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シャンデリアと父親

 もしかしたらあの二人が死ぬかもしれない。早く止めねーと。そうだ!鍵がかかってんだ。もうこんなもんぶっ壊しちまえー!

『ちょ、ちょ!何ドア壊してんのー!』

そんなこと考えてる暇じゃねーだろ。あたしはみのると約束したんだよ。父親をぶっ倒してやるって・・・。

『でも、もうきっとナイトが入ったところはお父さんにばれているでしょうね。』

ああ、わかってる。それでもあたしは走るんだ。すずの体は絶対傷つけねーからな。

『お願いね!みのるを助けて!』

『そんなにドタバタ走っていては、気付かれてしまいますよ?』

いいんだよ。死人が出る前に、あたしが二人を救うんだ。父親を殺すことにはなると思うけど・・・。

「誰だ!」

やっぱり気付かれてたか。みのるの父親がリビングから出てきやがった。

『本当に大丈夫?大丈夫だよね?』

ああ、全然!あたしは死神だぞ?こんなことでびびってられんかよ。

「あたしは・・・死神だ。」

『このお方が死神の存在を信じると思います?』

『黒卯羽阿大学所属の頭だよ?絶対信じないよ。』

そんなことわかってるんだよ!でも、なんか思いつかねーじゃん!言い訳とか。ここは正直に話すんだ。

「ははは。おもしろい子だね。泥棒かと思ったよ。」

こいつ、態度かえやがってる。ところが、急に眉間にしわをよせ、声を低くして言った。

「ところで、何のようだ?死神ごっこもやめなさい。ドアを壊した分、弁償してもらうよ!いや、死んでもらおうか?」

『ちょっとナイト、みのるのお父さんナイフ持ってるよ!殺す気なんだ。私を!』

は?そんなことしたら警察に捕まるだろ?頭悪くね?

「おまえか、みのるの黒卯羽阿大学入学を邪魔するのは。おまえがいなくなれば終わりだな。」

『あのナイフの向き、みのるのお父さんの向いている向き・・・上?』

どうしたんだ?すず。

『危ないです!みのるのお父さんがナイフを投げた瞬間、後ろへ下がってください!』

え?どういうことだよ。後ろに下がったってナイフ突きつけられたら死んじまうよ!

『言われた通りにするのです。』

わ、わかった。

「さようなら、みのるの親友ちゃん。」

次の瞬間、ナイフを思いっきりみのるの父親は投げた。あたしは素早く後ろに下がった。バリン!!あたしの真上にあった大きなシャンデリアがでかい音をたてて落ちてきた。

「よけやだったな?何でわかった?」

「そんなのあたしもしらねーよ!」

まさか、こいつ本当にすずを殺そうとしていたなんて、ゆるせねー!

『ナイト、勇気を持つのです。死神なら、殺すことなんて簡単でしょう。』

簡単なわけねーだろ!でも、こういう人間は絶対許せねー。やるしかないのか。

「さっきも言ったが、あたしはすずの体をかりた【死神】だ。おまえはなんでも自分のために家族を動かせて、思い通りにしようとする。自分の子供であるみのるも殺そうとした。そんなひねくれた頭に言いたいことがある。」

「ひねくれた、だと!?私は黒卯羽阿大学所属だぞ!なにをえらそうに―」

「うるせえ!人を殺すってことは、どんなにつらいことかわからねーのか!おまえのような気分で人を殺すような人間は、死神にもなれねえよ!自分の子供を平気で殺せるやつは、本当の親じゃねえんだよ!人間として最悪だ!」

スーハースーハー。あたしは深呼吸して心を静めた。

「何をするつもりだ!?」

【天よ!地よ!力をかしたまえ!この者の命を切り裂くがいい!】

「やめろ、やめろ、この私を殺す気か!」


みのるの父親は後ずさる。その上にはシャンデリアが・・・。バリン!!あたしの術が効いたんだ。あたしは急いで顔を伏せた。見たくないから。

『ナイト、大丈夫・・・?』

あ、ああ。すず。とりあえず大丈夫。でも、まだ信じらんねえな。自分で人間を殺しただなんて。生まれて初めてだったから。死神として、仕事をしたのは。

『わたしには、まだよくわからないんです。命の価値について。でも、ナイトの話をきいて、少し考えられそうな気がします。』

チャームは、人間を幸せにするのが仕事だ。ケガをした二人の傷を、いやしてくれ。

『はい。わかりました。』



 体は・・戻ったけど。

「みのる、大丈夫?」

私は急いでかけつけた。チャームが傷をなくしてくれたけど、なんだかすごく心配だった・・。

「す、ず・・・?」

目を開けた!よかった~。

「私、ケガ治ってる?あんなにガラスにたたきつけられたのに。」

「女神のチャームがケガを治してくれたんだよ。」

すると、みのるのお母さんが起き上がってきた。

「すずちゃん?どうしてここに。」

「たまたま遊びにきてたらこんなことになってて。」

「何の騒ぎ?」

みのるは少ししてからまわりの状況を察知した。すると一人の医者が言ったんだ。

「高橋さん。残念ながら、お父様はお亡くなりになりました。」

みのるはすぐに私をみて驚いた様子だった。私は静かにうなずいた。



―夜―

今日はなんか疲れたな~。早くベッドに入ろう。

『まさか二人とも上にあったシャンデリアのこと気付いていたとはなぁ。』

まあ、ナイトは必死だったからね。ナイフと手の向きが上側に向いていたの。それから上にシャンデリアがあることに気付いて・・・

『ナイフでシャンデリアを壊す気みたいでしたね。』

シャンデリアって、そんなに壊れやすい物なの?

『ま、特にあいつのはすべてガラス製でできてるんだよ。それが廊下に数十カ所あるんだぜ?やばくねーか?』

みのるとみのるのお母さんを殺す気でいたのかもしれない。それでいつでも殺せるようにガラス製にしたとか・・・。まさかね。でももう当分ないかもね。こんな大惨事。


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