二人の時間
その時二人の気持ちは一緒だった。”愛してる。もう離したくない“ただそれだけ。今までの時間をうめるように。私もそれ以外の事は考えられなかった。
彼が自分のシャツを脱いだ時に私はドキドキした。程よく鍛えられた腹筋、腕、胸板。
そして彼は私のTシャツをゆっくり脱がすと下着姿の私を見た。そして言った。
『誰にもわたさない。愛してる』と囁き抱きしめた。
二人は生まれたままの姿になった。彼は私の全てにキスをした。時には激しく時には優しく。そして私達は結ばれた。お日さまに照らされながら。
彼は私を抱きしめたまま言った。
『ありがとう。本当に愛おしい。ずっと愛してる』私に優しいキスをした。
『私もずっと会いたくてたまらなった。大好きよ』とキスを返した。彼は本当に嬉しそうだった。テレビでは見たことのない屈託のない笑顔。私はその笑顔をまた見れた事が嬉しかった。彼はまるで大好きなくまのぬいぐるみでも抱くように優しく包むように私を抱いていた。ずっとこのままの幸せな時を過ごしたかったが私が言った。
『シャワー浴びてきて』彼は私の顔をいたずらっ子のように見ながら“ヤダ!”と私に激しくキスをしてきて、二人は再び結ばれた。
私達はお互いの温もりを感じていた。幸せをかみしめて。
私達は一緒にシャワーを浴びた。男性とシャワーを浴びるなんて何十年ぶりの事で恥ずかしさと戸惑いもあったが、彼は全然気にせずまるでお姫様をあつかうように優しかった。初めての体験だった。そして私達はバスルームを出た。
彼は暫くバスタオルを腰に巻いたまま窓の外を眺めていた。私はコーヒーを入れながらその後ろ姿を眺めていた。とても綺麗だった。アラフォーとはこんなに綺麗なものなのか?急に醜い自分の体型が恥ずかしくなり下を向いたまま顔をしかめた。
私はコーヒーをテーブルに置きながら”どうぞ“と呼びかけた。
彼はそのままの姿で近づくと私を後ろから抱きしめた。私がそのまま振り向くと私にチュッとキスをして“かわいい”と囁き開放してくれた。”恥ずかしい!“。
彼は服を着て一緒にコーヒーを飲んだ。私が携帯の翻訳機を用意してから、
『ヒョンさん、お仕事で日本に?』
彼は『가출』と笑った。私は翻訳機を見て驚いた。”家出〜!“。彼は驚いた私を見てケラケラ笑っていた。
『大丈夫だよ。心配しないで。だけどたぶん携帯の電源を入れたら、携帯がパニックになるかもね!』と。私は本当に心配になった。私は慌てて携帯を指差して言った。
『電源入れて、早く連絡して』彼は慌てるわけでもなく穏やかな顔でコーヒーを飲んでいた。私は考えた。
“星さんにとりあえず連絡しよう!”と、携帯をよく見ると誰からか電話が入っているのに気付いた。
”ん?誰?“星さんだった。
『星さんから電話来てた。かけるね』とかけようとした時、彼は私の携帯をふせて言った。
『もう少しだけこのままでいさせて!』彼は本当に家出したのかもしれない!私の頭の中は不安しかなかった。
『だけど、皆さんにご迷惑をかけちゃうから私から星さんに連絡して、とりあえずヒョンさんが来てる事伝えないと家出だったら大変な事になっちゃう!』私は思わず早口で言ってしまった。ヒョンさんは翻訳機を覗き込んで言った。
『申し訳ないと思うけど、僕の気持ちもわかってほしい。もう、頑張れなかった。笑い方も忘れそうだったんだよ。本当はこのままずっと側にいたいし全部捨てる気で来たんだ。家族にも相談したら応援してくれたよ。家族は僕が日本に行く事は知ってる。そうだ!母もジオンもみきに会いたがってた。』彼は別に大した事ないよ!と言うようにずっと笑顔で話していた。私は少し考えていた。そしてゆっくり話した。
『その気持ち本当に嬉しいよ!私も会いたいのずっと我慢してたし。だけど、ヒョンさんにはたくさんの応援してくれてる人もいるでしょ。私はヒョンさんの気持ちが一番大事だけどその方々の気持ちも大事に思うから泣かせたくないな。きっと凄く心配してる。だから、明日まで待ってくれるように私からお願いする。私もまたすぐに韓国に行くし、もうヒョンさんとさよならしようなんて思わないから。信じて。』私は出来る限り冷静になだめるように笑顔で話した。彼はしばらく私の顔をジッと見つめると静かに聞いてきた。
『みきはどっちの僕が好き?』私はすぐに答えた。
『私の前にいるヒョンさんが好き。もちろん、テレビの中のヒョンさんも好きだけど、私やご家族の前で自然に笑うヒョンさんが一番好きだよ』ヒョンさんは笑顔になった。
『わかった。みきが悲しむのは一番見たくないし、心配もかけたくない。明日帰るけど約束して?絶対に僕から離れないって』彼は小指を出した。私は指切りをした。
『星さんに連絡するね』私は星さんに連絡した。すぐにつながった。
『あっ、みきさん!良かった連絡ついて。実はヒョンさんが行方不明になったらしいんだけど、何か知ってます?』かなり慌てていた。私は冷静に話した。
『ヒョンさん、今目の前にいます』
『え〜!やっぱり日本に来てたんですね!皆心配してて!』私は申し訳ない気持ちで言った。
『ご心配かけて本当にすいません。ヒョンさんも反省してます。こんな事言える立場じゃないのはわかってます。ただ、そこまでして私に会いに来てけれた気持ちを大切にしたくて。必ず明日韓国に帰しますので、明日まで一緒にいさせてもらっても良いですか?本当にごめんなさい』彼女は少し黙ってから聞いた。
『みきさんはもうヒョンさんと離れようなんて思いませんか?自分じゃないとか言いませんか?それから、今ヒョンさんに会って幸せですか?』私はすぐに言った。
『もうヒョンさんとも離れないって約束しました。今は彼の隣にいて良いんだって思ってます。本当に幸せです』星さんは“うん!”と言葉にならないような感じで笑顔で言った。
『良かった!またみきさんが離れようと思ってたらどうしようって思っちゃいましたよ!またヒョンさん脱走するから!わかりました。私から韓国のマネージャーさんに上手く言っておきます。とりあえず、ヒョンさんに代わってもらっても大丈夫ですか?』と明るく言ってくれた。
『星さん、本当にありがとうございます。必ず明日韓国に帰しますので。今代わりますね!』私は不安そうな顔でこちらを見ていた彼に携帯を渡して笑顔で頷いた。
それから、二人で何やら話しをしていたがそんなに時間もかからず電話は終わった。ちょっとホッとしてるようだった。私は携帯を受取り翻訳機のスイッチを入れて言った。
『大丈夫?明日必ず韓国に帰らないとだめだからね。星さんと約束しちゃったから。だから、明日までは目一杯楽しもうね!でも、二度と家出はしないでね!』笑顔で言った。
『ごめんね。絶対しません。』
『約束!』と私が小指を出すと、
『またあの約束?』とわざといたずらっ子のように言ってきた。
『その約束してもイイよ〜!』と私も返した。彼は首を横に振って、
『家出の約束』と小指を絡めて来たかと思うと私を引き寄せてキスをした。
すると玄関のドアが開く音がして、二人はもう一度軽いキスをして慌てて元の位置に戻った。
『ただいま〜!』と三男坊が帰ってきた。




