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【透明な刃殺人事件・伍】

※こちらの作品はカクヨム(@tsurumiya)、小説家になろう(ID:2621621)にて投稿しています。

「……どうして、わかったんですか……」


やがて、彼女の瞳から大粒の涙が溢れ出した。糸が切れたように、その場に崩れ落ちる。その声は、もはや容疑者のものではなく、罪を認めた一人の女の、弱々しい呟きだった。


「……私の父はあの男のせいで自殺したんです…。あの男の事業の邪魔になるからと裏で手をひいて父の会社を潰した。その莫大な借金が原因で…」


「父が死に、莫大な借金だけが残りました。私の家系は魔術師の家系で兄妹も多かったので……特に、まだ幼い妹たちを育てるために、私は必死で働かなければなりませんでした。……そんな、地獄の底にいたときです。あの男が、私の素性を全く知らずに、家政婦として雇い入れたのは」


彼女の顔から、涙は流れていたが、その声には凍てつくような憎悪が宿っていた。


「毎日、毎日、父を死に追いやった憎い男に、笑顔でお茶を出し、部屋を掃除する。地獄のような想いでした。ですが、大切な家族のためならと…必死で働けた…!」


彼女は、一度言葉を切った。


「――あの日までは」


「……あの日?」


服部が静かに促す。


「あの日……私は、聞いてしまったんです。あの男が、電話の向こうの誰かと笑いながら話しているのを。『あの時と同じだ。邪魔な会社は、根こそぎ潰してしまえ』と……。父の時と、全く同じ手口で、また誰かの人生を弄び、潰そうとしていた……!」


 長瀞の瞳に、再び憎悪の炎が宿る。


「あの男は、何も変わっていなかった……! このままでは、また誰かが不幸になる! 父のような犠牲者が増え続ける……! 私の、大切な妹たちが生きていく未来のためにも……ここで、私が終わらせなければならない、と」


「……そして、家の古い文献の中に、記録があったんです。私は、知ってしまったんです。魔術で分子結合を阻害し、不安定なエネルギーを閉じ込める、――『アモルファス氷』の生成方法を!」


「……父の無念を晴らすため、そして、家族の未来を守るためでした……。私が、あの男を殺しました……!」


 全ての謎が、解けた瞬間だった。


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