約束
彼は私のボロボロになった顔を微笑みながら見つめた。そして『僕の事、好きになってくれて本当にありがとう。実はね断られるんじゃないかと思ってた』と私の腫れた目をさすりながら言った。私は『もし、私が断ってたらどうするつもりだったの?』と聞くと『もちろん、諦めないで何度もプロポーズするつもりだった。YESって言ってもらえるまで何年かかってもね!』と笑顔で答えた。私も『ヤダ!私本当のおばあちゃんになっちゃうよ!』と笑った。彼は私の頭を撫でながら『やっと笑ってくれた。君が笑っていると本当に幸せを感じるんだ。良くわからないけど、この感じは初めて』と笑顔で言った。私は左手の指輪を見て言った『この指輪、いつ買ってくれたの?サイズもピッタリだし。すごく綺麗!私のこのヘンチクリンな手にはもったいないぐらい』と聞いた。彼は『半年前ぐらいにこっちで仕事があって、その時に頼んでたんだ。それで昨日受け取りに行ったの』と言った。”昨日?…あ~!もしかして食事の時か“と私は思ったがちょっと疑問だったのが、サイズがピッタリだった事と何で済州島で作ったと言う事。ソウルの方が受取るのも容易だし店もたくさんある。あえて済州島で作った理由がわからなかったので聞いてみた『私の指のサイズどうしてわかったの?それに、何で済州島のお店で頼んだの?』。すると彼は『ずっと前に君が寝ている時に確認したんだ。ドキドキしたよ!それから、何でここで指輪を作ったかって琴だけど…僕の父と母が出会ってその時に父が母にプロポーズしたのが済州島だったらしい。その時に父が初めて買ったのが僕が頼んだ宝石店だったんだ。だから僕もそこで指輪を作って、済州島でプロポーズしたかったんだ。』と教えてくれた。そして付け加えて『だから今までにアクセサリーがほしいって言われても、ソウルでしか買った事はないしこの事は誰にも話したことはない』と言った。『じゃあ、私は本当に特別だって事?』と聞くと『一生に一度だけ!君だけだよ』と笑顔で言った。『ありがとね!最高に嬉しいよ』と私は彼にハグをした。彼も私をきつく抱きしめた。そして彼が『みきの家族にちゃんと挨拶しなくちゃね』と言ったので私は現実に引き戻されたような気持ちになった。“そうだよね!これからちゃんと子供達に話さなくちゃいけないんだ”と考えていた。彼は私が黙っていたので抱きしめていた手を解き両手を握って聞いた。『反対される?』と私の気持ちがわかったように見つめた。『驚くと思う。間違いない!でも、あの子達はきっと母が幸せになれるならって反対はしないと思うよ』と答えた。そして私は更に続けて『ただ、私がすぐにヒョンさんの所に行く事は難しいかもしれない。とももまだ高校生だし、ちゃんと社会に出るまでは責任があるから。それに、私の両親もいるから全てを投げ出してヒョンさんの所には行けない。それでも大丈夫?』と私は自分の気持をきちんと伝えた。彼は黙って聞いていたが笑顔で『そんな事は承知の上だよ。君は自分の事よりいつでも人の事を考えている人。心配性で優しくて頑張り屋さん。だから僕はそんな君を好きになったんだよ。毎日一緒にいたいのは間違いないけど離れていても支え合えるし、僕が日本へ行けない時は君が韓国に来ればいい。もうこれからはお互い一人じゃない。僕が君達を守っていくから。何かあっても二人で乗り越えていこう。だから約束して。もう泣かないって!』と彼は力強い言葉をくれた。『ありがとう。約束する』と心から感謝した。私はその言葉を聞いて久しぶりに心が軽くなったような気がした。現実的には国際結婚でいろんな問題が山積みなのは解っていたが、なぜかそこまでの不安はなくなっていた。彼となら楽しく乗り越えて行けるような確信すら感じた。”もう、決めたんだ!大丈夫!何とかなるさ“と心で呟いた。私は彼の顔を見つめて『ごめん!ヒョンさんからこんなに素敵な指輪頂いたのに、私は何もあげられる物がない』とすまなそうに言った。彼は吹き出して笑いながら『何もいらないよ!僕の奥さんになってくれた事が僕への最高のプレゼントだよ!物なんか何もいらないよ!』と言った。そして更に楽しそうに『僕、お父さんになるんだね!ちょっと不安だけど楽しみ』とワクワクしているようだった。こんなにも、素直にポジティブに喜べるなんて凄いなと思った。彼は私を抱きしめてキスをした。そして私をベッドまで連れていき『愛してる。これからもずっと愛してる』と優しく首筋にキスをして私達はそのまま愛を確かめあった。
気付くと外は、さっきまでの嵐のような雨はやんでいて、優しい月明かりが私達を静かに照らしていた。




