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我が属性はTERRA  作者: 鬼明或呑
~第一章~ DROP,TWO HEAVENLY SABER
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それから―。宿に残…

 それから―。宿に残してきた少女との会話が、かろうじて勇者を立ち上がらせる。

「―勇者たる貴方がいなくなれば、あの少女はどこにいくのですか」

 ―お前は治癒の詠唱を続けろ、ライブラリ―。勇者の傷は深い。

 西の洞窟。その最下層にて。

「遠き大海の羅丘―」聞いたことがない詠唱。勇者と対峙する魔術士の老人。その老いた腕が振るう、砥がれた岩の大剣。

 街の者はみな撤退させた。あってはならないことだ。勇者がただ一人の老人に敗れる。

 勇者は、ストレイトスは二振りの剣を構えなおす。

 目の前の老人。力求め、死霊の姿を纏う、高位魔術士―魔人。

 ストレイトスは冒険の記録を検索し―今まで勇者として鍛えた2万7000のアビリティーその中の切り札、―魔族の王剣―を使う。そう決めた。それしかない。

「―八条の黒碗をなし―」老人の詠唱。その岩の大剣。大海の羅丘。八条の黒腕。

 大大質量の瀑布の前に二振りの剣は砕けた。勇者は左下からの斬り上げをかわし―きれず、そばの岩塊を持って打ちすえ―勇者たるものの腕力―打ちすえ、軌道を変える追撃を、バックステップでかわした。

 右腕の切り傷を気にも留めない勇者に対し、ライブラリ、勇者の記録、冒険の書は治癒の詠唱を展開し、勇者の切り札―ストレイトスが魔族の王族達にかつて受け、身を以って会得した切り札―魔族の王剣の詠唱文言を勇者の意識に送る。

 目の前に対峙する、老人は―いや、唯の老人ではない。死霊化、高度なアンデッドと化した魔人は岩の大剣を振るう、関節の制約のないような腕を掲げ直し、最上段に構え―詠唱する息を継ぐ。

 大海の羅丘。その八条の黒腕。

「―お前は―何を―喰らう。その腕で何をつかむ。空の新月を引き込み―」

「―真の飢えを―喰い飽きぬ虚無の質量を―喰らえ」

 羅丘剣。大大質量と化した隕石並みの剣閃を、しなる腕で放つ魔人に対し―勇者は、右腕を宙に何かをつかむように挙げ、両足を開き、左手を下に垂らす。

 異法の、異世界の魔術。

 まみえた、魔族の―王剣。

 魔人の剣と勇者の魔術。魔人には光砂、勇者には闇黒の光がその身を覆い、寸刻後、ついに―。


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