学校ではちゃめちゃパニック
―次の日―
どうしよう。学校ついちゃった・・・。夜中は全然眠れなかった。だって・・・二人がうるさくて眠れないんだもん!
昨日の夜中は最悪だった。
『なあなあ、人間って科学ってものに詳しいみたいだな。たとえばどんなんだ?』
さあ、車とかじゃない?・・・。
『車とはもしかして人間の手で作られた大きな動物のことですか?』
『他にもあるよな。飛行機とか、船とか。よく学校で習うんだ。人間界を知るためにそのぐらい知らないとな。』
『ええ。ところで、さっきからどうして真っ暗な部屋で横になっているのです?』
『ああ、きっと寝るんだ。人間は横になって体力を回復したりするんだよな?』
あのさ、そこまで習ってるのなら、
「人間が寝るときは静かにしろって教わらなかったのー!」
思わず声を出してしまったあの夜・・・どれだけ怒られたか。もーやだ~こんな生活一ヶ月も続けるなんて!
あ、そうだ。二人とも、絶対私の体使わないでよねっ!
『ああ、わかってるわかってるって。』
『なるべくがんばります。』
なるべくじゃダメー!なんかすごく心配・・・。
「あ、おはよう。すず。」
「おはよう、みのる・・で、今日は何りてるの?」
教室の中では盛大な劇が始まってる・・。ま、毎日なんだけどね。
「はっはは!死神がこの世界を滅亡する!」
「死神!この女神にやられたくなければ、人間を助けなさい!」
『な、何事だ?世界を滅亡するとか言ってたな!?やべーぞ!』
ちがうちがう・・。神様ごっこだよ。
『そういうことでしたか。一つ質問なのですが、死神と女神は、昔から仲良しですよ?』
『そうだな。争ってるなんて不自然だな。』
「いいの!人間の遊びなんだからっ!」
「え?どうしたの?すず。今何か言った?」
あ、つい口に出しちゃった。私のバカバカバカカバ・・?カバ?
『すず、おまえカバだったのか!』
『人間だと思っていました。言葉を話せるなんてすごいですね。』
ちがーう!
「ええと、この問題の答えを黒板に書いてください。橋立さん。」
え!?わかんないよー!図形の拡張式なんてわかんない~!とりあえず前に出る。けど・・。チョークをもったものの、何をかけばいいのか。そのとき、体が自分のものでなくなるみたいに、体がいうことをきかない。まさか・・・!
仕方ないですね。私がかいて差し上げましょう。
『ちょっと、かってに私の体使わないでーていったよね?』
でも、ほら黒板に何を書いていいかわからなかったのでしょう?書いておきました。
「ええ!橋立が式を書いた!?すげえ!」
『男子ったら、そんな驚くことないでしょ!てか、チャームいつまで私をつかってるの~!』
あら、すみません。
それにしても・・・頭いいんだな~。すらすらっとかいちゃったんだもん。私はいそいで席に着いた。
「すごいね。今日は調子よかったの?」
「うん。まあ、今日はね・・。みのるはいつでも頭よくていいよね~。」
『おまえが勉強してないんだろ!』
ナイト、お説教はやめてー。
「すごーい!橋立さん、上手く泳げてるわ!」
『なんか変に目立ってるよー!私、体育苦手なんだけど。ねえナイト、私の体力考えて泳いでるよね?』
いや、全然。バタフライなんて簡単だろ。でもちょっとすずの体じゃ体力ないなあ。あたしは折り返して泳ぎ終わった。はあつっかれた~。
「すず!すごいじゃない!私でも泳ぐの難しいのに、あんなに簡単に泳いじゃうなんて!」
「こんなの簡単、簡単!」
ゲラゲラ笑うあたしにみのるは不思議そうに言う。
「え?すず。具合悪いの?なんかおかしくない?」
『やばい!みのるにばれちゃう!』
戻った?戻ったよね?よし戻った。
「なんでもない。ちょっと泳げて自分でもびっくりしちゃって。へへ。あ、次給食だよね~。今日は何がでるんだっけ?」
なんとかごまかしたけど、みのるは首をかしげてる・・・。う、どうしよう。もーナイトたちのせいだからね!
『別にいいだろー。楽しかったし。』
私が楽しくないの・・・。ナイトのせいで全身の体力使い切っちゃったじゃん。
給食
「ねえ、すずなんか隠してない?」
「え?隠してない隠してない。ははは。」
みのるは私を細目で見る。みのるの疑ってるときの顔。どうしよう。
「すずがわざとげに笑うときって何か隠してるって、私知ってるんだから。で。何隠してるの?幼稚園のころ約束したよね?隠し事はしないよね~って。」
そんな約束、よく覚えてるね。
「どうせ言ったって信じてくれないじゃん。てか言っていいことかもわかんないし。」
ねえ、これって話しちゃダメだよね?
『だめじゃね?でも話したってだーれも信じねえよ。』
『そうですね。死神と女神が自分の中にいるだなんて、信じるのはすずぐらいでしょう?まあ本当のことですけど。』
それはつまり私がカバ・・・じゃなくてバカっていいたいの?
「ごめん。いつか話すよ。」
「いつかいつかとか言って、話したことないじゃない?今話して!気になるじゃない。」
「じゃ、じゃあ放課後まで、放課後まで待って!お願い!」
「もう、すずったら。わかったわ。」