一時の幸せ?
『母!ヤバイよ!…聞きたい?どうしようかなー!聞きたい?』といきなり言ってきた。本当にこいつは訳わからん!黙ったまま彼の顔を見ていると、ヒョンさんがジオンさんを見て『何かあったの?』と韓国語で聞いていた。彼女は笑いながら『とも、面白いね!』と言った。私は、また何かやらかしたな!と直ぐに察した。私は息子に言った。『何かやらかした?』。すると息子が笑いながら言った。『俺!彼女出来るかもしれない!それもアイドル!』と自慢気に携帯の写真を見せてきた。そこには、もの凄く可愛らしい女の子と一緒に撮っている写真だった。私は内心”だから?“と思っていた。ヒョンさんはその写真を見て『良く撮れてるね~!何かあったの?』とともに聞いたが韓国語だったのでわからなかったらしく慌ててカバンから翻訳機を出そうとしたらジオンさんが通訳してくれた。息子は『ヒョンさん聞いてくれる?』と母を押しのけて彼の隣に割り込んできた。ジオンさんはその息子の行動を見て大爆笑していた。私はとりあえず息子とジオンさんに飲み物を渡した。私とジオンさんはダイニングテーブルに座った。私は『ジオンさん。今日は本当にごめんなさい。大変だったでしょ?息子なんかやったの?』と聞いてみた。彼女は小さな声で『実はね、ともを私の良く知ってるアイドルの撮影に連れて行ったのね。そして撮影後にちょっと紹介してあげようと彼女の所に行ったのね…』と言うと何かを思い出したように笑いが止まらなくなり話しが途切れた。私は彼女の笑いが収まるまで少し待った。ちょっと収まった彼女は続けた。『ともね、もの凄く緊張してたみたいでそのアイドルが近づいて握手した途端に鼻血出したのよ〜!それでいきなり言った言葉が“僕と付き合って下さい”だって!可愛いいと思わない?笑っちゃったけど。』と笑っていた。私は”あちゃー!やらかしおったな!“とニヤけながら息子を見た。息子は一生懸命にヒョンさんに話していたが後ろから視線を感じたのか、ゆっくり振り向いた。私はニヤけながら彼を見ていた。すると息子は『ジオンさん!あの事だけは母に言わないでね!』と、慌てて言ったがジオンさんは“あっ!”と口に手を当てて私を見た。私はニヤけたまま”残念でした〜!聞いてますよ“とわざと“あっ!”と口に手をあてた。『あ~あ!母に知られたら兄ちゃん達にもじきにバレちゃうよ〜!』と泣きそうな顔になったのでよけいに笑えた。ジオンさんはその会話をヒョンさんに通訳しながら、息子にゴメンのポーズをした。私は『ねー!何でそこからお付合いする事になるのかが理解できないんだけど!』と息子に聞いた。息子は翻訳機を使ったまま言った。『それからがあるんだよ!俺ね。焦って変な事言っちゃったんだけど…それも日本語で。だけどね、彼女日本語普通に話せるわけよ!それで話しが超弾んですこし時間あるって事になってそのビルのカフェに行ったわけよ!彼女、日本が凄く好きでプライベートで日本に行きたいって!だから家に招待した。そしたら絶対に行くってLINEじゃないけど連絡先交換しちゃったよ!凄くね!俺!モテ期来たかも!』と大興奮状態で話した。私はちょっと盛ってるのかと思ってジオンさんを見ると大爆笑しなが頷いた。”ありえない!社交辞令だろ!“と思ったが“何で家に招待するねん!家はみんなが集う居酒屋じゃないんだけど〜”と思い息子に言った。『残念だけど、社交辞令だと思うよ!それにもし本当に日本に来て何でうち?』と聞いた。すると『アイドルだから俺と外歩いてたらパパラッチに狙われるだろ!ヒョンさんもそうじゃん!同じだよ』と真面目な顔で言った。私はもう特に何も言えず『ん〜!良かったね』と笑顔で言った。ヒョンさんが何か言いたげに私を見ていた。息子は自分の携帯の写真をニヤニヤしなが見ていた。でもちょっと私の心の中では”自分にも奇跡のような事が起きてるから、息子にも無くはないかも!“と思ったりもしていた。私はとりあえず夕食の準備をしようと台所に向かった。するとジオンさんが飲み物のおかわりをしに台所に来たので聞いてみた。『ともの言った事は本当?』と。するとジオンさんは『本当なんだけどね…実は彼女には彼氏がいるのよ!それもお兄さんの友達の息子!俳優やってるんだけどね〜!さすがにともには言えなかった!』と少し申し訳無さそうに言った。私は『奇跡は母にしか起きなかったって事だ!しばらく黙っておこうね!たまには素敵な夢を見せてあげよう。良い思いをさせてくれてありがとう!ジオンさん。』と私は笑顔で言った。『私も言わないでおくね!お兄さんも優しいから絶対に言えないと思うから大丈夫!』と、彼女は私にウインクをしてリビングに戻って言った。入れ替わるようにお母様が台所にやって来た。『みきさん、遅くなってごめんなさいね!さあ!夕食のお手伝いしますね。何から始めたら良い』と笑顔で言った。私達ははとりあえず肉じゃがとお味噌の準備を始める事にした。
しばらくして息子も飲み物を取りに鼻歌を歌いながらやって来た。そして飲み物をよそうと私に言った。
『母!今日の夕飯何?』と。私は韓国に来てまでこれかよ〜!と思いながらも、心の中で息子に向かって、“母は知ってるんだぞ〜!言っちゃうぞ〜!”とちょっとだけ優越感に浸りなが笑顔で答えた。『母が作る日本食!』と。息子は何も言わずまた鼻歌を歌いながらリビングに戻って行った。
”は〜?聞くだけかい!何か言えよ“と思いながらも幸せそうな息子が不敏に思えて仕方がなかった。




