なんて日だ!
ある日、いつものように3ヶ月に一度の次男の薬をもらいに車で大学病院に来ていた。毎回家から病院、病院から家の往復だったがこの日は何故か少しブラブラ歩きたくなった。
ちなみに、私は郊外に住んでおり23区に来るのは実家に行く時ぐらいほとんどない。
“1時間ぐらいなら駐車料金大丈夫だ”私は薬をもらった後に散歩に歩いた。
10年以上通っている病院だが近辺を歩くのは初めてだった。ビル街を抜けるとちょっとした住宅街に入った。小さな喫茶店も見つけたが、適当に歩いていたので、次に来いと言われても無理な事を悟った。
40分ぐらい歩いた所で、我に返った!
”ここはどこ?“完全に迷っていた。少し戻ってみたが同じような建物で方向がまったくわからなくなってしまった。
“母考えろ!人に聞くか?人がいない!地図だ!”人はあせると冷静な判断がつなかい。この現代で携帯電話と言う何より尊い品物になかなか辿り着けなかった。
慌てて地図アプリに大学病院を入力して、歩きに設定してと!
”えっ!25分!ヤバい!駐車料金が“
私は慌てて地図のナビにそって小走りしていた。住宅街をもうすぐ抜けようかという時に角を曲がったとたんに何かに思いっきりぶつかり携帯を吹っ飛ばしてしまったまま尻もちをついてしまった!そこには何人かの足が見えていた。
“まずは謝らなくちゃ!”
『すいませんでした。お怪我は大丈夫ですか?』慌てて立上り頭をさげると、そこには4人ほどの男女が立っていた。皆帽子やフードを被りマスクもしていたが、危なそうな人ではなさそうでホッとした。
『こちらこそごめんなさい』と、ぶつかってしまった男性が言った。イントネーションが違ったように聞こえた為、直に日本人ではないなと感じた。
”観光か〜!良いな“など思っていると女性の方が私のお守りのぶら下がった携帯を拾って申し訳なさそうに渡してくれた。
『携帯割れちゃいましたね!大丈夫ですか?』今度は日本人のようだった。
『全然大丈夫です!私がよそ見してたのが悪いので、でもこのお守りが切れてなくて良かった!本当にすいませんでした』と笑顔で答えた。内心は、ガ~ンと頭の中で修理代が浮かんでショックだったのは否めない。
『本当にごめんなさい』とぶつかった彼が申し訳なさそうに携帯を見ながら呟いた。
『全然大丈夫ですよ!日本楽しんで下さいね』と、慌ててその場を離れようとしたが地図が見れない事に気付き、
『すいません!◯◯大学病院はどっち方向ですか?』と私は早口で女性に聞いた。
何秒か間があって、笑みを浮かべながら丁寧に教えてくれた。
大学病院に到着した時には、既に40分以上経っていた
案の定、駐車料金は発生してしまっていた
『なんて日だ』と、心の声がもれた事に苦笑した