないといってもいい。


「別のところでも出ないかな?」

メイプルはここを避けて別の場所を探すことにした。

幸い、目的のモンスターはある程度上空からでも確認できるくらいの光を纏っているため、探すことは可能だった。


「いなかったらここに戻ってこよう。うん。じゃあ、シロップ?行くよー」

メイプルはシロップの向きをぐるっと変えると、広いフィールドを外へ外へ、町から離れるように飛んでいく。


「いないかなー……うーん、もうちょっと探してみよう」

メイプルはシロップの甲羅から少し身を乗り出して下をじっと見る。

そうしてしばらくいったところで霧が濃くなっている山の近くまで飛んできた。


「ここは下が見えない……頂上の辺りだけ確認しようかな?何かいるとしたらそこだよね!」

メイプルはシロップの高度を下げると少し開けた場所に降りた。


「ありがとうシロップ!」

シロップを指輪に戻し、メイプルは山を登っていく。

そうして少しいった所で、霧の中に透き通る赤い骨で出来た霊型のモンスターがメイプルの前に現れた。


「ちょっと違うけど……大丈夫かな?」

別モンスターなのだから目的通りでないことは確定的なのだが、メイプルは気にせずとりあえず倒してみることにした。


「よーし【挑発】!逃げないでね!」

メイプルが【挑発】をすると近くからさらに数体同じ見た目のモンスターが現れる。


「やった!ラッキー!」

モンスターを探すことに最も時間がかかるメイプルからすれば、向こうから近づいて来てくれることは大歓迎なのである。


「【毒竜ヒドラ】!」

幽霊屋敷では使えなかった毒の奔流。

魔法陣から飛び出した毒の流れは接近してきていたモンスターを飲み込んでいく。


「うぇっ!?生き残るの!?」

毒への耐性が強いのか、【毒竜ヒドラ】で一撃とはいかなかったのである。

メイプルは想定外の耐久力に目を丸くした。


モンスターの背後からは真っ黒な煙が立ちのぼり、それが髑髏の形を成していく。

耳障りな声が声帯もない霊から発せられる。


「ちょ、ちょっとぉ……危なそうな……【天王の玉座】!」

メイプルは緊急避難とばかりに背後に現れた玉座に座る。

効果はあったようでとりあえず見るからに危険そうな攻撃はキャンセルされた。


「うーん、やっぱりこれに座ると攻撃できないなあ。綺麗だからもっと使いたいのに……」

六層に物理が効かないモンスターが多いことも、戦闘の長期化の原因だった。


「誰かと一緒にできれば……サリーがいればいいんだけど、むぅ」

メイプルは元気付けとしても、サリーが欲しがっていた靴を手に入れてあげようと改めて思い直した。


そして、今回もまた紙を貼る作業に移ったのである。


「買い足しておかないと……あ、除霊のお札なんかもお店にあったっけ。それも買ってこようかな?」

霊の顔面を燃やしながらメイプルはそう呟いた。



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