誇りに思う!
私は3本目の金麦を開けた。彼等はしばらく黙ったままだった。私はその沈黙に耐えられなくなり私は、
『ヒョンさんです。韓流スターです。歳は42歳です、知ってると思いますが母がずっと応援してた人です。母がこの方とお付合いするって言ったらどう思いますか?』と3人に尋ねた。しばらく黙って食べていたが長男が我慢の限界とばかりに笑い出した。すると二人も笑い出した。そして彼等が話し始めた。
長男『母!何で敬語?超笑えるんだけど!』
三男『俺、ヒョンさんもう知ってるし。一緒にご飯食ってるし!』
次男『ねー、母。もし母が誰かと付き合うとか言ったら反対とかすると思ったの?だから緊張して金麦3本目とか飲んじゃってんの?笑えるんだけど』と、矢継ぎ早に話しだしたので言葉に詰まった。そして次男が言葉を続けた。『俺等が心配してんのは、母が騙されないかって事。ちなみにどうやって知り合ったの?韓流スターだったらファンの人だって韓国にも日本にも他の国にもいるじゃん!その何十万分の1なわけよ。母は!俺がガッキーの彼氏になるより確立低いし、俺等には全てがハテナなわけよ。』と。すると長男が、『え!お前ガッキー好きだったっけ?』と笑いながら聞いた。『別に好きではないけど、例えね!わかりやすいっしょ!』次男は笑った。『俺、ガッキー好き!』と三男坊が入ってきたので『お前に聞いてないよ』と長男がツッコミ私達は笑った。私は彼等に次男の病院の出来事から星さんに出会った事。全ての経緯を説明した。彼等は私が話している間、黙って話を聞いてくれた。そして長男が話しだした。『経緯はわかった。本当の本物なのもわかった。だけど、たぶん俺だけじゃないと思うけど、そのヒョンさんが母の彼氏なのかは半信半疑。母がずっとファンで好きだったのも見てきてるから知ってる。だからこそ、母は彼氏とか思ってて向こうが友人としか思ってないかもしれないし。後で痛い目見るの母なんだからいつでも冷静に物事を判断してほしいんだよね。別に母が幸せなら俺等はそれが一番良いと思うし、応援もするからさ!な?』と次男と三男坊に目配せした。次男は『俺もそう思うよ。こんな奇跡みたいな話し聞いてすぐに信じろって言う方が無謀だと思うけど、母嘘嫌いだから信じるけどね。だけど、一人で突っ走るんじゃなくて何かあったら俺等に言ってよ。まっ!母が今までみたいに笑えてれば良いからさ!』と言ってくれた。すると三男坊が『母全然変わってない。りんご星から来た宇宙人!』と一人大爆笑していた。それを見て私達も三男坊の能天気に笑った。そして私は彼等に『今度もしヒョンさんが日本に来た時に皆で食事とかしても大丈夫?』恐る恐る聞いた。皆は頷いて『全然良いよ!ちゃんと俺等の事紹介してくんない!』と長男が言うと『俺もう知ってるから。韓国語も言えるし!アニョンハセヨ!カムサハムニダ〜!』とドヤ顔で三男坊が言った。『誰でも知ってるわ!』と次男がツッコんだ。そして次男が『俺の休みわかる範囲で教えとくから、ヒョンさん来たら連絡して。出来る限り来るから』と言った。
その後も”韓国のアイドルは知り合いなのか“とかヒョンさんの動画や画像を検索して“イケオジだ!”“42に見えない”などヒョンさんの話題で盛り上がった。その間も三男坊は”俺は友達だ“と言わんばかりに母への質問にも関わらず答えてツッコまれの繰り返しだった。私はそれまでの緊張は何だったのかと笑ってしまった。
そして家族会議と言う名の夕食会が終わって息子達は3人でゲームに夢中だった。私は台所で食器を洗いながら、並んでソファに座る3人の後頭部をみながら昔の事を思い出していた。並び順も昔から変わってなく右から長男、三男坊、次男。ただ皆大きくなっているだけで何も変わっていなかった。昔からその姿を見ているだけで何だか幸せだった。離婚してからずっと仕事も忙しくへとへとになっていても、その光景を見ると疲れも吹っ飛んだ。
私はつくづくこの子達がいてくれて良かったと思うし、片親になっても兄弟仲良く育ってくれて感謝もしてる。更にこんなトンチンカンな母を支えてくれてる息子達を誇りに思う。“ありがとう〜”と心の中で彼等に言った。すると次男が振り返り『何か言った?』と聞いたので、心の声が出てしまったかと思い焦った。
片付けを終わらせて、私は熱いお茶を入れて食卓の椅子に座った。緊張の糸がほどけたのか急に眠気が襲ってきた。
私はそのまま食卓で眠りに落ちてしまった。




