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防御特化と六層。

短めです。

メイプル達はいつも通りに、まずギルドホームへと向かうことにした。

その間サリーはずっとメイプルの右手を掴んだまま、いつもの索敵とは違う理由できょろきょろと落ち着きなく視線を動かしていたのだった。


ギルドホームは外観こそ廃屋だが、中に入ってみれば今まで通り、過ごしやすい快適な部屋が広がっている。

それぞれが自分の部屋へ向かったり、設備の位置を確認したりとロビーから離れていき、メイプルとサリーだけがロビーに残った。


「はぁ……落ち着ける」

サリーは大きく息を吐くと、パネルを操作してログアウトの文字を表示する。


「じゃあ……メイプル。七層が実装されたら帰ってくるから……」


「えっ?」

サリーは力なく微笑むと、メイプルの返事も聞かず、逃げるように消えていった。

逃げるようにというよりは正に逃げた訳なのだが、それも仕方ないとサリーをよく知るメイプルは思ったのである。


「サリーと探索はできないかなあ」

メイプルが痛いことを嫌うようにサリーもまた嫌うものがある。


「ああまで言ったら……戻ってこないよねー」

今回ばかりは諦めて、メイプルは一人で町を見て回ることにしたのだった。

メイプルはギルドホームを出てどっちに行こうかと左右を確認する。


「うん!サリーが戻ってきた時に六層のことを全部教えられるくらい見て回ろうっと!」

メイプルはそう意気込んで月明かりに照らされた夜道を歩いていった。




「うわあ……どこも廃屋ばっかり。多分中は普通なんだろうけど……んっ!?」

時折ある完全に崩れ切った廃屋跡の側を通ると、首筋を生温かかったり冷たかったりする風がふわっと撫でるのである。

メイプルが後ろを振り返ってもそこには何もいなかった。


「これ、サリーは町も歩けないかも」

窓には青い人魂がちらっと映ったりもして、メイプルよりも鋭い感覚を持ってしまっているサリーは、そういうものに余計に気づいてしまうのである。


「とりあえず、どこかのお店に入ってみようっと!」

メイプルはそう言ってぼんやりとした灯りの見える店へと入っていった。




メイプルが探索をしている頃。

現実世界へと戻ってきた理沙はベッドに寝転がっていた。


「あー無理無理。ま、別にいいよね、他の階層でレベリングしてれば」

理沙は未練などないというようにごろごろとしていたが、しばらくすると六層の情報を調べ始めた。


そうしてまず出てきたのはMP増加系のスキルが手に入るというものである。


「カナデとかが取るかなー……ちょっと欲しいけど……レイス?スケルトン?無理無理」

出現する敵を見て理沙がそう独り言をこぼす。


理沙はその後も情報を確認していく。

まだほんの僅かしかないものの、分かりやすい場所で手に入るものは調べることができた。


そうして出てきたのは、状態異常を与えられるようなスキルに、低確率で一部アイテム効果を二倍にするスキル。【AGI】強化に、加速スキル。

そして、空中に透明な足場を一つ作ることが出来る靴である。


「ああー、うぅー……くぅ、んー!あ゛あ゛ー……っ」

酷い声で呻きながら、理沙は画面を指でなぞって確認する。しかし、そこに書かれている文字は変わらなかった。


そうして理沙は再度ゲームを始める準備をしてはそれを止め、もう一度始めようとしては止めを繰り返して部屋をぐるぐると歩き回った後、最終的にその日はぐったりとベッドに倒れこんだ。

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