私の気持ち、雨のち…
私は絶望感と言うより失望感だった。家では出来る限りいつものように笑顔でいる事を心掛けていた。しかし、仕事場では笑顔でいる事が本当にきつかった。すると上司や同僚達が体調不良と勘違いをして、私に半休を取らせた。“全然元気だよ〜!大丈夫大丈夫!”と言ってもそれが余計に体調不良に見えたらしい。ある意味で私は彼等に感謝した。
私は買い物による気分でもなく、そのまま帰宅する事に決めた。
家の駐車場に車を入れて玄関に目をやると、見覚えのある人影が立っていた。彼は振り向いたと思うと私の所にかけてきて私を抱きしめた。ヒョンさんだった。
『え?どうした?驚いた』私は本当に驚いた。確かまだドラマの撮影をしていると思ってたから。彼は私の顔を覗き込んで『미안해. 걱정이었지?(ごめんね。心配だったよね?)』と申し訳無さそうに言った。私は『우선, 안으로 들어가자.(とりあえず、中に入ろう)』と彼と一緒に家の中に入った。
彼をソファに座らせて私はコーヒーを入れて彼に渡して座った。私はまず携帯を用意して翻訳機を起動させて彼に聞いた『あの記事の事でわざわざ私に会いに来てくれたの?』と質問を投げかけた。彼は黙ったまま頷いた。そしてゆっくり話し始めた。『ずっと心配してたんだ。みきが心配してるんじゃないかって。もう会ってくれないんじゃないかって。メールでちゃんと話そうと思ったんだけど、どうしても直接会って話したかった。全部嘘で、ドラマの制作会社がドラマの為の話題作りでやった事なんだ。』彼は必死そうだった。私はこんなに必死な顔するんだな〜と、ちょっと笑いそうになったが、わざと真剣に話した。『仕事は?また家出してきたんじゃないよね?』と聞いた。彼は『マネージャーに説明して1日だけ休みもらった。だから家出はしてないよ』と、怒られた子犬のような顔をしたので笑いをこらえて私は今度はちょっと怒り口調で聞いた。『それであの記事で私が心配になってわざわざ大事なお仕事休んでまで私に会いに来たんだ!でしょ?』と言うと頷いたまま下を向いてしまった。私は笑いを抑えきれずに笑いながら『고마워. 너무 기뻐.만나고 싶었다.(ありがとう。凄く嬉しいよ。逢いたかった)』と彼にハグをした。安心したように彼も私を強く抱きしめた。『나도 만나고 싶었어.미안해.(僕も逢いたかった。ごめんね)』と笑顔が戻った。私達はチュとキスをして話を続けた。『私ね本当はしょうがないかな。って思ってたんだ。本当にお似合いなんだもん。でも、ちょっと心配はしたかな。…そうだ、今日何時の飛行機?お見送りに行かせて。』と私が聞くと”22時”の最終との事だった。私は急にお腹が空いてきたので彼に聞いた。『배고파?(お腹空いた?)』彼は頷いて『みきは?』と聞き返してきたので、『배고파! 뭔가 만들게.(お腹空いた!何か作るね)』とソファから立ち上がろうとした時に手をグイッと引き寄せられて彼に覆いかぶさるように倒れてしまった。『미안해.ごめんね』と慌てて立ち上がろうとしたが彼は笑顔で私をギュッと抱きしめた。『계속 안고 싶었어.외로웠다.(ずっと抱きしめたかった。淋しかった)』と今度は私をゆっくり起こして横にした。彼は私に優しくキスをすると耳元で『ご飯はあとね』と囁くと激しくキスをした。私達は再び愛し合った。彼はずっと優しかった。玄関の前で不安そうに立っていた彼とは別人のように穏やかな顔をしていた。正直なところ、彼の顔を見て言葉を聞くまでは不安と失望感で押しつぶされそうだった。そして私は彼を信じてあげられなかった事を恥じた。
その後私はちゃっちゃとラーメンを作って二人で食べた。何だか、ただの即席ラーメンがやけに美味しく感じ二人はあっという間にたいらげた。そしてコーヒーを飲みながらいろいろな話をした。そして驚いた。彼は家の前に3時間近く立って待っていたらしかった。私は『ごめんね!たくさん待たせちゃって』と謝った。彼は不思議そうな顔で『僕が会いたかったんだよ!会ってくれないかと思って怖かったけど、顔見た瞬間に身体が動いちゃったよ』と相変わらず優しかった。それから、私は彼の広告の写真が凄く綺麗と思っている事や、途中で中断した韓国語やダイエットの話しなど話し、彼もドラマのNGで何度も繰り返し結局別の日に撮り直しになった事やジオンさんの彼と食事をした時の話しなどお互いに話しはつきなかった。本当に自然で久しぶり感はなくなっていた。彼は息子に会いたがっていたが残念ながら今日は学校帰りにバイトと伝えるともの凄く残念がった。
彼は突然私の首元のネックレスを触り、”これって?“と目で聞いてきたので笑顔で頷いた。
彼は向かいに座る私を引き寄せるとキスをした。何だか嬉しそうだったので聞いた『괜찮아?(大丈夫?)』。
すると『괜찮아. 기뻐요.(大丈夫。嬉しい)』とネックレスを触った。『こちらこそ、本当にありがとう。大切にするね』と感謝した。彼は急に立ち上がり後ろから私を抱きしめた。そして耳元で『あ〜!帰りたくない!』と、かなりネイティブな日本語で言った。私はつい『日本語上手!』と驚くと『ありがとうごじゃいます』と笑顔で答えた。私はやっぱり“ごじゃいます”は変わらないのね!とクスッと笑ってしまった。
彼は私を立たせるとそのまま、ちょっと激しくキスをしながら壁ドンの態勢に持っていき私に言った。『もう何があっても僕を嫌いにならないで。僕を信じて。約束!』と小指を出したので私も『약속.』と小指を絡めた。彼は安心したのか私を急にだきかかえてソファに座らせた。私は『重くてごめんね』と心から言った。彼は大笑いして『全然大丈夫よ!え〜!気にしてますか?』と聞いてきたので”はい!“とつい大きな声で返事をしてしまった。すると『かわいい〜!大好きだ』と私に抱きつきソファに倒して『もう1回』と微笑んで激しくキスをしてきた。私達はまた愛し合った。お互いに相手を思い愛くしむように、幸せをかみしめて。
私はいつの間にか二人が日本語で会話している事に気付いた。彼がそれだけ一生懸命日本語を勉強してくれている事が嬉しかった。




