隠していた想い
外は雨風が強くなってきていた。しばらくして皆リビングに集合した。チェさんとソジンさんは二日酔いのようだったので、私は二人に熱いお茶を入れて渡した。ソジンさんが『飲み過ぎちゃいました。すいません』と私にお辞儀をした。私は『たまには良いんじゃないですか。楽しかったし。羽目を外す事も必要ですよ!』と笑顔で答えた。キムさんが全員のお粥を用意してくれた。『오늘은 몇 시 비행기인가요?(今日は何時の飛行機ですか?)』とキムさんが聞いた。『15시입니다.(15時です)』とヒョンさんが言うとジオンさんが『날씨가 안 좋은데 비행기 날까?(天気が悪いけど、飛行機飛ぶかしら?)』と心配そうに言った。『내일 일할 사람 누구 있어?(明日仕事の人はいる?)』とヒョンさんが聞くとソジンさんとジオンさんと息子が手を上げた。思わず皆が息子を見て笑った。『ともも明日仕事なの?』とジオンさんが笑いながら言うと息子は慌てて手を下ろして『楽しかった人?って聞いたかと思った』と言った。“バカすぎる!わからなかったら手を上げないでしょ!”と私はちょっと恥ずかしくなった。でも、そのおかげでどんよりしていた空気がちょっと明るくなった。『좀 알아볼게!(ちょっと調べてみるね!)』とヒョンさんが言って携帯で調べ始めた。その間も皆はお粥を食べていたが隣に座っていたチェさんは進んでいなかった。『괜찮아요?커피라도 드릴까요?(大丈夫ですか?コーヒーでもいれましょうか?)』と私はチェさんに話した。彼は私の顔をジッと見つめて『감사합니다。커피를 부탁드려도 될까요?(ありがとうございます。コーヒーをお願いしても良いですか?)』と言ったので『OK!』と私は台所に向かった。私はコーヒーをいれて彼に渡した。『고마워요. 미안해요.(ありがとう。ごめんなさい)』と頭を下げたので私は彼の肩をポンポンと叩いて席に座った。私も二日酔いの経験が何度もあるので辛さはわかっていた。頭痛や気持ち悪さと一緒に後悔が残り次からは絶対に飲み過ぎないと心に誓うがまた繰り返す!そしてだんだんと強くなり飲み方を知る。それが二日酔いの無限ループ!わかってる!
するとヒョンさんが『오후에 결항일지도 몰라!(午後に欠航かもしれない)』と言った。『에~! 정말? 회사에 연락해야지!(え〜!本当に?会社に連絡しなくちゃ!)』とジオンさんが言った。『아직 결항이 결정되지 않았다면 탈 수 있는 항공편으로 변경할 수 없습니까?(まだ欠航が決まっていない場合は、搭乗可能なフライトに変更できませんか?)』とソジンさんが言った。『물어보자!(聞いてみよう!)』と彼は席を立つと電話をかけた。すると幸いな事に2名分なら変更可能との事だったのでジオンさんとソジンさんが変更して今日帰る事になった。彼等は慌てて食事を済ませて上に上がって行った。息子が『ジオンさん達どうしたの?』と聞いてきたので事情を説明した。『じゃあ、俺等はもう一泊出来るんだ!やったー!』と笑顔で息子は言った。”能天気なヤツ“!私達が食事を終えた時にジオンさん達が身支度を済ませて降りてきた。『お姉さん、とも、先に帰っちゃってごめんね!』とジオンさんが言ってきたので私は『気をつけてね!忘れ物はない?ソジンさんも一緒に来てくれてありがとう』と伝えた。ジオンさんは『大丈夫よ!とも、あっち向いてホイの続きはソウルでね!お兄さん!皆の事よろしくね』と笑顔で言って皆とハグをした。ソジンさんも皆と握手をして外で待っていたTAXIに乗り込み空港に向かった。私達はソファに座り明日までの予定を相談する事にした。チェさんは多分午前中は二日酔いでダメだろうから午後からの予定をたてた。もし、嵐が凄くて外に出られないようならビリヤードなどでゆっくりする案と嵐だけど外に行けそうならばショッピングモールで買い物に行く案が出た。なので午後まではそれぞれゆっくり過ごす事になった。案の定チェさんは部屋に戻り横になるとの事で2階に上がって行った。息子とヒョンさんは地下でビリヤードをしに行った。私は一人でリビングで窓の外を見ていた。するとキムさんがお茶を入れてくれて二人でお話しする事にした。私は翻訳機を用意して私達は話しを始めた。『キムさんはこちらには永いんですか?』『そうですね~!彼がまだ15歳ぐらいから知っています。でも、こちらで働き出したのは15年ぐらい前からだと思います。』『そうなんですね!じゃあ、ヒョンさん達にはお母様が2人いるみたいで羨ましい!』と言った。キムさんはちょっと考えて私に聞いた『みきさんは彼と結婚されるんですか?』と。私は少し考えてから言った。『実は結婚については難しいと思っています。私ももうこんな年齢で離婚も経験していて。でも彼はまだまだ若くてこれからも、若い奥さまと自分の家族を作る事が出来ます。だから、実は凄く悩んでいるのが本音です。』『みきさんの本当の気持ちはどうなんですか?彼を愛していますか?』『本当の気持ちは…凄く愛おしくて、離れたくないです。人としても尊敬出来るし。でも彼の側にいるのは私じゃない気もしています。彼には本当に幸せになってほしいし、ずっと笑顔でいてほしいです。』と。キムさんはしばらく考えてからゆっくりと言った。『彼が誰の側にいたいか決めるのは彼ですよ。彼も子供じゃないから、ただ好きだから一緒にいるとは思ってないと思いますよ。みきさんと同じように彼もいろんな経験をしてきているから。私は彼を若い時から見てきています。みきさんは何が不安なんですか?年齢?それとも自分に自信がないからですか?それとも彼の将来?』と笑顔で言った。何だか全てお見通しで、私があえて避けてきた言葉を言われた事に涙が溢れてきた。『キムさんが言った全てです。年齢も勿論そうだし、彼がこんな私と一緒にいて幸せになれるかどうかとか。彼は後悔しないだろうか?とか。私は一人の人として彼を愛しています。だからあんなに素敵な彼の将来の邪魔はしたくないんです。』と閉じ込めていた気持ちを口に出した途端、涙がポロポロ溢れてきた。キムさんは私の背中をさすりながら『彼の事、本当に愛しているんですね。みきさんは素敵な女性ですよ。本当です。それに、彼が決めなくちゃいけない事は彼が決めるし、みきさんが決めなくちゃいけない事はみきさんが決めれば良いんです。ただ、自分の気持ちに正直に生きましょう。』と優しく言葉をかけてくれた。『ありがとうございます。少し気持ちが楽になりました。また何かありましたら、相談しても良いですか?』と尋ねた。彼女は笑顔で『いつでもどうぞ!』とそっとハンカチを渡してくれた。




