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防御特化と壺の中。

一瞬の浮遊感の後メイプルはお尻から地面に落ちた。


「っとと!こ、ここは?」

メイプルが辺りを見渡す。

そこは真っ平らなフィールドで遠くに高い壁が見えた。

メイプルが歩いて端から端まで歩こうとは思えないような広いフィールドである。


「……ん?何か来てる?」

メイプルが額に手を当てて目を細めて遠くを見ると硬そうな紫色の甲殻を持った蠍や百足、さらには蜘蛛などまで本来持っていない甲殻を持ってしてメイプルの方へと走ってきていた。

なかなかの速度で走ってきており見る見る内に姿は大きくなってくる。


「ふふーん、あれを倒せばいい訳だね!分かってきたよ!」

メイプルが腰に手をやって短刀を抜こうとする。


「あっ!?そ、装備してないっ!?」

メイプルは観光モードのまま戦場に放り込まれてしまったため短刀も大盾もインベントリの中である。


「ちょっ……えっとえっと!」

メイプルは急いで青いパネルを出すと急いで画面を指で叩く。

ただ、焦っているために関係のないアイテムをミスタップしてしまい時間を取られ、それがさらに焦りを加速させて結局装備変更の完了ボタンを押す前に、最も足の速かった蠍がメイプルの胴体を挟んで持ち上げた。


「ちょっ、いや!ま、待ってよ!タイムタイムターイム!!」

蠍に持ち上げられて身動きが取れないものの蠍の攻撃は全てメイプルには通らない。

メイプルがやられることはないのだが、買ったばかりの着物は別である。


「破れる破れる!!もう……うわっぷ!?毒液垂らさないで!」

百足が体を持ち上げてメイプルの真上に位置どり、その口元から紫色の液体をメイプルに向かって垂らしているが、これもまたメイプルには影響がない。

ただし、例によって装備には甚大な影響がある。

メイプルは再度装備変更を試みたものの元々戦闘のために作られた物ではない着物は儚い光になって消えてしまった。


「あー…………」

メイプルは抵抗を止めて足をぶらんぶらんさせ、毒液を滴らせながらゆっくりと装備を設定した。



メイプルの装備が黒一色の装備に変わると、メイプルは腕を限界まで振って大盾を蠍のハサミに当てて拘束から逃れることに成功した。


「うわぁ……いっぱいいるね」

百足の毒液を浴びながらメイプルは呟いた。

メイプルが捕まっている内にわらわらと集まってきた、毒を持つ多種多様なモンスターが視界に入ったためだ。


「本当絶対全部倒す」

メイプルは【捕食者】を呼び出し、【身捧ぐ慈愛】を発動させる。


「【全武装展開】!」

ガシャンと音を立ててメイプルから兵器が伸びる。


「【攻撃開始】」

次々と放たれた攻撃がモンスター達に当たってはその甲殻に弾かれる。

全てのモンスターが紫色の甲殻に覆われているのである。

その体をくねらせる蛇なども例外ではなかった。


「硬い……大変だからよくないよ!そういうの!」

メイプルの攻撃に【捕食者】の攻撃も合わさって目の前にいた蠍に最も多く攻撃が入っていた。

その結果、メイプルの目の前で紫色の甲殻が砕け散り柔らかそうな部分がむき出しになった。


「思ったよりすぐ壊れるんだね……【滲み出る混沌】!」

メイプルがそこに化物の口を放つと蠍は光となって消えていった。

HPはそれほどないことは分かったものの数でカバーされていると言える。

常に【捕食者】は攻撃を受けており、空を飛んでいる蜂や蛾などもいる。

全て倒すには時間がかかるだろう。


「そうだ!……取り敢えず【捕食者】は戻して……」

メイプルは二匹のお供を戻すと銃口と砲口を地面へと向け、遥か上空へと吹き飛んだ。


「シロップ!」

メイプルは空中でシロップを呼び出すと即座に巨大化させ浮き上がらせた。

シロップよりも高い場所まで飛んだメイプルは真下に配置したシロップの背中に落ちた。


「えへへ、ありがとうシロップ」

きっちり受け止めてくれたシロップの甲羅を撫でるとメイプルはシロップの首近くへと向かってシロップに命じた。


「咥えて」

シロップは何も言わず素直にメイプルを膝辺りまで咥え込んでくれた。


「よーしよーし」

メイプルは地面と水平にしていたシロップを今度は地面に垂直にした。

逆さ吊りになったメイプルの兵器の銃口が地面に向けられている状況だ。


「【攻撃開始】!まずは全部のモンスターの甲殻を砕く!」

空から地面へレーザーと銃弾の雨が降る。


「クレーンゲームみたい」

メイプルはシロップを操作しぐるぐると円を描くようにして満遍なく攻撃を当てて回った。

地面を見ることが出来ているため、目立ちやすい紫の甲殻が壊れているかを確認し続けられ、撃ち漏らしなく工程は進んでいった。


「空中のモンスターは甲殻が柔らかくてすぐ倒れちゃったし……後は地面に降りて直接倒そっと!」

上を見上げる必要がなくなったメイプルはシロップを指輪に戻し、空中で姿勢を整えると足から地面に降り立った。


「次は仕留めちゃうからねー……覚悟してよねー!」

モンスター達の消えゆく間際の断末魔がメイプルへの返事となった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 蟲毒に格の違う毒虫がつっこまれたらこうなるんですね。
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