その時は突然に!
あの夢のような日からどれぐらい過ぎたのだろう。1年?。あれからヒョンさんと私は連絡はとっていなかった。星さんとはご飯は食べていた。はじめはヒョンさんの事を聞いてきたがその後はお互いに話す事もなくなった。と、言うよりあえて避けるようになっていた。ヒョンさんの新ドラマも始まっていたがあえて見ないようにしていた。
私は以前のおばちゃんに戻っていた。ただ、続いている事は、韓国語の勉強とヒョンさん以外の韓流ドラマを見ては自分が主人公のような妄想をしていた。
韓国語のヒヤリングはだいぶ上達したように思う。だから尚更韓流ドラマの主人公になっていた。
息子達は韓国語の勉強が続いている事に驚いていた。ダイエットも少しながら成功を維持していた。
ある日私は急に彼のドラマを見たいと思った。なぜか自分でもわからなかった。私はドラマを再生してみた。そこには、韓流スターのヒョンさんがいた。しかし、1話を見終わった時にストーリーは入っていなかった。ただ懐かしさと愛おしさと、それだけを思い見ていた。
次の日、私は久々の平日の休みで大掃除と小さいが庭の手入れをやる事を決めていた。2回目の洗濯物を干していると、見慣れない車が少し離れた所に止まっているのが見えた。別に私は気にする事もなく洗濯を干していた。
一通り家の中の掃除をすませて、外に出た。すると先程の車の前に誰かが立っていた。キャップを被りちょっとオシャレなサングラスをかけてマスクもしていた。私はそれ以上気にする事もなく庭の手入れを続けていた。“あ~!腰痛い!”と立ち上がるとヒョンさんがその車の前に立っていた。一瞬目を疑った。状況を理解するまでにしばらく時間がかかった。ボーっと立っている私に向かって彼は走って近づきギュッと抱きしめた。まるで包みこまれるように。彼は黙って抱きしめ続けていた。
”なんでいるの?なんで私に会いに来たの?だめだよ!せっかく想い出の箱に本当の気持を閉まったのに開けちゃだめ!“と心の中で一生懸命制御していた。
『会いたかった。寂しかった。』彼は言った。日本語が凄く上手になっていた。私は出来る限り冷静に言った『お久しぶり。お元気でしたか?』私は泥だらけの手袋をつけてて良かったと思った。もしつけていなかったら抱きしめかえしてしまい気持ちの制御が出来なかったからだ。私はとりあえず、家の前ではまずいと思いうちの中に入るように言った。すると彼は車に走って行き何かを話すと車はどこかに走り去った。
私達は家の中に入り彼をソファに座らせた。私は手を洗いとりあえずお茶の準備をしながら冷静になるように心を落ち着かせた。きっと制御しなかったら彼の腕の中に飛び込んでいってしまうから。その間も彼はずっと私を見ていた。
お茶を出しゆっくり私は言葉をかけた。
『お元気でしたか?ドラマ見ましたよ!素敵なドラマですね。泣いちゃいました。』彼は黙って聞いていた。私は慌てて携帯を探して翻訳機をだした。
『ごめんなさい。日本語で話しちゃいました』しかし、彼は携帯を手で隠して日本語で言った。
『僕はみきに会いたくて会いたくて自分が壊れそうになった。だから、会いに来た。みきが僕に会いにきてくれるまでいつまでも待つつもりでいたけど、待てなかった。ごめんね。』彼の頬に涙が溢れた。辛かった。私の為に涙を流してほしくなかった。彼は強く抱きしめて泣いていた。私は彼の背中を静かにさすりながら言った。
『ありがとう。とっても嬉しい。だけど私の為に泣いてほしくない。だから、泣かないで』泣きそうだった。そしてとりあえず翻訳機のスイッチを入れて続けた。
『私ね。ヒョンさんが私に言ってくれた一言一言を大切に宝箱に入れてあるの。だからもう一生ヒョンさんに会えなくても頑張れる自信があった。ヒョンさんに会えなくて淋しくなった時も辛い時も頑張ってこれた。私はそれで十分!だから…』これ以上話したら気持ちのコントロールが出来なくなりそうで言葉を止めた。彼は真っ赤になった目で私を愛おしそうに見つめた。そして、私の頬に手をそえてジッと私を見ていた。何も言わずに。私はその沈黙に胸が張り裂けそうになり彼の手に触れ離そうとした。しかし彼の手に触れた途端に私の抑えていた本当の気持ちを抑えていた蓋が外れてしまった。私は彼にしがみついた。“会いたかった!ただ会いたくて、会いたくて。温かい胸に何も考えず飛び込んで行きたかった“その気持ちをもう制御出来ずにいた。
そして、私達は熱いキスをした。言葉はいらなかった。お互い“愛してる”ただそれだけ。
彼は私をゆっくりソファに寝かせて優しいキスをして言った。
『約束した?』二人は笑った。私は首を横に振ってみせた。彼は優しいキスをして『愛してる。会いたかった』と今度は強く激しいキスをした。そして首筋に優しくキスをすると私のTシャツのなかにゆっくり手を入れて優しく素肌をなでた。
私はもう彼の手を掴む事はしなかった。ただ、幸せだった。




