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防御特化と骨の王。

戦闘が始まると真っ先にペインとミィがボスに向かって飛び出していく。

クロムがそれを追いかけようとした時、ボスが持つ杖の先端で青い炎が燃え上がった。

その途端、なんの変哲もなかった地面を突き破って次々と武器を持ったスケルトンが現れる。

その手に持った錆びた槍や剣からは黒い雫がポタポタと垂れていた。


「クロム、後衛頼む!」

ペインが行く手を阻むスケルトンを切りとばしながら叫んだ。


「ああ!【挑発】!」

クロムは足を止めて、後衛三人の前で盾を構えた。部屋全体から湧くスケルトンが、後衛に直接迫ることは避けなければならないのである。


そうしてガードを固めたクロムの後方から炎の塊や唸る風の刃が次々に打ち出された。

カナデは範囲攻撃ができる魔導書を使って、そしてミザリーは持ち前の範囲魔法で攻撃する。


マルクスはクロムをサポートすべく罠でスケルトンを拘束し負担を減らしていく。

しかし、【挑発】を使っていることもありクロムに集まるスケルトンは多い。


クロムはうまく大盾で捌き、鉈で斬り伏せてはいたものの、とうとう腕に槍が突き刺さった。

クロムはすぐに対応し、大盾で突き刺してきたスケルトンを弾き飛ばしたものの、腕からは赤い光が溢れている。


「ダメージ自体はたいして……くそっ!マジかよ!皆気をつけろ、骨の攻撃にはHP減少効果があるみたいだ!」

クロムのHPは今もじわじわと減少している。

それは数秒して止まったものの、毒でもないその効果には対処法が現状存在しなかった。


「スケルトンは無限湧きのようです!」


「なら……ミィとペインの周りを撃って。ここは罠で頑張るから」

マルクスが腰につけていたポーチから結晶と何かの種を取り出し、ばら撒いた。

結晶が弾けると、近くにいたスケルトン数体をバチバチと音を立てる光が縛り上げる。

種は急成長し、太いツルが壁を作り上げて、スケルトンを遮断した。


それを見たカナデとミザリーはより前方へと魔法を撃ち始めた。

ボスに近づくほど多くなるスケルトンに足を止めさせられていたペインとミィだったが、強力になった支援攻撃のお陰で、ついにボスの間近まで行くことに成功したのである。


「炎は効くか?」

ぐんっと腕を振って【炎帝】によって現れた炎の玉をボスに直撃させると、HPが目に見えて減少していく。


しかし、HPが減少すると同時、噴き上がるはずの赤いダメージエフェクトはドス黒い液体に置き換わっていた。

ミィは直撃こそ避けたもののその液体をいくらか浴びてしまった。


「HP減少か……!」

HP回復がないこのエリアにおいては面倒この上ない攻撃性能でミィのHPを削っていく。


「だが脆い【断罪ノ聖剣】!」

ペインが剣を振り抜く、ボスがガードしようと構えた杖を弾き上げ、肉のなくなった胸から顔にかけてを深く切り裂いていく。

黒い液体を浴びつつペインが追撃しようとした所で棺の中から黒い液体がドロリと溢れ出した。


「くっ、ミィ!」


「もう一撃!」

ミィはボスの頭部に火球を叩きつけて怯ませるとペインと共に一旦距離をとった。

二人の下がる場所のスケルトンは、後方からの途切れない魔法で倒され続けているため、ボスに集中することができるのである。


棺の中から溢れ出た黒い液体はボスの周りの地面を覆い尽くすと止まった。

歩いて近づくためにはそれなりのダメージと引き換えにする必要がある。


さらに、ボスが杖を天井に向かって放り投げ、それは天井に吸い込まれていった。

そして黒い輝きがボスの骨の体を覆っていく。

それに伴いスケルトンの半数ほどが力を失い消えていったが、代わりに天井から黒い雫がポタポタと滴り始める。

見覚えのあるそれは一ずつ確かにHPを削っていっていた。


「全員前に出ろ!総攻撃だ!」

ペインが再度突撃する。それに合わせ後ろにいた四人もボスに攻撃が届く位置まで前進する。


しかし、それら全ての攻撃の威力はボスの体を覆う黒い輝きがより強くなった瞬間に大幅に減少してしまった。


「クロム……!ボスの側まで行ける?今、ボスに強力なバフがかかってる……解除するから」

そう言うマルクスの右目の前にはまるで片眼鏡でもしているかのような白い円が浮かんでいた。

つまり、これによりボスのデータを見抜いているわけである。


「二人は何とかなるか?」


「僕が防御系の魔導書を使うよ!大丈夫」

自信あるその声に押されてクロムはマルクスを連れてスケルトンの中を走っていく。

ダメージを受けながらもマルクスの目的の位置までたどり着いた。


「よし……【聖なる鎖】!」

ボスの体の周りに黄色い魔法陣が次々と現れ、そこから白く輝く鎖が伸びて、ボスの体を締め上げる。

ボスを覆っていた黒い輝きは消えて、さらに動きを三秒間完全に止めるおまけ付きである。

その三秒はミィとペインを前にしてはあまりに重いものだった。


「終わらせる!」


「当然!」

ミィの火球が骨を焼き、火柱が棺もろとも焦がしていく。

ペインの聖なる連撃がボスの顔面を横一文字に叩き斬る。


黒い雫が全員のHPを半分以下にした頃、骨の王は再び眠りにつくこととなった。



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