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防御特化とイベント。

骨の王は光となって消えていき、そこには棺だけが残った。

六人がその棺の中を覗き込むと、そこにはいつかの埋葬時に入れられたようにして、六つの巻物と見覚えのある六つの銀のメダルがあった。


他にも錆びた剣などは転がっていたものの、アイテムとして取得できたものはその二種類のみだったのである。


六人はそれぞれに報酬を手に入れ、そして巻物に入っているスキルを確認する。


【死霊の泥】

使用後三十秒間、攻撃に、与えたダメージの四分の一のHPロスを追加する。

一分後再使用可。


つまり、このダンジョンで六人のHPを削っていったあの黒い液体を元としたスキルである。


それぞれがこのスキルを確認し、どういった用途で使うことができるかを考えた。

何人かは興味深そうにスキルを見つめて、また何人かはそれなりに嬉しそうに、ダンジョンを後にした。


また、彼ら六人は残ったHPが尽きるその時まで、ジャングルの中を探索していくことにした。




そうしてジャングルの奥地にある遺跡を六人が踏破した日から数日。

メイプルはギルドホーム内に設置された机にべったりと突っ伏していた。


「あー……うー」

HPが減ってしまったからとジャングルから戻って来たのはいいものの、もう一度ジャングルへ行くためのアイテムがうまく手に入れられなかったのである。


そうこうしているうちに、だんだんとジャングルへの興味が薄れてきてしまったメイプルは、全員がジャングルに行っている中、一人ギルドホームでうーうー言っているのである。


「いいや、ジャングルはもういい!結構頑張って冒険したし」

メイプルはそう言って立ち上がると心機一転ギルドホームから出ていった。

もちろんそれはジャングルへ行くためのアイテムを取るために歩み出した訳ではない。


「どこか行ってないところ……あ、そうだ!」

メイプルは何かを思いついたのか、久しぶりにゆったりと歩きながら雲のフィールドを進んでいった。




「わー……すっごい」

メイプルの目の前に広がっていたのは絶え間なく稲妻が落ちる雲の大地である。

少し前にクロムに教えてもらった場所だったここに、やりたいことがなくなった今やってきたのである。


「よし……行ってみよー!」

メイプルは意気揚々と雲海の上を歩いていく。

ゴロゴロと音の鳴る中、メイプルが無事でいられるはずもなく、メイプルのいる場所に稲妻が一条落ちて直撃した。


「うわっ!……っと。よーし!なんともないっ!」

雷に打たれてなお、メイプルのHPは一ミリたりとも減少してはいなかった。

そして、その体には麻痺が効くことも当然なかったのである。


「じゃあ改めて出発!」

メイプルは歩いていく。その体には数十回は稲妻が落ちているものの、その全ては例外なく弾けて消えていってしまう。


「サリーみたいに避けたりできないかなー?……うわっ!と、やっぱ無理だ、無理無理」

避けようとぴょんぴょん動いているところを雷に射抜かれて、びくっと硬直したところでメイプルは避けられないと悟った。


「いいよ、別にー……よっと!」

諦め悪く飛び退いてみたメイプルに現実を分からせるように雷が落ち、メイプルは今度こそ完全に諦めた。


「歩こう歩こう。あるこーっと」

メイプルの気分は変わっても防御力は変わらない。そのまま雷を弾き飛ばしてメイプルがずんずんと歩いて行ったその先には、雷雲ではなく、白く綺麗な雲海が続いていた。


「抜けたのかな?……何かあるといいなあ」

そうして、メイプルはキョロキョロと周りを見渡しながら進んでいく。

しばらく進んだその時。メイプルは白い雲の上に立つ何かを見つけた。

メイプルは自身の身長の五倍はあるそれをぐっと目を凝らして見つめてみる。


「んー……椅子?」

白い雲の上、同じ白い色をして、しかしより輝いて見える、メイプルが椅子と呼んだもの。



それは、大きな玉座だった。


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