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BlackLobelia.

作者: 椿./Merina.

こちらは弊作「BlackLobelia.」のバックストーリーになります。

楽曲はこちらから聴けますのでこちらもよろしくお願いいたします。

https://youtu.be/RVklIxCyVQI?si=Ukgzv9I-tieJHt6a

ロベリア。


花言葉は「悪意」、「謙遜」、「いつも愛らしい」

これらはロベリアの多面的な魅力を反映する。

「悪意」はその鮮やかな色合いが強烈な印象を与えることに由来し、「謙遜」は小さく控えめな花姿を象徴する。

黒色のロベリアは普通は咲かない。だが他の黒い花は大体「憎しみ」を表すらしい。


彼女は存在した。

存在する意味も知らず、故に日々劣等感を感じながら生きていた。

彼女は「生きること」にあまり前向きではないまま過ごしていた。

彼女は悲しんでいた。

周りが笑顔を浮かべ、楽しく過ごしている様子を見て。

自分は何故このような運命を辿ってしまったんだと思っていた。

彼女は謙虚でいた。

人に何を言われ、どんなに気に食わない行動をされたとしても。

全く気を荒げることは無かったのだ。


「はぁ...」

また当たり前のようにため息をつく。

私は動くことが嫌いだ。体育はおろか、登校すること自体に嫌気ががさしている。

まわりとは全く違う。私以外は体育を休み時間感覚で楽しんでいる。...訳が分からない。

なんで私には体力がないのだろうか。産まれたばかりはみんな同じちっこいのじゃないか。

私は花が好きだ。

花は綺麗で、私に癒しを届けてくれる。

いつかは花畑に囲まれて過ごしていたいなぁ...とかたまに思っている。

今日は本屋に行って花図鑑みたいなのを買おうかな。

__花の他にも、読書をするのも好きだ。

本は知識、想像力、表現力が伸びると聞いたことがあり、私が好きな部類の本は見ていて楽しくなる。まったく、普段から騒いでる変な男子たちにそれを伝えたいものだ。

だからこそ、大体の本の出版社は覚えていたりもする。もちろん花の図鑑系のも。

「あれ...?」

その花図鑑のコーナーに私が知らない出版社の図鑑が置いてあった。

その出版社は他の類のコーナーにも置いておらず、どうせならネット記事にもなっていない。

私はその出版社の花図鑑に興味を持ち、即座に購入して家に帰り、その本を開いた。

中の内容は、ほかの図鑑と同じような花の種類と解説が載っていたのだ。続々とページをめくっていくが、すべて見たことのある花だった。...なんだ普通の花図鑑か、...と思いながら次ページを開いたのだ。

「え...?」

見開きの右下に「黒のロベリア」と表記してあったのだ。

いや、黒葉のロベリアは実際に実在しているのは覚えている。だが、イメージ画像は花びらまでも黒く染まっていたのだ。

...いや、そんなのあるわけないでしょ...と心の中で思いながら本をそっと閉じた。

...明日も学校か。ここで今日三回目のため息をつく。あんな居心地の悪い場所、どうしていちいち行かなければならないんだろう...もう学校に行きたくないな__


__翌日の登校中。今日は道端に咲いている花を心の中で答える自画自賛ゲームをすることにした。

カタバミ、ハコベラ、ハルジオン。

...よくここまで覚えられたな。何気に誇らしく思っている。自慢する相手はいないが。

今日は別の道を通っていこうかな。新鮮な気分で登校するのも意外と悪くない気もする。

向こうの分かれ道で普段行く方向とは逆の方向に進み、そこでも咲いている花を見ていた。

あれ...?これって...

見覚えのある形、黒く染まった花びらと葉。...間違いない。昨日の図鑑で見た「黒のロベリア」だ。...こんな近いとこに咲いていたんだ。一輪、という訳ではなく、まわりにいくつも咲いており、踏まれてしまったものもある。

そこで私は「どういう花なんだろう...?」と興味深く思い、一輪、割と綺麗めなものを採取しておこうと思った。


ブチッ。


ちぎる音がかすかに鳴った。そしてもう少し細かく見たいと思い、その花を目の前まで持って行ったその瞬間だった。

あ...れ......

急に視界がぐらん、となり、ふいに全身に力が入らなくなってその場に倒れ込んでしまった。

視界は最後までその花を捉えていた。だがそのうち視界が歪んで上手く見えなくなるのだ。

「お、おい、お嬢ちゃん大丈夫かい??!!」「誰か、救急車!!」

最後に意識があった聴覚に、そんな声がうっすらと入った。


ピーピーピー。


あれ...

気づけば私は病室のベッドにいた。腕に点滴が打たれており、心電図の音がかすかに響いていた。

「あ...!起きた...!起きましたよ!」「良かった...心配してたんだから...」

...まったく状況を読み込めない。そこで、私を看病してくれていたとされる看護師が今までの私の状況を教えてくれた。

私はあの時倒れてから2日間ずっと眠っていたとのこと。救急車で搬送された後すぐに手術が行われ、幸い異常のある箇所が発覚し、無事に成功したらしい。

ただ、私が倒れた原因は未だに発覚していないらしい。

まぁ目が覚めて良かったねー云々の話を看護師さんと話し、病室に私だけが残った状態になる。私は無意識に病室の窓の方を見た。


そこには見覚えのある花、"黒のロベリア"が一輪、花瓶に添えられていたのだ。

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