表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/574

防御特化と龍退治。

サリーは回避を鍛え直し、メイプルは通行許可証の為にクエストをこなす。

第四層はやることが多く、多くのプレイヤーが町とフィールドを駆け回っていた。

【楓の木】の面々も例外ではなく、特にトップを走る者達はそれぞれに目的を持って忙しく行動していた。

そして、サリーが情報を確認していた日から数日のうちにその時はやってきた。


【楓の木】全員で龍退治に向かうことに決まったのである。


とりあえずメイプルさえいれば全員で行くことでの被弾増加のリスクがほぼなくなる。

サリーの持つ情報を元に全員のスキルを活かして、【龍の逆鱗】をドロップするボスを倒す手順を立てることとなった。


「情報からすると……空中から電気の玉を吐き出す。高度を下げたタイミングで魔法や弓で攻撃。魔法攻撃が軽減されるため弓推奨。一定値までHPを減らせば地面すれすれまで降りてきての突進や爪攻撃、ブレス……貫通攻撃は爪だけ。しばらくすると空に戻っていくみたい。あとはダンジョン形態ではない。これくらいかな」


「これもうほぼ勝ちだな」

メイプルへの有効打の量が敵の勝率に直結するため、クロムの言うことももっともだった。


「私は【竜殺し】のスキルを持っているから地上での攻撃役にまわろう」

カスミのスキルはドラゴン、龍などというモンスターへのダメージが増加するというものである。


「ユイと私も降りてきた所を攻撃する役でお願いします」

ユイとマイも地上攻撃のメンバーに入り地上に降りた龍が生き残ることが出来ないであろう布陣が完成した。

クロムとメイプルを突破してユイとマイを倒さなければ死は免れないだろう。


「メイプルと僕が空の龍を攻撃する感じかな?僕達は遠距離攻撃に乏しいから」


「そうね、でも……それしかないと思うわ」

魔法攻撃が軽減されるとはいえ、カナデの魔法も貴重なダメージ源である。


「結構時間はかかると思うけど……負けることはないかな」

基本方針が決まってきてサリーがまとめて、さて出発という雰囲気になったその時。メイプルが口を開いた。


「んー……私も作戦を思いついたんだけど、いい?」


「話してみて?」

メイプルは思いついた作戦というものを話し始めた。








【楓の木】の一行は龍のいる場所に続く魔法陣がある山頂へと向かい山を登っていた。

道中飛びかかってくるモンスターはメイプルの守護に弾かれ、残り七人の攻撃に蹴散らされていった。


「到着!」


「うん、あの魔法陣だね」

目の前には煌々と輝く魔法陣。

それに乗れば即戦闘フィールドだ。


「じゃあ、メイプルの作戦通りに」

サリーの発言を最後に全員が魔法陣の光に包まれてその場から消えていった。



到着したのは以前メイプルが悪魔と戦った場所のような荒野だった。

遥か高い暗い空、そこを真っ白い鱗を持った龍が飛んでくるのがメイプル達には見えた。

低空飛行でない状態では魔法攻撃すら届かない。そんな高みから龍はバチバチと音を立てて白く輝く玉をメイプル達に向かって放った。

それはきっちりとメイプル達のいる場所に落ちた。


「うん、大丈夫!」


「おっけー。じゃあメイプル、予定通りいこう」


「うん!じゃあ、カスミ?」


「ああ、分かってる」

降り注ぐ攻撃など意にも介さず龍討伐の準備が進んでいく。

メイプルは武装を展開し、カスミは武装を上手く避けつつメイプルの背中にしがみつくと、イズから貰った【ドーピングシード】を使って【STR】を上げる。

メイプルは上を見て龍の位置を確かめるとその砲口を地面に向ける。


「じゃあ行ってくる!」

爆炎と爆風が地面を駆け抜け、メイプル

とカスミは上空へと飛んでいく。

吐き出す玉を貫いて高速で龍の口元まで辿り着いた。

カスミは龍の頭に飛び乗って、メイプルはそのまま体の横を飛びつつスキルを発動する。


「【滲み出る混沌】!【毒竜ヒドラ】」


「【終ワリノ太刀・朧月】【紫幻刀】……!」

飛ぶ龍の巨体の横をすり抜けるようにしてメイプルの攻撃が、背中の上では尻尾の方向へと走りながらのカスミの攻撃がそれぞれHPを削り取っていく。

本来魔法攻撃でちまちま削るのが正攻法であるモンスターのHPを一定値まで減らすことは容易だった。

メイプルは一足先に尻尾側に辿り着くとシロップを呼び出して空中に浮かせ、自爆を上手く使ってシロップの背中に落下した。


「メイプル!……【跳躍】!」

紫の煙を振り払いつつ、カスミがほとんど転ぶような形で飛び込んできたのをメイプルは受け止めた。

刀は持ってこられなかったようで降下し始めた龍と共に地面に落ちていった。


「はぁ……【紫幻刀】はなくても足りたかもしれないな」

このスキルの代償は事前にギルドメンバーに見せてあるためもう驚かれることはない。


「後は皆に任せよう!」



降りてくる龍の姿を見たクロムはメイプルのいない間攻撃を受け止めていた盾を下ろした。


「来るぞ!」


「大丈夫、準備は出来てるわ!」

ユイとマイは両手に大槌を持って龍が突進してくるラインを挟むように立つ。

注ぎ込まれた【ドーピングシード】、カナデが盛れるだけ盛った【STR値強化】の支援魔法、サリーもほぼ使う機会がなかった【鼓舞】を使って底上げする。


龍は咆哮と共に突進してくる。

定められた行動に従って自ら死に直進していくしかないのだ。


「「【飛撃】!」」

振り抜いた大槌から放たれた四つの衝撃波は龍の顔面に当たると八割近くあったHPを消し飛ばした。


「メイプルもやばいがあの二人もぶっとんでるな……」


「そうね……」


「僕、支援魔法積みすぎたかな……?あ、メイプル達も降りてきたね」

一分も経たない内にボスを倒し、参加者分の【龍の逆鱗】を手に入れることに成功した。


カスミはシロップの上で服装を整えておき、地面に降りると刀を拾いに向かった。それが済むと、魔法陣で元の山頂へと戻り龍退治は終わりを迎えた。

カスミがまだ小さくなった体になれていないため、全員でシロップに乗って山を降りていく。


「メイプルは何でアレで走れるんだ……?」

カスミの言うアレとは人ならざるあの姿のことである。


「何だか出来た!」


「……そうか」

カスミは悟ったような顔でそう呟くだけだった。


「カスミが元に戻るまで十分だろ?このまま移動して鬼退治も行かないか?」

本来予定していた時間を大幅に短縮した結果生まれた空白をそのまま次のボスにあてるというクロムの提案は満場一致で賛成となった。


「鬼は地面にいるから、行動パターンが変化するより早くユイとマイに殴り倒して貰えれば……二人ともいける?」


「「大丈夫です!」」


「私はとりあえず【身捧ぐ慈愛】しておくね」

こうして一行は続いて鬼退治へと向かった。




その鬼は凶悪な見た目を十秒ほど見せつけて光に変わっていくこととなった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
鬼ってことは純粋にステータス高いタイプだったんだろうな・・・ 上位互換が複数人で襲ってくるの哀れすぎる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ