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我が属性はTERRA  作者: 鬼明或呑
~第二章~ VS EVIL CALIBUR
11/52

「小生はこの大地の…

「小生はこの大地の、息吹というものを研究している。息吹とは、この単一で単調な世界を外世界と循環させるためのものであり―」

「貴方は、あの洞窟で―何をしていた」

 語り始めた老人を青年はさえぎり、老人、ウドゥンはそれには答えなかった。

「外の景色を見たかね? 」

 ストレイトスは窓から外に視線をやる。目を覚ましていたイリスも身を起こした。窓の外―はるか先に地平線が見え、そこには―。

「あの地平線の果てに伸びる、砂の嵐。あれは外世界からここへの息吹、門を閉じると同時に、外へ向かう何物をも止める、魔族の詠唱した魔術なのだよ」ウドゥンは句を継ぐ。

「昔を語ろう。この地は本来、多くの世界に門を開いていた、が―」「ある日、魔族の詠唱により門は閉じられた。それから数十年。サンドストームが世界を閉ざしているならば。もはやあれを越えることかなわず」「君たちが来たのは―イレギュラーだ」

 ストレイトスとイリスはこの世界に降りたのだ。

「サンドストームを越えるほどの魔術、魔族の王剣―奴が、世界を呼んでいる」「相互に通行できるはずの門が、外世界からこの地に、そしてこの世界の中枢、地龍の心臓へと向いている」「私が息吹の、洞窟に開いた門の向こうに見たのは―地龍の心臓を喰らう―魔族の王、ヘルクレウス」「君たちは―呼ばれたのだ」

 

 ~

 

 魔族の王、ヘルクレウス。

 それが地龍の心臓を喰らい尽くし、やがて門をそのうちに納め、世界の門を越え、あらゆる世界に腕を伸ばし―。

「地より出で、樹を伝い、水と光を呑み、他の世界をその肉に引きずり込み―いつか、三千世界は爆縮する」「やがて君の遠い故郷も、その少女の、鳥人の世界も押し潰される」さあ―。

「―どうするかね、勇者よ。勇者ならば―」世界を救えるかね? 

 千と17つ目だった。

 老人は改めて名乗り直す。

「テラ=ウドゥン・ネメスという。皆は、ウドゥンと呼んでいたよ」

 ストレイトスは逡巡のあと、

「いつもストレイトス・フォルトネムと名乗る。しばらくはともに行きます」そうとだけ言った。

 イリスは二人のやり取りに

「あ、あの、姓は名乗れませんが、イリスと申します」慌てた様子で名乗った―。

 その様子に老人が微笑んだ。


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