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武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第4章 決戦

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第87話 強行着陸

 山間部で土方隊を降ろしたC3輸送機は、上空から桜島口へ続く海岸線の長い道路で着陸地点を探していた。


 操縦席から機内通信が入る。


「天堂空佐、道路上にゴブリンを多数確認。どう致しますか?」


 天堂が輸送機の窓から地上を目視すると、招待客がゴブリンに追われ南の垂水市方面へ逃げているのが見えた。


 一方で、数匹のゴブリンが輸送機に向かって石を投げてくるのも見える。そう簡単に当たるはずもないが、万一当たれば墜落の危険がある。


「撃ち落とされてはかなわん。安全地帯まで大きく距離を取れ!」


 当然ともいえる天堂の指示に陸が口を挟んだ。


「天堂、あの人達を見捨てるのか?」


「真壁、お前、何を言ってるんだ? まさかっ、アレをやれっていうのか?」


 陸は天堂の目を見て頷く。


 タッチ・アンド・フライ。空自の隊員が最も嫌う着地後即離陸の訓練。逆噴射の加減が難しく、失敗すれば墜落必置だ。しかも、3台の高速機動車を降ろすまでは離陸ができず、訓練でもやった事がないS級の難易度である。


 数十秒間迷った末、意を決した天堂が操縦士に指示を出した。


「タッチ・アンド・フライを行う。逃げている人達の少し手前に強行着陸、3台の車輌を降ろしたら即離陸だ。頼むぞっ!」


「ちょ、ちょっと待って下さい。訓練は何度かやった事がありますが、車両を降ろした事なんてありませんよ!」


「ずべこべ言わずにやるんだ。お前なら出来るはずだ!」


「……りょ、了解であります、空佐殿!」


 操縦士の口調から、ヤケになっているのが伺えるが、今は彼を信じるしかない。


 GAT4小隊は3台の高速機動車に乗り込み、天堂に全てを託す。


 全てを託されたC3輸送機は、逃げ惑う人々に向かい、逆噴射音を轟かせながら次第に高度を下げていった。


 キュィィィーン、ゴゴゴゴゴゴーーッ!


 やがて、機体が地上すれすれの位置にきた所で後部ハッチが開き、天堂が手を上げてスタンバイの態勢をとる。そして輸送機のタイヤが地面に触れた瞬間、手を振り降ろしてゴーサインを出した。


「今だぁ、行けぇぇぇーっ!」


 ドスンッ、ギャリッ、ギャリギャリギャリギャリーーッ!!


 2号車がハッチから外へ出た瞬間、運転手がアクセル全開で一気に加速。輸送機との相対速度が安定したのを見て天堂が叫ぶ。


「次だぁ、行けぇぇーっ!」


 ドスンッ、ギャリッ、ギャリギャリギャリギャリーーッ!!


 1号車も無事に外へ出る。


 その時、操縦士から通信が入った。


「空佐ぁー、そろそろ限界ですっ! 群衆に突っ込みますっ!」


「あと10秒、我慢だっ!」


「真壁、死ぬなよ!」


「天堂、ありがとう!」


 陸と天堂が敬礼を交わすと、0号車は機体から離れて行った。


「C3、離陸だああああーっ!!」


 間一髪、C3輸送機は、逃げてくる群衆の頭を掠めて上空へ飛び立った。


 ドスンッ、ギャリッ、ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリーーッ!!


 慣性の法則。地上にタッチした輸送機の速度はおよそ120キロ。外へ飛び出した高速機動車は120キロ以上を出さなければ、車体は前につんのめり放り出されてしまう。

 そして、目の前には迫る群衆。


 0号車を運転する藤堂がイキる。

 

「俺に任せろおおおおおおおーーっ!」


 キー! グワン! キキキキーーッ!!


 キュルキュルキュルキュル、ガクゥン!


 見事なドラフト・スピンターンが決まり、逃げてくる群衆の手前ギリギリで停車した。


「ふぅぅー、どんなもん…………?」


 運転席から、後部座席にいる愛しのミンミンに胸を張る藤堂。しかし、そこに雪崩れ込んできた群衆の声に、憐れ、彼の決めゼリフは掻き消されてしまった。


「助かったあああああああーっ!」

「GAT隊が来てくれたああああーっ!」

「ありがとおおおおおおおーっ!」


「…………けっ!」


 ミンミンの前で格好を付けそこなった藤堂は、車から降りると、ふてくされて持ち場へ向かった。


 その後、1号車と2号車も後から追い付き、横一列に高速機動車の簡易バリケードが出来上がった。


「GAT隊、ゴブリンを迎え討てぇーっ!」


 近藤隊長の号令で、1、2、4番隊が車輌の前に並びゴブリンを迎え討つ。7番隊は車輌の後ろで逃げてきた群衆をかくまう。


 やがて、最後尾の群衆がGAT隊をすり抜けた時、最初のゴブリンが襲ってきた。


「ギャギャギャギャギャー!」


「ここは、私が殺るっ!」


 ヒュン、ヒュン、ズバァァーーッ! 


 1番隊隊長、沖田総子の一閃でゴブリンは呆気なく斬り伏せられた。

 そして、総子が雄叫びを上げる


「1番隊、突っ込めえええええーっ!」


 総子が率いる1番隊。独断専行が顕著な総子に付いていける猛者だけを集めたGAT隊最強の軍団。もちろん、全員が試衛館の門下生で、師範代である総子の熱狂的信者だ。総子親衛隊と言っても過言ではない。


「姐さんに続けええええええーっ!」


 巨漢の副官が大声で号令をかけると、角刈りマッチョの隊員達が歓喜で応える。


「姐さんを守れえええええーっ!」

「姐さん、カッコイイイイーッ!」

「待ってぇぇ〜、姐さぁぁ〜ん!」


 中央に陣取る1番隊が、総子を先頭に棒矢の陣形で突き進む。


「かぁぁー、またかよぉっ!?」


 近藤が総子の突進に溜め息をつく。しかし、数度の実戦で慣れたもの。

 すぐさま、2番隊と4番隊に指示を出した。


「永倉、藤堂、1番隊を孤立させるなっ!」


「2番隊は1番隊を援護するぞぉー、進めぇぇぇー!」


 永倉2番隊。総子に次ぐ実力者の永倉が率いる攻守バランスのとれた万能部隊。ただ、気分屋の永倉、熱くなると1番隊同様に突撃する悪いクセがある。


「4番隊、1番隊に負けるなあああ! 突撃だあああああああーっ!」


 藤堂4番隊。若手バカ2人組の兄貴分である藤堂が率いる攻撃に特化した、がむしゃら若手部隊。ただ、負けず嫌いの藤堂、熱くなると相手も戦況も見ずに突撃する悪いクセがある。


 高速機動車の上に立ち、どんどん前に進む3部隊を後方から見守る陸と近藤。

 その先には、数百匹のゴブリンが、逃げまどう群衆を襲っている光景が見えた。



【第87話 強行着陸 完】

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