表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第4章 決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/100

第98話 レイス再び

 GAT隊総指揮官の真壁陸佐が率いる1番、2番、7番隊は、レールガン2号機の側で撤退準備を完了しつつあった。


 式典会場に倒れていた生存者は可能な限り救助し、落ちているゴブリンの魔石も出来る限り回収した。


 また、高速機動車2台とは別に、レールガン2号機の資材を載せた軍用輸送車2台から積荷を降ろし、救助者を乗せるスペースを作った。


 ただ、救助された人達は、かなりの重傷を負っており、自力で立ち上がれる者は1人もおらず、山南7番隊が2台の輸送車に別れて懸命に応急手当を施していた。


「山南先生、この患者、腕の出血が止まりません!」


 今では、GAT隊で山南の事を軍医とか小隊長と呼ぶ者は殆どおらず、誰もが山南母さんとか山南先生と呼んでいる。


「肩の付け根を強く縛りなさい。それから、これを注射してっ。血流が遅くなるから!」


 先行で垂水市の病院へ搬送した救助者は60人、残りは輸送車に乗っている20人。


 この会場にいた人数は約500人と聞いているので、400人以上がゴブリンの犠牲になったという事だ。


 既に夕日は沈みかけ辺りは暗くなっており、全員が車両に乗り込んだのを確認して出発しようとした時に誰かが叫んだ。


「アレは何だぁぁぁーっ!?」


 ちょうどゴブリン司祭がいたステージの上から、光の柱が夜空へと伸びていく。その綺麗な光に魅入るGAT隊。

 まるで魔法の様な出来事に皆が心を奪われた。


 やがて光の柱が消えると、ステージの上には白いローブの人らしき者が現れ、ゆっくりと首を動かしている。


 どうやら辺りを見回している様だが、あの者は生き残りなのだろうか?


 陸は2番隊隊長の永倉に確認して来るよう命じた。


 永倉は懐中電灯を片手に、部下2人を連れてステージへ近付いていく。


 ちなみに軍用の懐中電灯はコンパクトで光量が強く、ある程度の距離からでも相手を照らす事が出来る。


 やがて、ステージまで10メートルに迫った時、白いローブの者がこちらを向いた。


 永倉は顔を確認しようと光を当てる。すると、光に照らされたその顔は、身の毛もよだつ赤い目をした骸骨。そして、永倉に向かって底冷えする声を震わせた。


「た〜ま〜し〜い〜、喰〜わ〜せ〜ろぉぉぉ〜〜〜〜!」


 この世のものとは思えぬ人ならざる声を聞いた永倉は一瞬で恐怖した。


「ひっ、ひぃぃぃーっ!」

「に、逃げろおおおおおー!」

「走れ、走れ、走れえええー!!」


 30過ぎたおっさんで、泣く子も黙る特殊作戦群Sの永倉が、泣きそうな顔で一目散に走って逃げる。部下達も半泣きで後を追う。


 陸がいる車からでも骸骨の顔が見える。背筋が凍りつく様な赤い目に、陸はえも言われぬ恐怖を感じた。


「アレはヤバい奴だ!」


 陸はすぐさま2台の輸送車を発進させようとした。しかし、それは叶わなかった。

 なぜなら、先程まで道端に倒れていた死体が立ち上がり、いつの間にか車両の行く手を塞いでいたからだ。


 そして、ゆらゆらと動く死体は、不気味なうめき声を上げながら車両に近付いてくる。


 ア、ア、アアアッー!


 ウウ〜! ウウ〜! ウウウッー!


 それを見て、誰かが叫んだ。


「ゾ、ゾンビだぁぁぁーっ!!」


 レールガン2号機の周辺から式典の会場に至るまで、無数の死体が立ち上がり蠢いている。


 その光景を目の当たりにした気の弱い隊員が、ロングソードを抜いて叫びながら駆け出した。


「まっ、まだ、死にたくないよぉぉー!」


「池田ぁぁぁ、待てぇぇぇーっ!」


 隊員達の声も聞かずに、池田隊員はゾンビの群れの中へ突入していく。


 最初の一体を斬り倒し、二体目を斬り倒す。そして、三体目を斬ろうとした時、一体目のゾンビが復活して彼の足を掴んだ。


 更には復活した二体目も足に絡みついて身動きが取れなくなった所に、三体目、四体目、五体目が襲いかかり、池田は無惨に崩れ落ちた。


「放せ、このっ、このっ、うあああ……」


 その後も次々と現れたゾンビが彼の体に覆い被さり、遂には姿が見えなくなってしまった。


 ア、ア、アアアッー!


 ウウー! ウウー! ウウウッー!


「イヤだあー、まだ死にたくな……あ……」


 やがて彼の声も聞こえなくなり、車両を守る隊員達は唇を噛み締めて、その一部始終を見守っていた。


 一方、永倉も前に立ちはだかるゾンビに困惑していたが、そこはS出身者。直ぐに順応して躊躇無くゾンビを切り捨てていく。


 しかし、体を斬っても再び立ち上がってくるゾンビに苦戦しながらも何とか車両まで辿り着くと、部下である池田の死を知らされて暫くの間無言になった。


 池田隊員はGAT隊最年少の19歳。剣技が飛び抜けて優れており、永倉が特に目を掛けていた人材であった。


 しかし、どんなに優秀であっても恐怖に打ち勝つ精神力がないと、池田の様に錯乱して命を落とす。

 また、GAT隊初の戦死者という事もあり、この出来事は、後に『池田事件』としてGAT隊の教訓となった。

 

 現在、車両の周りはGAT隊で守り、近付いてくるゾンビを切り捨て、立ち上がってくるゾンビを蹴り倒し、一時凌ぎを繰り返している。


 その中で、ある隊員が偶然にもゾンビの首を切り落とした事でゾンビの弱点が分かると、陸が皆に指示を出した。


「皆んなーっ、最後尾の高速機動車は放棄する。1番隊は道を切り開け。2番隊は輸送車2台の護衛だ。行くぞぉぉーっ!」


「ハッ!!」


 陸は垂水市へ向けて3台の車両を発進させた。



【第98話 レイス再び 完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ