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武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第4章 決戦

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第90話 魁!無明三段突き

 ドッパァァーン、ゴロゴロゴロッ!


「うううっ……」


「大丈夫かっ、マサ?」


 ホブゴブリンとの初太刀で、ふっ飛ばされた副官マサの元へ総子(フサコ)が駆け寄る。


「あ、姐さん、ヤツは普通のゴブリンとは違いやすぜっ!」


「違う? 体がデカい分、力が強いとは思うが……」


「そうではありません。なんかこう、こちらの威力が半減されている様な、力が伝わらないという感じです。まともに剣を合わせるのは止めた方が良いですぜ」


 総子が角刈りマサに打ち勝ったホブゴブリンを見ると、勝ち誇った顔で次の得物を探している。


 1番隊もホブゴブリンを取り囲んではいるが、副官のマサがふっ飛ばされた事で攻撃をためらっている。


 そこへ、しびれを切らした1番隊の一人が前に出ようとした。


「待てえーっ、そいつは私が殺るっ!」


「あ、姐さんっ!」


 総子が囲みの中に入ると、ホブゴブリンの顔が急に好色じみたニヤけ面に変わる。そして、ヨダレを垂らしながら喋りだした。


「|ギヒッ! ギギココギッヒィ〜!《おっ、まだキレイな女がいるじゃね〜か!》」

「|ギヒッ! ギギココギッヒィィ〜!《おっぱいデカい、美味そうだ!》」


「何を言ってるんだ、コイツはぁ?」 


 だけど、非常に失礼な事を言っているのは分かる。


 総子は刀を構えて吐き捨てた。


「かかってこい、このゲス野郎っ!」


 その言葉が試合開始の合図となり、ホブゴブリンが単管を振り上げた。しかし、角刈りマサの時とは違いゆっくりと振り下ろす。


 どうやら相手が女と見て、傷付け無いように手加減している様だ。


「バカめっ、青眼剣ーッ!!」


ヒューン、キャリキャリキャリィィーッ!!


 総子は刀で受け止める事なく、絶妙なタイミングで上段から刀を擦り合わせ、単管の方向をわずかに逸らした。


 青眼剣、いわゆる『切り落とし技』。刀で正中線を取って斬り結び、相手の刀を逸らす天然理心流の上級技である。


 方向を逸らされたホブゴブリンの単管は、彼女に当たる事なく左の地面を深く抉った。


 対して、総子は平正眼の構えを取り、強烈な踏込みと共に神速の突きを放った。


「いざっ、天然理心流奥義、無明三段突きぃぃぃーーーっ!!」


 怒涛の突きがホブゴブリンに襲いかかる。


 ザクッ(篭手)バスッ()ズバァ(喉仏)ァーーッ!!!


「ガッ、ギッ、グアァァァァァーッ!!」


 無明三段突き。篭手、胴、面と三回に渡って素早い突きを繰り返し、引く度に横に払う技。


 引く事によって刀の鎬で相手に深い傷を与える事が出来る。見ている者には、あわせて一つの突きにしか見えないほど素早い。


 天然理心流の最大奥義であり、現在この技を使える者は総子ただひとり。過去には江戸時代末期に一人だけいたという。


 刀を喉に突き刺され、ピクピクと痙攣するホブゴブリンの巨体が盛大な血飛沫を上げて崩れ落ちた。


 ズズズズズッ……バタァーンッ!


 しばらくすると、ホブゴブリンは一回り大きな魔石に変わり、それを拾い上げた総子が部下達に告げる。


「お前達ぃぃー、コイツはお宝だよっ!」


「おおっ、おおおおおおーっ!!」   


 実は、GAT隊に特別報酬が通達されており、食堂に魔石価格表が掲示されていた。


『GAT隊員各位

       陸上自衛隊 開発本部

 ゴブリン、その他の魔物を倒すと魔物は魔石に変わる。その魔石には大きさがあり、現在確認されている物は直径1センチ。しかし、今後はそれを上回る魔石も出て来ると思われるので、必ず回収する様に!

 下記に魔石価格表と交換レートを記す

       記

1、直径1センチ・・・5万円

2、直径2センチ以上・・・要相談

               以上』


 1番隊は、これを読んで魔石の回収ルールを決めていた。


 魔石は誰が回収しても隊内で山分け。但し、直径2センチ以上については倒した者の物だ。そして、要相談の値段は100万円になると噂され、それが総子の手にある事で1番隊の士気が大いに上がった。


「ステージの周りに、100万円が6匹もいるぞおおおーっ!!」


「おおーし、やったるでえええー!!」


「100万円ッ! 100万円ッ! 100万円ッ! 100万円ッ! 100万円ッ!」


 皆、現金なものである。


 そして、お金に目がくらんだ1番隊は、雑魚ゴブリンを無視して、ステージの周りにいるホブゴブリン目掛けて突進していった。


 一方、ステージの上にいるゴブリン司祭は、まさかの出来事に動揺していた。しかし、1番隊の突進で我に返ると、捉えた女の中から極上女のアヤヤを連れ出し、周りのホブゴブリンに呼びかける。


|「ギヒ〜、ギギギコギギコギココ、」《皆の者、ヤツ等を倒した者には、》

|「ギヒ〜、ギギャギャギャギャア」《一番の上物女をくれてやる、かかれェ〜!》

|「ギャギャッ! ギャギャッ!」《上物女ッ! 上物女ッ!》


 ゴブリン司祭の報酬に歓喜したホブゴブリン6匹は、ステージから単管や鉄骨の武器を引き抜いて突撃してくる1番隊を迎え討った。


「うおおおおおーっ、100万円!」


「ギギガガグキーッ、ギュギャギャ!(上物女!)


 ここに、100万円VS上物女に目が眩んだ者達の生々しい戦いが始まった。



【第90話 魁!無明三段突き 完】

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