表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンを食い止めろ!〜貧乏高校生の武器商売奮戦記「現代日本を守るため、異世界へチート武器を探しに行きます!」  作者: 孤高のやまびこ
第1章 ゴブリンの恐怖

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/42

第22話 異世界長期滞在

 金曜日の夜。


 今回の異世界転移は金曜の夜から日曜の夜までの2日間。異世界日数では10日間の長期滞在で、目標はレベル8到達と鋼の剣10本の調達だ。


 オレはアグルヒルの丘をイメージして異世界転移を唱えると、光のトンネルを抜けて丘の上に到着した。

 まぁ2度目ともなれば慣れたものだ。


 丘を下だり北の城門に着くと、前は気付かなかったが門の上には大きな時計があり、時刻は前回の帰還と同じ午前11時を指していた。

 これは偶然だろうか? 


 オレは前回の教訓で新たに買ったアナログの腕時計を11時にセットすると、2回目の異世界冒険を始めた。


 まずは、西の小川へ向う。前回のメタルスライムで味をしめたのが理由だ。


 北門から外回りで西の小川に辿り着くと、そこは冒険者であふれていた。

 この人集りを見て唖然としていると、近くの冒険者が声をかけてくる。


「兄ちゃん、メタルスライムは見つかったかい?」


「いいえ、今来た所です。でも、どうしてこんなに冒険者がいるんですか?」


「なんだ、何も知らないで来たのかい。昨日の話だが、ここで駆出し冒険者がメタルスライムを見つけたんだとよ。その情報が今朝の掲示板に貼り出されたもんだから、皆んなここに来てるんだ!」


「えっ、昨日? いや、ありがとうございました」


 オレは色々教えてくれた冒険者に礼を言って暫く考え込む。


 さっきの人が言ってた駆け出し冒険者ってオレの事かな? それとも別の誰か……?

 すると、タケじいが頭の中で語りかけてきた。


「創真よ、どうやらお主の転移能力はワシとは少し違う様じゃ」


「どういう事?」


「ワシの転移能力は座標をセットするだけじゃが、お主の能力は時間もセット出来る様じゃ。つまり、帰還した時間と場所を脳が記憶して、再び同じ時と場所に転移出来るという訳じゃ。但し、日本に帰る時は時間が動いていたから……まあ、片落ちスキルという事じゃな!」


「片落ちって、タケじいよりも上じゃねーか!」


 なにはともあれ、異世界転移スキルの事が少し分かったオレは冒険者ギルドへ向かう事にした。なぜなら、有象無象の中にいても、普通のスライムすら見つからないと思ったからだ。


 ギルドに着いたのは、お昼過ぎ。無一文のオレは隣のレストランには行けず、迷わず掲示板へ向かう。すると、予想通りマップの西の小川には、メタルスライムの付箋が貼られていた。


 なるほど、冒険者達はこれを見たという訳か。皆んな目聡いなぁーと感心する余裕がオレにはある。なぜなら、今回の冒険は時間がたっぷりあるからだ。


 オレは少し遠くても割高な魔物を狩ろうと、魔石価格表から手頃な魔物を探す。すると、ちょうど良いのが見つかった。


『アルミラージLv5 銅貨50枚』


「タケじい、これなんか良いんじゃない?」


「良いと思うぞ。風の剣の試し斬りにうってつけじゃ」


 タケじいが言うには、アルミラージはウサギに角が生えた魔物で、動きはそれ程速くない。しかし、跳躍力が高くて回避に優れ、時折くる角の攻撃には要注意という事だ。


 マップで探すと、東門から少し行った所にアルミラージの青い付箋が貼られており、付箋の端にはクエストを示すピンクのシールが付いていた。


「タケじい、アルミラージがクエストになってるよ!」


「ほほぉーぅ、これは一石二鳥じゃな! クエストコーナーを見るぞえ」


 クエストコーナーを見ると、アルミラージのクエスト依頼書が貼られていた。


『==クエスト依頼書==、依頼Lv5、発注者:にんじん農家のエバンス、内容:うちの人参畑がアルミラージに荒されています。このままでは収穫量が減ってしまうよー。誰かぁ助けて下さい! 達成条件:アルミラージ20匹以上討伐、報酬:金貨1枚』


「これは切実じゃ、助けてやりたいのうー」


「そうだね!」


 依頼内容を読んだオレとタケじいは、エバンスさんの切実な訴えに心を動かされ、クエストを受ける事にした。

 場所は東門から真っ直ぐ5キロ。そう遠くないので日没までには帰ってこれそうだ。


 オレはクエスト依頼書を剥して受付へ持って行く。すると、昨日のメガネっ子が顔を出した。


「大和様、聞きましたよぉー。昨日メタルスライムをゲットしたんですってねぇ。やっぱり謎スキルのおかげですかねぇ。今度ゆっくりお話しでもしませんかぁー?」


 あれっ、この子ってこういう子なんだ?


「ハハハ、運が良かっただけですよぉー」


「またまたぁー、私は大和様は何か持ってると睨んでるんですよ!」


 駄目だぁーこの子、話が進みそうにないやっ!

 オレはイラっとして、クエスト依頼書を彼女の目の前に掲げる。


「クエスト、受注したいんですけどっ!」


「あれっ、あたしったら、ごめんなさい。今すぐ受付しますね」


 彼女は営業モードに戻り、あっという間に受注を済ませた。


「大和様、今回も頑張って下さいねー!」


 オレは掴み所のない笑顔の受付嬢を後にして東門へ向かった。


 東門を出ると、西門と同様に田園風景が広がり、ここが農業都市だと改めて実感する。


 東へ続く真っ直ぐな道を歩いていると、時々リアカーを引いた農夫とすれ違う。道の周りは金色の穂を実らせた小麦畑が広がっており、まるで神の世界に降り立った様な気分になる。


 やがて1時間ほど歩くと、小麦畑に代わって人参畑が現れた。


 道の両側には果てしなく人参が植えられており、その中の1割程度が既に収穫されている様で、所々で土が顔を出している。

 しかし、近づいて見ると、収穫したにしては乱雑で、至る所に人参の葉が打ち捨てられ、噛じられた人参が散乱していた。


 タケじいが警戒を告げる。


「これは、アルミラージの仕業じゃろうて。そろそろ遭遇するぞえ!」


「お、おうっ!」


 オレは風の剣を抜き、周りに注意しながら臨戦態勢を取る。

 人参の葉丈はちょうど膝の辺り。アルミラージがいても葉が陰になって非常に見つけ難い。


 オレが警戒しながら人参畑に入ると、すぐ近くで人参の葉が揺れた。更に進むと、今度は左側で葉が揺れる。そして、ここにも、あそこにも……。


 どうやら、この辺り一帯には多くのアルミラージが潜んでいる様だ。


 ガサガサガサッ!


 突然目の前に、とぼけ顔の白いアルミラージが飛び出してきた。そして、オレを見ながら人参をかじり始める。


 ガシガシ、ガシガシ、ガシガシ……。


 コノヤロー、オレが怖くないのかああー?


【第22話 異世界長期滞在 完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ