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防御特化と聖剣使い。

突如現れた地獄のようなこの環境では凡人から順に死んでいく。

一人また一人と倒れていき、三分が経ちメイプルの分身が消えた頃には半数以上のプレイヤーが光となって消えていた。


ただ流石に【暴虐】状態のメイプルにも貫通スキルを使用することには全員が思い至ってしまったため、小さなダメージが積み重なってメイプルは元の姿に戻されてしまった。

天に向かって伸び上がった化物の姿が消えメイプルがプレイヤー達の集団の中に落下してくる。

プレイヤー達はそれぞれにスキルを準備しており、着地してからの行動を許さないつもりである。


「【全武装展開】!」

空中にいるメイプルから地面に向けていくつもの銃口砲口が向けられる。

ガシャガシャと音を立てて次々に黒い兵器が展開される。


「【滲み出る混沌】!【毒竜ヒドラ】!」

地面に向かってもう嫌という程見た化物の口が放たれメイプルを真下から攻撃しようとしていたプレイヤー達を消し飛ばした。

続く毒竜が地面を毒に沈めメイプルが有利に動けるようになる。

また、【毒耐性】が十分でないプレイヤーはそのままやられてしまう。


メイプルを包む化物の体は確かに消えた。

だがしかし、メイプルというものは化物を人の形に変えたものと言っても過言ではない。

いや、それ以上のものとも言える。


見た目は遥かに良くなれどその攻撃手段は比べられないほど多彩になっており、攻撃も当てにくくなっている。

あの姿よりも厄介な、可愛らしい顔をした天使のような悪魔。

敵対したプレイヤーからすればこういった印象になるのは仕方なかった。


着地したメイプルが纏う兵器はメイプルをぐるりと取り囲んでいたプレイヤーを撃ち抜き焼き払って倒していく。

強力な毒の海の中心にいるメイプルには【毒無効】がなければまともに近づけないが、遠くからの貫通効果付きの魔法は大盾によって受け止められてしまう。

結果、取り囲んでいたプレイヤー達は完全にメイプルを諦めて包囲を解いてメイプルから離れることになった。


当然メイプルが無事に離れさせてくれるはずもなく、爆炎と共にメイプルが高速で飛び回り始めるという事態になった。




【集う聖剣】の面々は奇襲攻撃に失敗した直後に【地割れ】によって周りを足止めしたことでカウンターを防ぐことが出来た。

現状は【炎帝ノ国】のオーブを狙いつつせっかく集まってくれている競争相手を潰しているといったところだった。

ペインとドレッドは一人でも十分過ぎるほどに戦えるプレイヤーなため単独で、ドラグとフレデリカは固まって行動していた。

【楓の木】からは離れて戦っている理由は主に二つで、大規模ギルドのライバルを潰すために効率がいいことと基本【楓の木】は危険なことの二つである。


「標的が移る前には撤退……か」

ペインは一人呟きながら目の前のプレイヤーを処理していく。

ペインにしろメイプルにしろあるラインを超えると格下との戦いは作業になる。


ペインは頭の中でメイプルとの戦闘をイメージし、結果を思い浮かべる。

するとどう立ち回っても両者共に万全の状態ではメイプルを倒すまでには至らないという結論が出た。


「鍛え直すか……」

ペインはいつかまた勝てる可能性が生まれた時に戦うつもりなのである。


「新たにスキルでも探してみるとしよう……」

ペインはメイプルが暴れまわっているのを遠くに見ながら目の前のプレイヤーをまた一人斬り捨てた。




どのギルドからも危険だとされているギルドが三つ共集まっているのだ。

その殲滅力は並大抵ではない。

しかも三者共に干渉しないように意識し合っているのだからたちが悪い。


ボロボロになって全ギルドが撤退した後で残ったのは【炎帝ノ国】の四人と【楓の木】の面々だけである。

【楓の木】はクロムがユイとマイと後衛組を【カバームーブ】と【カバー】を乱用して守っていたためボロボロになっているくらいでカスミも回復が間に合っているし、サリーも問題ない。

メイプルも当然大丈夫である。


「スキルがなければ終わってたな……」

クロムは自分が生き残っていることが不思議なくらいだった。

何度もHPはなくなりかけたが気味が悪い速度で回復していったのである。


対して【炎帝ノ国】は満身創痍であり、もう既に多くの切り札も使ってしまっている。さらにギルドメンバーの多くが既にリタイアすることになってしまっていた。

ここから【楓の木】とは戦えないだろう。

ミィもそう判断したようで、ちょうどメイプルと自分達との間にある自軍オーブを回収に向かうことすら諦めて炎をその体に纏わせた。


直後起こったのは大爆発。

そう、ミィはありったけのMPを使ってメイプルの自爆飛行を真似て、ミザリーとシンとマルクスをつれてその場から緊急離脱したのだ。

メイプルとは違い回復をミザリーに頼るのだが、結果としてそれは成功した。

これは【炎帝ノ国】のギルドメンバーの総意だった。

上位に留まることをギルド内最強の四人に託したのである。


メイプル達は再びオーブを手に入れることに成功したのであった。


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