表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が属性はTERRA  作者: 鬼明或呑
~第二章~ VS EVIL CALIBUR
15/52

やがて夜は半分を過…

 やがて夜は半分を過ぎた。都市の中心市街。死者の群れの中を泰然と歩いてきた、黒の―狩猟着。

「久々だね―」

 黒衣が声をかけた相手は、鋼をまとい強大化した重槍斧を胸にかまえ、鈍い色の光砂を放ち、狩猟着と対峙する、鋼の楼閣―エイリ・ダンターダ。

「詩人―お前がこの夜を創ったのか。寺院の―僧籍だな? 」

 黒衣―死者の中に歩を進め、月の詩吟をささやいていた影は―「防御と治癒の詠唱を唱えながら、反撃だけに集中し、一撃で敵を深くえぐる。多勢相手にはいいかもしれない―」エイリの問いに応える気はなかった。

「死者が襲った人びとのなかには、寺院を信仰する者もいた」

「いさましい―」

「人びとの喜捨で成り立つ、この都市と人びとを守るべき寺院が、何故こんなことをする―答えろ! 」

 黒の狩猟着は―建物の陰で見えぬが、表情をゆがませたそぶりを見せ―ついと顔を上に向けた。空に目をやり、ささやく。

「形成さずヘルクレウスの王剣に潰れてしまった世界の残さ―黒き星々が境界を抜けこの地上に迫る―」

「何を」

「この街に奴だけを落とし込むための、そのための、人払いさ。みな追い払う。必要なことだ」

 ―そうだろう、ウドゥン―。

 そうささやく。エイリに聞こえぬくらいに。黒の狩猟着、葬送鳴弦士―アウリュは弦なき半月の弓を取り出し、鋼をまとうエイリに矢を向けて―微笑んだ。

「魔族の王剣―奴は世界を欲しているのさ、さあ」「試してみるかい、エイリ? 」

 突進したエイリの剛槍の一撃を避け、アウリュは低く、詠唱の文言を唱え―半月の弓に闇黒の影が集い、鳴弦士の矢は放たれた。

「守るべきものを守りたがる。昔のままさ、エイリ」

 やがて夜は明けるが、都市には光差さず―。魔族の王が世界を呼ぶ―。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ