お母さん
台所に行ってみるとお母様が朝食の準備をしていた。
『좋은 아침!(おはようございます)』と挨拶をすると優しい笑顔で挨拶を返してくれた。
ポケットに入れていた携帯を取り出して翻訳機の電源をいれた。
『お手伝いします』私達は翻訳機を使い楽しく食事の準備をした。
なかなかヒョンさんが起きて来ないのでヒョンさんの部屋をノックしてみた。応答がないのでそっとドアを開けたが姿が見えなかった。
次に私の寝室のドアをそっと開けると、ヒョンさんは寝ているようだった。私はベッドの脇にしゃがみこんでヒョンさんの寝顔をみていた。
”綺麗な顔だな〜。寝ててもカッコいいってあり得ないわ!“とずっと見ていた気持ちだった。しばらくするとパッと目が開いた。驚いた!
『ご飯ですよ』私は笑顔でいった。
ヒョンさんは何故か笑顔でこちらを見ていた。すると私の手を引いて抱きしめた。ヒョンさんは
『幸せです。』と耳元で呟いた。私も
『나도(私も)』と返した。そして
『ご飯だよ。お母様が待ってるよ』と告げて立ち上がろうとしたが、よけいに強く抱きしめた。
『このままが良い』と、まるでだだっ子のようだった。いつもの私だったら“じゃあ!ご飯なしね〜!”と、言ってる所だったがなぜか
『待ってるね。起こしてゴメンネ』
これが恋なのか?と笑ってしまった。けれど、なんだか嬉しかった。
ヒョンさんは“はい。わかりました”と言うと私にキスをして開放してくれた。私は頭をなでて
『良く出来ました』と日本語で言った。”アラフィフとアラフォーの会話じゃないな!“と思い笑ってしまった。
私は台所にもどりまた翻訳機でお母様がいれてくれたお茶やを飲みながら彼が来るまで話しをした。
お母様からはいろいろと私の事を質問された。“きっと心配なんだな〜”と思い正直に話しをした。お母様は早く彼に結婚してほしいようだった。私はバツイチの3人の子持ち、ふさわしくないと自覚している。だから、正直に全てを話した。お母様はただ何も言わずに笑顔で聞いていた。驚いた事は彼が私の事をお母様に話しをしていたらしい事。バツイチで子供もいる事も年齢も。
なぜ私にまた質問してきたのか疑問だったが、話しているうちに彼が結婚したくないから嘘をついてるかもしれないと思っていたのだと思った。
しばらくして、ヒョンさんが寝癖頭でやってきた。
”可愛すぎるだろ!アラフォーには見えない。罪だろ!“と思っていると、そのまま自然に私の隣に座ったと思うと私の肩にもたれかかった。
“ちょっと!お母様みてるでしょ!”
お母様を見ると相変わらず癒される笑顔でご飯をよそってくれた。私はお礼をのべて苦笑いをした。
ご飯中も彼はいろいろご飯にのせてくれたりと、親切だった。私は嬉しさ半分、申し訳なさ半分な気持ちで食事を終えた。
食事が終わった後に彼はシャワーを浴びに行ったので私とお母様で後片付を始めた。私はお母様に話した
『すいません。私がいるとご心配ですよね?大丈夫です。彼女ではないし友達です。息子さんは凄く優しい人方なので私に優しくしてくれてるだけですから。私も息子さんには幸せになってもらいたいと思っています。』と話した。
それでお母様は私に言ってくれた。
『みきさんが来てくれてからずっと笑顔でいますよ。本当に嬉しいのだと思いますよ。みきさんが来るまでは良く話しをしてくれて思ってた通りの人で安心してます』と、笑顔で話してくれた。涙が出そうになった。お母様は続けた。
『あの歳ですからお付合いしていた方は何人かしっていますが、あんなに普通に過ごしている息子は初めてですよ。人様の前に出る仕事をしてますが、私には普通の息子なんですよ。あの子もたくさん苦労したと思いますし、だから幸せになってくれればそれで良いんですよ』と話してくれた。お母様の気持ちは良くわかる気がした。私にも息子がいて、ただ幸せになってくれる事だけを願っていたからだ。本当に優しいお母さんなんだと確信した。私もちょっと心配事があったのでお母様に相談してみた。
『実は私も息子さんの事ですごく心配している事がありまして。息子さんは日本でもとても有名でファンの方がたくさんいます。もちろん韓国ではもっとだと思います。私は本当にただのおばさんで、容姿端麗とは程遠いです。だけど、私がこちらに来てから人目もはばからずハグをしたり手を繋いだりしてくれます。だから、マスコミなどに載ってしまったらと心配してます。私が何かを言われるのは全然かまいません!でも息子さんに迷惑をかけてしまうのが怖いんです』正直に話した。すると翻訳機を読み終えると笑って言った
『私はみきさんを娘だと思っていますよ。それに、息子が決めた事なのでみきさんが気にする事はやめて下さいね。そんな事気にする子じゃないですよ』と私の肩をなでてくれた。自然と涙が溢れてしまった。お母様は私を抱きしめて背中をポンポンしてくれた。私は今施設にいる母の事を思い出していた。
気づくと椅子に座ったヒョンさんが、嬉しそうにこちらを見ていた。
私はこんなお母様のようなお母さんになれるよう、努力すると心に決めた。




