表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武器商人は忙しい!〜現代と異世界を駆け回る貧乏高校生の武器商売奮戦記  作者: 孤高のやまびこ
第3章 ゴブリン攻略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/100

第64話 恋バナ

 土曜日9時発のANA鹿児島便の機内で、4年ぶりに会った総子さんは、すっかり大人の女性になっていた。


「やっぱり大和創真君よね。元気だった?」


「はい、元気です。総子さんこそ、ずいぶんとお綺麗になられましたね?」


「やだぁー、創真君ったらっ。しばらく見ない間に、ずいぶんとませた事を言うようになったじゃないのー」


「ハハハ、まあ色々ありまして……」


「ところで、その下にある物は竹刀入れよねぇ。また、剣道を始めたの?」


 オレは中学3年まで、慎吾は高校2年まで、日野市にあった試衛館に通っていた。


 しかし、オレ達が高校2年の春、試衛館が新宿へ移転したのを機に、慎吾は試衛館を退会したのだった。


 ちなみに、オレの退会理由は家計を助ける為である。


「ハハハ、まぁそうです」


「だけど、高校総体にはまだ早いわよねぇ。それに鹿児島で大会なんてあったかしら?」


「えーと、そう、親戚のおじさんが鹿児島にいるんです。遊びにいくついでに稽古をつけてくれるというもんだから、それで……」


「ふーん、そーなんだー」


 なーんか気のない返事。絶対に怪しんでいる。なんとか話題を変えないと!


「そういう総子さんは、なんで鹿児島へ行くんですか?」


「えっ、私? そうねー、わ、私は、りょ、旅行よー! アハハハ……」


 総子さんも何か隠している。相変わらず、ウソを付くのが下手な人だ。


 剣道の稽古では鬼の様に厳しいのに、竹刀を手放したとたん、どこか抜けたお姉さん。変わってないなあー。


 これ以上、お互い詮索するのは止めにして普通の会話に戻ろう。


 オレは質問を変えた。


「慎吾から聞いたんですが、たしか総子さんは高校の先生をやっているんですよね? やっぱり剣道部の顧問をしてるんですか?」


「そ、そうよぉー。じょ、女子剣道部の顧問をしてるのよぉー。皆んな中々強くなっちゃって今年は優勝を狙えると思うわよぉー!」


「それは、凄いですねぇ……」


 むむむぅ、この話もマズいのかぁ?


 今度は、総子さんが話題を変える。


「創真君は受験生よねぇ。進学先は決めたの?」


「まだ、決めてませんが、ある人と同じ大学へ行きたくて、一生懸命勉強しています」


 総子さんの顔がほころんだ。


「ふぅーん、好きな女の子がいるんだぁ?」


「えっ、いや、そのー、いませんよっ!」


「相変わらず、創真君はウソが下手ね」


 あなたに言われたくありません! と心の中でつぶやいてはみたが、総子さんにはめったに会う事もないだろうし、オレは彼女の事を正直に話した。


「香織って言います。同じクラスで、頭が良くって、可愛いくて、オレには勿体ない女の子です」


 途中からおノロケになっている事にも気付かずに、オレは香織への想いを素直に語った。


「ううーん♡、なんだかキュンキュンしてきちゃったぁー。ガンバるのよ創真君!」


「はい、ありがとうございます!」


 オレと総子さんは、いつの間にか恋バナに花を咲かせていた。


「それにしても、私の好きな人の妹さんと同じ名前なんて、凄い偶然ねー」


「へえー、総子さんにも恋人がいるんですか?」


 すると、総子さんの顔が恋する乙女に変わった。


「うふっ、恋人だなんてぇー! 一度デートしただけだから、まだなんだけどね、エヘヘ。彼は誠実でね、頭が切れて、おまけにカッコイイのよー! それでね…………」


 総子さんの1人舞台が始まり、鹿児島に着くまでの間、延々と恋バナが続いていた。


「それじゃー創真君、またねー」


「総子さんも旅行を楽しんできて下さい」


 鹿児島空港で総子さんと別かれて外へ出ると、そこには南国の世界が広がっていた。


 照り付ける太陽で日差しが痛い。東京とは違う南国の空気、群生するヤシの木やソテツ、とても新鮮な感じがする。


 オレはバスターミナルまで歩き、鹿児島中央駅行きのリムジンバスに乗った。そして、バスに揺られること40分。ついに鹿児島の街に降り立つと、そこには桜島が真正面に迫る大パノラマが広がっていた。


「こ、これは……なんて壮大なんだあー!」


 オレは桜島の景色に心を奪われた。しかし、今あそこはゴブリンに占領されている。


 なんとも複雑な気分だ。


 オレは駅前のレストランで昼食を取ると、予約したホテルを探してチェックインをした。


 部屋に入ると、ちょうど午後の1時。予定よりも少し早い。


 さて、ここからは戦闘モードだ。


 ホテルで垂水市へ渡るフェリーの情報を聞くと、かろうじて1時間に1本の発着があるとの事で、オレはタクシーでフェリー乗り場へ向かった。


 船着場に着くと、ますます桜島が近くに迫り、歩いて行けるのではないかと錯覚してしまう。


 海岸線には、所々に自衛隊が駐屯しており、桜島の監視を続けている様だ。


 そういえば、鹿児島中央駅の周りにも自衛隊の軍用車両がチラホラ見えた。


 オレは船着場の中に入り、フェリーのチケットを買おうとして受付のおばあさんに尋ねる。


「あのーぅ、垂水市へ行きたいんですが……」


「いらっしゃい。そこの自動販売機でチケットを購入しておくれ。しかし、アンタ何しに行くんだい?」


 どうやら今は、ほとんど自衛隊しかフェリーを使ってないらしい。当然ながら、桜島行きは全て欠航となっていた。



【第64話 恋バナ 完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ