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幕間劇―AERO
野卑な、その好奇の目を向ける、宿の主人の七人の子供たち。
同世代だというが、彼らの視線に耐えきれず、少女、イリスは部屋のドアを閉じた。
震える羽根を、ローブで隠し―古城の中でストレイトスが見つけたものだ。勇者は何一つ迷わず見知らぬ城の中を進み、使えるものを回収した―少女は今まで生きてきた世界を思う。
「ストレイトス様……父上……」乾いた空気。粗末な朝食の場で出た、乾した芋の煮付。
怖くてたまらなかった。
王宮は―故郷はどうなったのだろう。
熱病で流れる汗をぬぐい、この世界に来てからの疑念を少女は思い起こし、すでに故郷と呼んでいることに気付く。
少女の生きてきた世界、鳥人たちの国。白と銀の王宮ははるか遠くで―遠く―。
ですけど―会いたい。
やさしい父と勇者の飛竜と、もう一度だけ、あの風の中を―飛びたい。
「勇者様―。ストレイトス様―。勇者ならば貴方は、姫の傍らに―ともにあるのです。姫は勇者とともにあります。だから―だから、私のそばに」
ストレイトス。千の異世界を越えられるならば―。