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武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第3章 ゴブリン攻略

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第71話 腹黒達の宴

「バスターソード?」


 名前からすると、ロングソードより強そうだが、一体どんな剣なのか?


 オレが知らないと見て、東雲さんがスマホの画面を見せてくれる。


「創真君、これがバスターソードよ!」


 画面に映し出されたのは幅広片刃の巨大な剣。言い換えるなら出刃包丁のデカいヤツ。


 こんなデカ物、一体どんな大男が使うんだろうか?


 不思議な疑問を抱えたまま東雲さんとの楽しいランチを終えた後、オレはショピングモールへ行って備品を揃える。


 その中にウマい棒が入っているのはご愛嬌だ。


 家に着くと午後の3時。オレは母に書き置きを残して、異世界3泊4日勉強の旅へ出かけたのだった。


♣♣♣♣♣


 その夜、赤坂の料亭では岸本総理が浜井防衛大臣を労っていた。


「浜井君、見事だったよ、ハハハ!」


「いやいや、これも一重に総理のお陰でございます、ハハハ!」


 松下官房長官が持ち上げる。


「本日のネット調査によりますと、内閣支持率が遂に70%を超えましたぞ。これで岸本政権は盤石ですな、ハハハ!」


 高山大臣が畳みかける。


「それに、河田さんの人気も地に堕ちましたわ。もうあの人に総理の目は無いですわね、オホホホ!」


 岸本総理は大層ご機嫌な顔で腹心達に声をかけた。


「いやはや、これも皆さんのお陰です。さぁどんどん飲んで下さい」


「恐縮です。それではレールガン試射会の成功と内閣支持率70%を記念しまして、僭越ながら、この松下が乾杯の音頭を取らせて頂きます。岸本総理にカンパーイ!」


 カンパーイ! カンパーイ! カンパーイ! カンパーイ! パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…………!!


 腹黒達の宴は大きな盛り上がりの中にあった。


「浜井君、2号機の配備は進んでいますか?」


「はい、抜かりなく。ドイツ製の2号機はかなり小型化されていまして、設置時間も大幅に短縮されております」


 したたかにも、岸本はアメリカとドイツにレールガンの競合をかけていた。閣議の席で、競合により値段が半値8掛けになったと息巻いていたが、そもそも定価はあって無いようなもの。


 高額な商品が安くなった所で高いものは高い。適正価格を分かっていない素人のそれである。それに、所詮は人のカネ。政治家にとっては自己アピールの肥やしでしかない。


「それで、試射はいつ頃になりますか?」


「はい、今週の木曜日には出来るかと」


 岸本は少し考えてニヤリとした。


「よしっ、私も行こう!」


「えっ、は、はい、万全の準備を整えて、お待ちしております!」


 突然の総理の出席に、浜井防衛大臣の目は輝いていた。


♠♠♠♠♠


 カリカリカリ……。


 オレは異世界でテスト勉強をしている。


 火曜日の難敵は英語。今の時代は英語を知らないと色々と不都合だ。異世界に来てよく分かった。

 もし、異世界語が分からずに、ここまでやれただろうか? 絶対にムリだ。


 色んな人と話して仲間を作った。そして、お金も稼いだ。言葉を理解してこそのコミュニケーション。


 オレは今後の事も考えて、念入りに英語の勉強をする。


 カリカリカリ……。


 勉強を始めてからやがて3時間。オレは少し息抜きをしようと街へ出かけた。


 最初に向かったのは武器屋。バスターソードを見るためだ。


 ガラリ。


「これはこれは大和様、いらっしゃーい」


「こんにちはオヤジ、今日はバスターソードを見に来たよ」


 安物剣を50本も購入したオレは、今では様扱いだ。そして、オレも店主をオヤジ呼びだ。


「バスターソードですかあ、良い物が入っているんですよぉ」


 オレと店主は、店の奥に飾られた2本のバスターソードを眺める。


 この店で1番大きな剣は嫌でも目に止まる。装飾こそ地味だが、その大きさから存在感は抜群だ。


 しかし、こんなの誰が買うんだろう?


「大和様、右手の青い剣は、耐久が……でして、お値段は金貨10枚になります。大和様には少々ムリがあるかとー」


 そんな事は言われなくても分かっているよ。


 オレは左の説明を促す。


「左手の赤い剣は、威力が……でして、お値段は金貨10枚になります。大和様には少々ムリがあるかとー」


 要するに、オレにはムリって事ね。


 しかし、どちらも金貨10枚。予想通り高いなあー。


 オレは又来ると言って店を出ると、アウレの工房へ向かった。


「こんちはー!」


「おう、創真か、もう少しで終わるから、その辺に座っていてくれ」


 アウレは刀を熱心に研いている所だった。


 オレは工房に散らかっているアウレの試作品を眺めながら時間を潰す。すると、そのどれもが細身の片刃で、どう見ても日本刀を作ろうとした失敗作だった。


「創真、待たせたなぁ」


 アウレは一段落ついたらしく、作業を止めてオレにグラスを持って来た。


「創真、駆け付け一杯だぁ!」


 そ、そうだった。アウレの所に来ると、酒を飲ませられるのを忘れていたぁー。


 今日の勉強は諦めよう。


「アウレ、調子はどうだ?」


「調子かぁ、創真にもらった刀を真似て何本も作ってみたんだが、中々上手くいかねえよ、ワハハハハハ!」


 アウレが今研いでいた剣を手に取って説明を始める。


「これはな、見た目だけは日本刀に見えるんだが強度が足りねえ。鋼の剣以上、風の剣以下だ」


 凄い、サンプルを渡したとはいえ、この1週間でここまで作れるなんて!


 良い職人と知り合えて良かった。


 アウレは渋い顔で説明を続ける。


「刀の反りはサーベルの要領で上手くいったんだ。だけど、材料が今までと同じじゃ風の剣の劣化版にしかならねえ! 創真、なんとか玉鋼の作り方を教えてもらえねーかなぁ?」


 オレも作り方は知らない。ポータブルDVDで、もののけ姫でも見せてやるか?


 いや、待てよ! ヤスキで玉鋼の製造工程をカメラに修めてくれば良いじゃないか!


「アウレ、今度見せてやるよっ」


「ほ、本当かあー!」


 アウレは大いなる期待に胸を膨らませていた。


【第71話 腹黒達の宴 完】

ここまで読んで頂き有難うございました。

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