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三人

『ただいま〜!』三男坊がリビングに入ってくると、『おかえりなさい!』ヒョンさんが笑顔で言った。

『ヒョンさんじゃん!久しぶり〜!アニョンハセヨ!』と息子が韓国語で挨拶した。私は、『え〜。韓国語勉強したの?』聞くと、『母が毎日のように言ってるから勉強しなくても覚えるし。ヒョンさんいつ来たの?』『今日だよ。バイトは?』と私が聞くと『今日ないよ。明日』そう言うと部屋に着替えに行った。そんな私達の日常をニコニコしながらヒョンさんが見ていた。そして彼が『彼は勉強したの?』と私に聞いてきたので『ううん!私が勉強の為にずっと発音の練習してたから覚えたらしいよ』彼はなるほど〜と頷いた。私が『きっと下に降りてきたらまず“腹減った〜。今日夕飯なに?”って聞くよ』と彼の真似をしてみせた。するとすぐに息子が下に降りてきた。

『腹減った〜!今日夕飯なに?』と聞いてきたので私達は笑った。

息子はわけのわかない顔で席に座った。

『何が食べたい?』とヒョンさんに聞いたつもりが、なぜか息子が答えた。

『グラタンと唐揚げと〜…』

『ヒョンさんに聞いたんですけど』と私が言うと、息子がヒョンさんに向かって『良いじゃんね〜』と仲間に引き入れようとしていた。私は翻訳機で彼に伝えた。

『息子の言う事聞かないで良いからね!切りが無いし!ヒョンさんは何食べたい?』するとまた息子が横やりを入れてきた。

『何、母。あんだけ勉強してて喋れないんじゃん!笑える〜』超ムカつく!ヒョンさんは翻訳機を確認しながらずっと笑っていた。そして、『ともくんの食べたいもので良いよ』と言ってくれたのに調子に乗って、『ほら~!ヒョンさんわかってんじゃん!カムサハムニダ!』とヒョンさんと握手していた。本当ムカつくわ!とりあえず、私は夕飯の準備に入った。

 息子は私の携帯の翻訳機が気に入ったようで、何やら二人で話していた。聞き耳を立てていると息子が彼に日本語を教えているようだった。

『俺が言うから言ってみて』彼は頷いていた。良く聞いてみると、ろくな事を教えてなかった。

『ばかじゃね。マジで〜!。おばちゃん。ブスすぎね!。お金下さい。スキヤキです。…』などなど。訳わからん!でも、二人は翻訳機を使いながら楽しそうに笑っていた。すると『母〜!ヒョンさん日本語上手くなったよ!聞いて』とヒョンさんに耳打ちするとヒョンさんが言った。

『マジで〜!おばちゃん。天然じゃん!』と、まだ意味は良く理解していないようだが、私の顔を見て察したらしかった。

『みきさん!ごめんなさい』と一生懸命謝ってきた。となりで息子が大爆笑していた。『やめて!全然面白くないんですけど!』とは言ったがヒョンさんの泣きそうな顔を見たら、思わず吹き出してしまった。

 それから二人は日本語と韓国語を大爆笑しながら教え合っていた。私は夕飯の準備を進めた。

 夕飯は楽しい時間だった。私と彼は次男からもらったワインを開けた。いつの間にか息子も翻訳アプリを入れて彼に質問攻撃を食らわせていた。そしてこんな質問をした。

『ヒョンさんは彼女いないの?』直球をかました。すると私の方をチラッと見てから『いるよ!』と即答すると息子が母を見て『母、残念!彼女いるってよ!』と小馬鹿にするように笑った。そしてヒョンさんに『芸能人?どんな人?綺麗?』と思春期の息子らしくバンバン聞いていた。彼は『普通の人だよ。凄く優しくて、可愛い人』と笑顔で答えた。息子は”へ〜“と母をみて『残念!可愛い人だって。おばちゃんは対象外だって!』とまた小馬鹿にしたような笑みを浮かべて言った。“本当!ムカつく以外の言葉がみつからないわ!”と思いながらあえて笑顔で返した。すると今度は彼が息子に質問した。『お母さんてどんな人?』と、私の顔を見ながら聞いた。私は”変な事言わないでよね!“と心で叫んでいたがその思いは無惨にも砕け散った。

『母はね〜。ド天然!りんご星から来た宇宙人。』彼は息子の翻訳機を覗いたがさすがに“りんご星から来た宇宙人”は翻訳出来なかった。続けた、

『ん〜。ご飯はマズくはないかな。雑だけど。怒るとマジ怖い!でもおもろい!』自分で言って笑ってた。

ヒョンさんは”ん~~“と何か言いたそうに笑ってこちらを見た。

『ちょっと!もう少しマシな事言って頂けませんか?お坊ちゃま!』と息子をキッと睨んだ。すると息子が『見て見てヒョンさん!母怖いでしょ』と彼に同意を求めて笑った。

『怖いけど、可愛い〜』と彼は笑顔で息子に言った。するてと息子が、『ヒョンさん!日本語間違ってる!可愛いじゃない!』と慌てて訂正したので、なんだか可笑しくなり、全員で吹き出して大笑いした。

 すると『ヒョンさん!どこか行きたい所ないの?』息子が唐突に聞いた。彼はしばらく考えてから、 『海に行きたいかな』と言った。

『母!海だって。車で連れてってあげれば良いじゃん』と息子が言ってきたので私は言った。

『ヒョンさん明日韓国に帰るんだよ。ちょっと厳しいんじゃない?』

すると、『朝早く出れば大丈夫じゃね?江の島だったらそんなに遠くないし。俺明日購買でパン買うから弁当いらないし。お世話になったんでしょ?』と今度はヒョンさんに、

『母、明日江の島連れてってくれるって!良かったじゃん!』となぜか勝手に決められ二人でハイタッチをした。そして、『ヒョンさん!今度俺も韓国行ってもいい?TWICEにあえるかな?』とニヤついている息子に『何?好きなの〜?会えるわけ無いじゃん!』と言ってやった。ヒョンさんはずっと私達親子をワインを飲みながら穏やかな笑顔で眺めていた。

『ヒョンさん!明日江の島行ってみよう!ただ早起きだから覚悟しておいてね〜!』

『ありがとう。楽しみ』と彼は息子に親指を立ててGOODポーズを見せた。

 楽しい食事も終わり三人はで片付けを始めた。それはまるで、仲良し家族のようだった。

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