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武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第3章 ゴブリン攻略

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第68話 レールガン

 桜さんのタクシーに乗ってレールガンのある牛根大橋へ向かっていると、検問所で渋滞が起こっていた。


「大和君、やっぱり渋滞になってるねぇー」


 一般人こそいないが、多くの政府関係者やマスコミが詰めかけ、おまけに一本道。渋滞が起こるのも仕方がない。


 レールガンの試射は午前10時から。今は午前9時、あと1時間で始まってしまう。

 

 ノロノロ進む車から外の景色を眺めていると、昨日見た無名の神社が見えてきた。


 なぜか、神社の周りには虎ロープが張られており、数人の作業員がレベルを使って測量している。


 何をしているのかな……?


 オレは気にも止めなかったのだが、後で大変な事態になる事を、この時は夢にも思っていなかった。


 やがて検問所を通り過ぎると車の流れが一気に速くなり、試射30分前には牛根大橋を渡り終えていた。


 橋を過ぎた道路沿いには大勢のマスコミが陣取っていて、今から始まるレールガンの勇姿を捉えようと各々がカメラを構えている。


 桜さんは報道の人集りがとぎれる所まで車を進めると、ようやくタクシーを停車させた。


「大和君、ずいぶんと端っこになってしまったが、ここで良かかい?」


「はい、ここで良いです」


 オレと桜さんは車を降りて、眼下に見えるレールガンを眺める。


 大型トレーラーに乗せられたレールガン。その周りには制御車、弾倉車、変電車が配置され、複数のケーブルで繋がっている。


 各車両には九州部隊の自衛官が配置されており、少し離れたステージの前には政府や自衛隊の関係者が整列している。


 やがて定刻になり、司会者がマイクを持って話し始めた。


「お集まりの皆様、本日はレールガン試射の見学にお越し頂き、誠にありがとうございます。新兵器のレールガンは、従来兵器の2倍の威力を持っており、超電導によって初速を保ったまま数キロ先のゴブリンを撃ち抜く事ができます。それでは試射の前に、浜井大臣からご挨拶を申し上げます。大臣お願い致します」


 浜井大臣がステージに上がった。


「ご来場の皆様、本日はこのレールガンが憎きゴブリンを打ち倒します。対岸のゴブリンをご覧下さい」


 観客達が対岸にいる数十匹のゴブリンへ視線を移す。


「今からヤツらを、この弾丸で打ち抜いてみせます。皆様、心してレールガンの勇姿をご覧になって下さい!」


 浜井大臣が手に握りしめた弾丸を薄剥げた頭の上に掲げると、会場から大きな拍手が上がった。


「ワァー、ワァー、ワァー!!」


 パチパチパチパチパチパチパチ……!


 そして再び司会者にマイクが渡ると、発射の号令がかけられた。


「レールガン構えええーっ!」


 装填ヨシ! 電源ヨシ! 照準ヨシ!


「レールガン発射あああー!」


 ヒュィィィーン、バシューーーンッ!!!


 弾丸が長いレールに沿って進み、レールから離れたと思うと、あっという間に500メートル先のゴブリンの頭をふっ飛ばした。


「…………」

「…………??」

「…………!!」


「只今の射撃はゴブリンの頭に命中し、今まで貫けなかった見えない壁を見事に貫く事ができましたぁー。レールガンの試射は成功ですっ!」


 すると、呆気に囚われていた観衆から大きな拍手と共に大声援が沸き起こった。


 パチパチ……パチパチパチ……パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

 おおお………おおおおおお……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 ワアァァ……ワアァァ……ワアァァ……ワアァァ……ワアァァ……ワアァァァァ!!!


 浜井大臣が満面の笑みで観衆に手を振るのを見て、『お前は何もしてないだろう?』とツッコミを入れたくなる。


 続けて2射目、3射目が発射され、次々とゴブリンを撃ち抜いていった。


 見ていると、コンピュータ制御の自動照準で発射インターバルは約30秒。機関砲の様にはいかないみたいだが、正確な射撃は弾数を補って余りある。


 レールガンは橋側のゴブリンを掃討しながら照準を右へ右へと移動していく。やがて20匹目を倒した時、ゴブリンを貫通した弾丸が後ろの大木を根元からへし折った。

 そして、その大木は海上へと投げ出され、その中には3匹のゴブリンが潜んでいた。


 会場にいる人々は気付いていないが、千里眼を持つオレだけは気付いていた。


「こちらの岸に漂着されると危ないな!」

 

 オレは桜さんに秘密の任務がある事を告げて、流される大木を追って海岸線へ向かった。


「大和君、気を付けるんだぞ!」


「はい!」


 オレは桜さんに手を振り、大木がこちらの岸に流れ着く先を見越して、すすきが群生する草むらを走る。


 やがて漂着予想地点にたどり着くと、右手には風の剣、左手にはバックラーを構え、ゴブリンが現れるのをじっと待つ。


 しばらくすると、大木が岸に漂着し水の中からゴブリンが現れた。


 ザッパァァァーン!


 オレは剣を抜いて、水辺に踏み込む。


「上陸させるもんかあああーっ!」


 バシューッ、スババババーーーッ!!


 オレは水辺から這い上がるゴブリンを袈裟斬りで葬り、更に一歩踏み込んで水から顔を出した2匹目を剣で突き刺した。


 しかし、あと1匹が、いつまで経っても水面から現れない。


「あれっ、あと1匹は?」


 オレが呟いた時だった。


「ギャギギィィーッ!」


 突然、背後から木の棒を持ったゴブリンが襲いかかってきた。


 オレはとっさに振り向こうとするが、水に足を取られて動けない。


 マズいっ! 


 もう間に合わないと思った瞬間、不意にゴブリンの首が吹っ飛んだ。


 スパァァァーンッ!!


「君ぃー、大丈夫?」


 水辺から岸を見上げると、そこに立っていたのはロングソードを凛々しく構えたスーツ姿の沖田総子さんだった。



【第68話 レールガン 完】

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