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武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第4章 決戦

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第97話 覚醒

「死ねやぁー、クソゴブリンがああー!!」


「ギギャァー、ガギガガギガガアアー!!」


 ガキィーン、バキバギィー、ドッカーン!


 最初は押されていたミンミンも、今では互角に打ち合っている。


 そして、ジャンプ一番バスターソードを叩き込んだ。


 ガガーンッ、ミシィーッ!


 ゴブリンウォリアーのバトルアックスに亀裂が走り、そこへ容赦なく追撃をかけるミンミン。


 ガガガーンッ、ミシミシミシィィーッ!


 ブツブツ言いながら、彼女は単調な攻撃を繰り返した。


「ゴブリン殺ーす、ゴブリン殺ーす、ゴブリン殺ーす、ゴブリン殺おおおーすっ!!」


 その時だった。突然、彼女の体に力が溢れ、バスターソードの魔石が光る。そして、大ジャンプと共にバスターソードを高らかに振り上げたミンミンは、バトルアックス目掛けて思いっきり叩きつけた。


 バギィィィィィーンンンッ!!


 すると、彼女の頭の中に文字とも声とも言えぬメッセージが流れてきた。


『スキル、ゴブリン特攻発動! スキル、粉砕発動!』


「えっ、今の何!?」


 次の瞬間、バトルアックスが粉々に砕け散る。


 バキバキバキバキィィー、パリーン!


 そして、その勢いのままゴブリンウォリアーを真っ二つに斬り裂いていった。


 ズバババババババァァァーーーッ!!!


「ゴガギグギグエエエエエエエーーッ!!」


 体を斬り裂かれたゴブリンウォリアーは靄となって消え、その跡には見たこともない直径3センチの大きな魔石が転がっていた。


 そこへ親衛隊、いや4番隊がミンミンの元に駆け寄ってくる。


「ミンミン、カッコィィー!」

「ミンミン、ステキィィィー!」

「ミンミン、アイシテルゥゥー!」

「ゴブリンスレイヤー、バンザーイ!!」


 ちょうどその時、上空に赤の信号弾が打ち上がり近藤が空を眺めて呟く。


「どうやら、土方は総理を確保した様だな」


 現在、近藤達がいる場所は1号機と2号機の中間地点。ちょうど創真が下見で千里眼を使用していた場所だ。

 そして、前方に見えるのは逃げる群衆を追って、山へ雪崩込んでいくゴブリンの集団。


 近藤は休む間もなく皆に告げる。


「我々は前方に見えるゴブリンの集団を掃討しながら山頂を目指す。全軍進めぇぇー!」


 近藤率いる4番隊は、山へ入っていくゴブリンの最後尾を目指して駆け出していった。


・・・・・


 一方、山の中腹を守る井上6番隊は、倒しても倒しても次々と現れるゴブリンに追い込まれ、遂には周りを囲まれて絶体絶命のピンチに陥っていた。


 4人は4枚の盾で前後左右をブロックし、いわゆる方円の陣を敷いて、なんとかゴブリンの攻撃を防いではいたが、気力も体力も擦り減らして崩壊間近となっていた。


「小隊長、俺、結婚したかったっす!」

「小隊長、最後に彼女に会いたいっす!」

「か、母ちゃーん!」


 皆の最後の言葉を聞きながら、井上も後悔していた。


 あぁーあの時、特別手当に目が眩んでGAT隊に入るんじゃなかった。家族には遺族年金が幾ら振り込まれるのかなぁ……。


 じわりじわりと追い詰められ、もう駄目だと観念した時だった。


 左の茂みから威勢の良い掛け声と共に原田率いる5番隊が現れ、6番隊を取り囲むゴブリンに背後から襲いかかった。


「行けぇぇぇー、うおおおおおー、6番隊を守れぇぇぇぇぇーっ!!」


 ザシュッ、バシュッ、ズバッーッ!!


「源さん、大丈夫っすか?」


「おおー、原田くーん!!」


「5番隊だ、5番隊が来たぞぉー。助かったんだぁー、わあああああああー!!」


 6番隊の喜び様は尋常では無かった。それほどピンチだったのだ。そして、5番隊が合流した中腹の守りは、段々とゴブリンを押し返していく。


 そこへ、麓から仲間の声が聞こえてきた。


「おーい、生きているかあー? 4番隊が助けに来てやったぞーい!」


「バカモン、こんな時におちゃらけるヤツがあるかっ!」


 あれは……近藤中隊長と藤堂の声だ。


 あまり活躍してない原田が、ここぞとばかりに叫ぶ。


「よぉぉーし、挟み撃ちだぁー。ゴブリンを押し戻せぇぇぇーっ!」


「わぁー、行けぇー、突っ込めぇぇぇー!」


 上下から挟み撃ちにあったゴブリンの集団は、瞬く間に数を減らしていく。

 特に活躍していない原田隊の猛攻は激しいものであった。


 ザシュッ、バシュッ、ズバッーッ!!


 グギャー、ギギャー、ゴギャーッ!!


 やがて、最後の1匹となったゴブリンを、ミンミンがバスターソードの面で叩き潰す。


「死にさらせー、クソゴブリンがああー!」


 ベキベキベキィー、グシャァァーッ!!


 ミンミンの必殺技『ハエ叩き』が炸裂し、それを見た5番隊と6番隊は背筋に悪寒が走り、ミンミンファンをやめようと思った。

 対して4番隊はミンミンに大声援を贈り、彼女を崇拝した。


 やがて、その場が落ち着くと井上が近藤の元に駆け寄ってくる。


「中隊長、助かりましたぁー」


「よくぞ生きていた井上、怪我はないか?」


「はい、なんとか大丈夫です。それで……山頂で副長がお待ちです」


 井上はあえて総理の事には触れなかった。


「分かった。合流しよう!」


 GAT隊の面々は、井上に案内されて山頂へと向かっていった。


・・・・・


 山頂で近藤と土方が合流した頃には、鹿児島湾の波面が夕日に赤く染まり、辺りは薄暗くなっていた。

 そして、土方から色々と報告を受けた近藤は、総理の元へ挨拶に行く。


「岸本総理、GAT中隊長の近藤です。ご無事で何よりです」


「おおー、君が近藤君かね。噂は聞いていますよ。剣の達人なんだってねー」


「ありがとうございます。それで今後の事ですが、今から夜間行軍を開始しますので、出発の準備をして下さい」


 それから10分後、近藤達は垂水市を目指してへ山道の夜間行軍を開始した。


 時計の針は18時30分を差しており、日没まであと30分。明るい内に少しでも距離を稼ぎたいと思う近藤であった。



【第97話 覚醒 完】

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